泡のように
どこからか聞こえる歌声
こころの中に満ちた水の
ずっと
ずっと
果てのような気がして
探し始めたのは
すべてが憎いと思っていたあの頃
ぶつくさと
怨念を染み出しながら
透通る広大な湖に落としていく
けれども
そんなちっぽけな闇色なんて
直ぐかき消され
変わらずにそのままを
それは
私に魅せ突ける
俯いていれば
其処にいるのは
見たくも無い姿
嫌で嫌で仕方が無い姿
大声を上げて乱しても
虚しい波紋だけが
光の柱を揺らし
遠くへ行ってしまう
それを追って
地平線の空と交わる境界を
眺める私に
歌は足元から響き始めた
立ち込めた憎しみは
嘘のように晴れ渡り
其処にある光が
このこころ全てを貫いているようで
美しいと思えた
なにより
そのこころを映すかのように
すっと頬を流れた涙が
あまりにも透明で
あまりにも素直に
水辺に落ちて
純粋な円を一つ描き
消えていったことに驚きもした
響く歌声は儚く
一つの音が
次の音に変わる間の静寂が
まるで泡のように思えた
閉じ込めた想いを
解き放ち
私に伝えては
満足した顔で
消えていく・・・
ねぇ、聞いていい?
どうしてそんなに悲しいそうに歌うの
どうして、そんなに嬉しそうに消えるの
虚しささえ覚えてしまう
あなたの姿を見ていると
まるでそう
恋に沈んでいるように思えてしまうの・・・
歌が止んだ
描いた波紋も
重なった波紋も静まり
滑らかな水面(みなも)が
そこに広がる
真直ぐに伸びた
止まった太陽が創り上げる橋
私を、通り過ぎて
どこまで続いているのだろう
見渡しても誰もいない
当たり前か、と溜め息を突く
そうして思い知る
いまだ独りなのだと
少し影を落とした涙が
一粒、落ちていく
あぁ、せっかく落ち着いたのに
また、乱してしまうのか・・・
ゆっくりと
ゆっくりと
まるで重力に抗っているようにゆっくりと
それは、落ちていく・・・
それは顕れた
それは顕れた
再び絶望に覆われる私の顔を
突き崩すかのように
深い水の其処から
一枚の隔たりを破って
水しぶきが私を濡らしていた
いや・・・
抱きついた美しきものが
私を濡らしていた
ひんやりと冷たい素肌を
私が温めていく感触
声なんて出るはずも無い
耳元で囁く声が
紛れも無い
あの歌なら
私のすることはただ一つ
それを受け止め
抱きしめるだけ・・・
笑顔で・・・
by幻想師キケロw