また、探しているんだね・・・
とことこと暗がりを流離(さすら)う
猫の後ろに
俯いた人影が蠢く
振り向いたその瞳に
彼らはどう映るのだろうか・・・
また、探しているんだね・・・
エメラルド色の二つの輝きが
僕を見上げ
そう言っている
影に沈んだ僕の瞳は
街灯の白をただ見上げ
一息
はぁ、と返事をした
光と影の狭間
距離にして1m弱の違い
光の中に居るはずなのに真っ暗な自分と
影の中に居るのに輝いている猫
猫か人かじゃない
ありのままか
そうじゃないか
たったそれだけのこと
どこで間違えて
どこで踏み外した
一向に離れようとしない猫に
問いかけたところで
返ってくるものは一声のみ
馬鹿げてる
あぁ・・・、馬鹿げているさ・・・
こんな自分自身をなくしてしまった時なら
なおさら、な・・・
まだ、探しているんだね・・・
昼下がり、弁当の食べ残した魚を
物ほしそうに見ていた
たぶん、あの時の猫に差し出した
翡翠色の奥にある輝きが
不思議そうに見つめてくる
くちゃくちゃとほうばる音を出しながら・・・
それが、なぜだか腹立たしくもあり
可愛くもある
そっと、頭に手を伸ばす
食べにくいと、怒られた
小さな傷口から
じわりと染み出した血が
生きている僕自身を証明している
ふぅ・・・、曇り空にまた一つ
雲が吐き出された
ふと、気が付く
太腿に、熱い何かがあって
不思議と手が波打つ部分を
撫ではじめた
くるくると静かに喉を鳴らす猫
ふわふわな毛並み
木枯らしに寄せられている落ち葉の波を
二人で見つめ
じっくりと
考え込んだ・・・
煮え切らない
心の火を当てながら
どこ行けばいいんだろうな・・・
何をすればいいんだろうな・・・
問いかけても居ないのに
にゃあといった猫に
ぼくは、
うっすらと微笑んだ
by幻想師キケロw