静寂の石
草原から
虫達の声が消えた
微かに靡く枯れ草の
囁き声すらも
一時の仕草
名も知らぬ沼に
ゆっくりと浮かび出す
月と言う
静寂の石
眺めれば眺めれるほどに
重く
そう、何か声を出してはいけないかのような
重い光に抱きつかれ
瞳いっぱいに映りこんだそれを
溢れでる感情の全てとともに載せて
頬を伝う・・・
山裾の賑やかな町明かりが
二人だけの世界へ
割って入ろうと
手を振っている
けれども・・・
天中に
音も立てずに上りきる月の輝きには
勝てるはずも無い
ましてや
私の手の内に開かれた
小さな箱
指輪の魔力に
君の心は
あの明かりの無いこの空間など
気にもならぬようだった
何かを言いたげな口元
必死に何かを堪える表情
その全てを覆い隠していく両の手
その一つを強引に引き出して
そっと・・・
そっと・・・
すらりと伸びた指先から
はめ込んでいく
妖艶な輝き
銀色の冷めたダイヤモンド
愛しているとも
好きだとも
まだ
一言も告げては居ない
ただ、君の人差し指の上で
全てを物語る
静寂の石
耳を澄ませば
幸せそうにすすり泣く
君の声だけが
美しい波紋を
私の中に描き出す
重なった影を見つめ
胸内にある温もりを噛み締め
幸せと
これからの不安を
考えていた・・・
by幻想師キケロw