幻想の間(はざま)
僕が、僕として働いているとき
僕の心は、誰も知らない緑の丘で
黄昏ている
命という命の声を聴きながら
無力に嘆いている
顔も、腹も、足もすべて
夕焼けに染まって・・・
僕が、僕として俯いているとき
僕の心は、誰も知らない緑の丘で
見上げている
街灯も何もない
真っ暗な世界で
蒼白い衛星と鏤められた星たちを望み
何かにふけている
目も、髪も、つま先も
銀色に染めて・・・
嬉しい時も
辛い時も
この心は、動こうとはしない
何かを待つように
何かを期待しているかのように
いつまでも
いつまでも遠くを見ている
でも・・・
僕が、今、見続けているのは
痛みでもあり
悲しみでもあり
喜び
楽しみでもある
そこには怒りもあり
誘惑だってたくさんある
目が回りそうな
感情の渦に巻き込まれ
時々、自分というものを見失うんだ
ただ・・・
君が
そこに居る限り
なんどでも、僕は顔を上げて
この世界を、眺めることが出来る
でも君は
何かを失う前の、僕自身
何かを諦める前の、僕自身
それは僕が創り上げた理想の君
なにも語り掛けることのない
偽物の姿
幻想の間でしか会うことのない姿
なぜ、僕は君を創ってしまったのか
後悔をする罪の姿
なのに
一度だけ振り向いたことがある
見えているのかと、疑問に思った
笑った顔が、綺麗だと思った
靡く髪が、美しいと思った
僕の名を呼ぶ声
ずっとずっと昔
聞いたことのある
誰かも判らない
それでいて
澄んだ声
幻想の間で
僕は、夢を見る
触れた温もりも
感触もある世界
喜びと戸惑いがあり
理想より遥かに美しい世界
そこはまるで現実のような世界
なのにそれは幻で
朝にはすべて元通り
信じられない僕が居た
現実を確かめる僕が居て
信じきれない心が在った
by幻想師キケロw
理想と現実は対であり、別でもある。区別がつかなければ人として壊れ、区別しすぎても人としては、壊れている。なぜなら、人はいつでも理想を追い求め、だからこそ現実があると自覚する生き物だから・・・