羽化
とりわけて特別なものでもない
誰かより優れているというものでもない
それなのに
周りからは、変り者扱いされて
宙に張り付けられる
同じ人のはずなのに
僕は、まるで腫物のように
はじかれていた
でも・・・
どこか・・・
そう、どこかが違ったんだ
あの日
何気ない春の真っただ中
登校した朝の空が
白と黒のツートンカラーを
掻き消して
僕の心に
鮮やかな世界をくれた
誰かが落した
真っ白な羽を拾い上げ
僕の心には
翼が生えた
愛おしいと思える自我が
ゆっくりと背中を二つに割って
空へ背伸びをする
どこまでも
どこまでも
果てしなく続く蒼穹
そこに夢を見てしまったんだ
なぜだろう
すべてが僕の
いや、私の中にあるような
一体感
輝きの中に酔いしれ
ふらふらと荒れ果てた野に旅立った
あれからずっと
旅をする
絶望と希望を乗せた風が
どこまで私を連れて行ってくれるのだろう
期待と不安に揺れながら
地上を見渡す
目移りする現実の花
どれもこれも
素晴らしいのに
僕の翅は
羽化してからこのかた
留まるということを知らず
疲れた体を引きずっている
あれ・・・
どうして?
気が付けば
飛んでも
飛んでも
地面に落ちて
歩き回る
高く高く伸びた草が
あの空から私を隠した
高く高く聳える灰色の建物のように
その夢は私を
いや、僕を僕の世界へ引きずり下ろす
いまだ素晴らしき余韻に浸りたくとも
僕は、まだまだその場所に
逝けないようだ
あぁ、もったいない
でも、世界は鮮やかなままで
なんとなく
僕という生き物が
変わった気がしたんだ
by幻想師キケロw