幻想の旅人27 | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

幻想の旅人
 
 
 
 
 
ここは森の中
鬱蒼と生い茂る森の中
私はこの薄暗い森の中を
歩く独りの旅人・・・
 
木々のざわめきは
重い振動のように
どう、どう、と私を揺らす
深々と被る帽子の合間から見える
盛り上がった木々の根は
まるで迷宮の壁
行く手を尽(ことごと)く阻み
私の残り少ない体力を奪っていく
足元に広がる柔らかな苔は
その心地よさとは裏腹に
私をここから出すまいと
しがみ付くかのごとく吸い付いてくる
奪ってくる
だが・・・・
私の足は止まらない
太腿(ふともも)から脹脛(ふくらはぎ)
足首へとつながり
五本の指の先まで
ギシギシと張り詰めた力がかかり
一つの化け物が、ゆっくりと地響きを立てて進むかのよう
せめて、小鳥達の歌声や
木漏れ日一つあったなら
この心持も
軽かったであろうに・・・
 
私は、森の中
薄暗いよりもっと暗い、森の中
夜ともなれば
怪しげな夜光虫が、大きな羽音を響かせて
周囲を飛び回る
見上げれば
青い光を、ぱたり、ぱたりと落としてくる
君の悪い目玉が無数にあり
ぎょろぎょろと蠢いている
私は、ちょうど良い根の瘤へ腰を下ろし
一息を入れていた
ふと思う
私は、瞳を閉じる前までは
確か、平成の世に居たはずなのだが
だが、息をするたびの空気の流れ
張り付いてくる冷たい緊張感
服の感触、髪の毛一本まで走る神経
なんというか、魂だけが
別の時間、別の次元へ降りてきたかのように
思える
腰に下げる生き物の皮でできた鞄には
分厚い書物に、先の尖った羽、硝子でできた黒い中身が入ったもの
解らない文字が所々に書かれた地図、しっかりと蓋がされた筒
果物ナイフだろうか、それと、硬いパンが少々
腰には、銃ではなく剣が下げられ
背中には、たぽたぽ、と揺れる皮の水筒
残りはそうないようだ
丈夫そうなマント
色までは、判らない
地面が、全体に碧に輝いて影になっているからだ
服自体は、触り心地のよい生地でできている
そして、胸に下げられた飾りは
炎にも、羽にも、どこか国のエンブレムのようにも見える
銀の装飾品
この体の持ち主は、貴族か何かの出なのだろうか・・・
奥歯でパンを食いちぎり
遠くを眺めながら
そう、思った
 
夢の中の森で
また眠り夢を見る
ありふれた町のような
古き良き時代の農村のような
私には、考えられない世界が巡る
はっと目が覚めるも
やはり森の中
ただ少し、あのきらびやかな光は
弱くなっていた
朝、なのだろうと思った
立ち上がり、背伸びをする
辺りを見回し
見上げ見下ろし、なんだろうな
あの夜が幻であったかのように感じていた
やがて、私の足はひとりでに歩き出す・・・
 
歩く、歩く、歩く
その度に、キンと冷えた空気が
体中を抓る
中は熱いのだが
どうも表面までは届かないらしい
息は切れても
汗一つ出ないのだから
笑うしかない
しかし、そもそもこの体はどこへ向かっているのだろう
時より地図のようなものを広げるが
解らない
この足だけが頼りだ
やがて・・・
木々がよけていくように
避けていくように
開けてきた
その先に、小さな泉があった
零れ落ちてくる日の光を広い集め
青白く輝く様は
神秘的でどこか惹かれるものがある
なにかそう
なにかがそこに居そうな気配があるというか・・・
男は、その泉に近づくと
手でその水を掬い取り
二口ほど飲んだ
皮の水筒が、揺れなくなるまで膨らませると
今度は、地図を取り出し
なにかを付け加えている
私は、いつの間にか
彼の体から離れ
その背中を眺めていた
そして
その先でこちらを見つめる
不思議なものに気がついていない振りをしながら
ゆっくりと
空へ昇る
 
気がつけば
元の部屋
耳元で騒がしい時計の頭を叩き
のっそりと起き上がる
生々しいあの感触が残る中
不思議なものの美しい瞳の色を思い返して
今日と言う時間を始めた
 
 
 
 
 
by幻想師キケロw