僕の、ジカン
誰かの吐息が
そっと消えた
真っ白な部屋に
真っ白の服を着た
横たわる人
うっすら紅色の唇に
指を当てて
ダイヤモンドより透き通った涙を
いくつも落として
砕いていた
悲しいの?
寂しいの?
どうして?
この人は、微笑んでいるよ?
不思議だった
僕の頬にそれが流れることはない
居なくなった気がしなかったから
だってほら
あったかいでしょ
この辺がさ
抱きしめてくる家族の啜り泣く声が
焔の中で消えていく中で
鬱陶しくもあり
そして、ようやく理解が追い付いてきたのもあったのか
誰よりも遅く
泣き出した
思い出の中で
ずっと埋もれていた
幼子の時間
大人になって
いくつもの別れを知って
ふと、振り返る
僕の、ジカン
あとどれ位なんだろう
僕の、ジカン
今、どの辺にあるんだろう
昔々の時計のように
鳴り響く鼓動に
語りかけた
そうしたら
そっぽ向き続けた世界が
大自然がぐっと近づいてきて
やさしく肩を叩いた
どうしてだろう
たった其れだけなのに
僕は、僕は・・・
あのころのような涙を
悲しくもないのに
嬉しくもないのに
感動したわけでもないのに・・・
風と共に流すことができたんだ
どうして?
by幻想師キケロw