惚れ薬
今まで、恋とか
好きになるとか
そんなもの
一度もなかった・・・
悲しみに沈んだ
夕暮れの教室で
一人寂しげに微笑む
君の顔を
不意に見てしまってから
僕の中心は
無造作に散らかって
騒ぎ出す
気が付けば
その背中を追って
気が付けば・・・
すべての中心に君がいる
僕から近付いたわけじゃない
声すら、掛けていない
なのに
いつの間にか
隣に居て
いつの間にか
それが当たり前になって
いつの間にか・・・
独りが考えられなくなっていた
楽しそうに笑う君
甘えるように微笑む君
少し怒った感じの笑顔
そして、玄関で一人
僕を待つときに見せる
あの時の顔
一回、一回の仕草が
共にいる時間が長くなればなるほどに
愛おしくなる
あぁ、またこの笑顔
あぁ、またこの笑い声
ふと、傍らの君へ
「君の笑顔には、惚れ薬でも入っているのか?」
と、冗談交じりで言ってみた
驚いたようだ
目を丸くさせ
キョトンと僕を見上げ
やがて
オレンジ色の空へ
大きな笑い声が響き渡った
あぁ、良いな
この時間が
この帰り道の
今、君といるこの空間が
いつまでも続けばいいと
素直に願う僕がいた
by幻想師キケロw