戦詩
拝啓
戦、争いごとを好まぬ人々へ
降頻る雨は、鉄のごとく
硬く冷たいものでありまして
くしゃみをしようものならば
たちまち、その頭(こうべ)が
吹き飛んでしまうものであります
ワタクシ共が、いく数名
屍の中で夜を明かし
動かぬ肉に埋もれることは
言葉にもなりませぬ
今はただ、皆、生きてこの島より出でて
本国に帰還したく・・・
恥と知りつつ泣いておりまして
それも、叶わぬ時は
まこと、失礼ながら
辞世の句の
鮮血を墨として書き綴り
絶つ覚悟の所存
この手紙も
見つけた頃には最早朽ちていることと
考えております
援軍もなく
物資もなく
あるものは体一つで特攻を仕掛け
あるものは幻惑に立ち上がり
あるものは腐血により息絶え
それでも止まぬ砲撃と銃声
いくら壕の中に居るとはいえ
鼓動が聞こえることはありません
ですからどうか
ワタクシ共の後世に
この詩が響くなら
平和とは
まこと遠く夢のようだと
お伝えください
もし、そこが平和なら
その夢をしっかりと歩き
二度と殺しあわぬよう
警視するよう
お願い申し上げる
【夢と知り、夢と知りつつ追い求む
永久の平和に、朽ちるこころ
体無き世に、幻を抱(いだ)き眠りたく
我が道を終える涙に、声高く高く・・・
魂の蝉と成り、逝かん
道誤りしかな我が国よ
道誤りしかな我が人生よ
捧し志も、潰えしことの虚しさを
こころより
こころより
情けなく思い
力及ばぬ一兵の在を
お国の皆様
お許しくだされ
お許しくだされ
ただ、ただお許しくだされ・・・】
by幻想師キケロw