帰らない黒猫
(′・ω・)第七話、のびのびとした猫(そのご)
何気ない日々は、つくづく足早に通り過ぎていく。暑さ寒さも感じなかったころは、こうもだらだらと日長一日過ごすことはなかっただろう。とりわけ、黒、と言う体色が災いし、尚更だらりと尾を伸ばしている。また、幾ら、教室の床が冷たいからと言って、心地よいわけでもない。この、ジワジワと擦り寄ってくる湿気が、自慢の髭さえもくしゃくしゃにふやけさせてしまうからだ。夏なんて季節、無ければいいのにと、愚痴を溢す日々だ。更に言うと、だらけているというか動きたくないだけで、生徒、とくに女子にべたべたと触られ放題だ。止めてくれ、暑苦しいのだ。と、小声で言っても、にゃあとしか聞こえていないのだろう。一言一言言うたびに、可愛いだのなんだの劈くような声をだして、更に激しく撫でられる始末。これは、私の毛が禿げてしまうのではないかと此処最近の憂いだ。
一方で弥勒はと言うと、別に対して変わらん。黒ほらいくぞとか、黒、飯だぞとか要所要所で声を掛けてくるくらいだ。それ以外はほぼ放置と言っていいだろう。ん?、弥勒の傍に行かないのかって?。あんな日当たりに居たら、黒い身体がよりいっそう黒くなってしまうし、何より、床が暑すぎる。あんなところでよく、眠って入れるものだ。と、感心しつつ近づかない。
はぁ、せめて蝉くらい静かにしてくれたら、このだるさも少しは軽くなるだろうか。耳を折りたたんで、気晴らしにもならない横寝で時を潰した。
小さなクシャミをした。放課後間近の授業が一瞬止まり、微かな笑い声と、屈み、呆れたように覗き込む教諭の顔と、伸びてきた手が、私の頭をぽんぽんと優しく叩いた。