静か過ぎる死
深い森の中に
光が差し込んでいる
そこには草花が賑わい
命が溢れている
その真ん中に
朽ち果てた巨木
きのこが二、三本生えている
近寄って手を触れた
その瞬間に
かつて彼が生きていた頃の残像が
飛び込んでくる
青々と葉をしげさせて
力強くこの場所に立っていた
彼自身の歴史
僕は、どうしてここにいるのだろう
僕は、どうしてここで生きているのだろう
溢れ出る涙が
足元に開く新たな命へ
ポタンと落ちて弾けて散った
周囲を見渡した
彼と同じく静かに横たわる木々達が
ところどころにあった
死してなお、命を育み
光り輝く彼らは
まるで天使の膝下にでもいるかのようだ
安らかに眠り
微笑んでいる
人が死ねば、すすり泣く声もあろう
でも、彼らにはそれがない
静かに生き、誰も知らないところで
同じ仲間たちに静かに見送られ
静かに死んでいく
それが当然だというように
朽ちていく
どうして・・・彼らは・・・
余りにも
余りにも
静か過ぎる死
差し込んでくる光を眺めた
声にならない悲しみを胸に
彼に、寄り添う天使が囁いた
終わりと始まりは、誰でも静かなものなのですと・・・
優しく微笑み
僕を見下ろしている
彼女は、一体どれだけの命を見つめているのだろう
光で包み込み
名残と呼ばれる全てが消えるまで見守り
彼女は、何を考え想うのだろう
何を知っているのだろう・・・
僕は、何も知らない
だけど、全て知っていた気がする
気のせいかもせれないけど
幸せそうな彼と彼女に背を向けて
僕は、歩きだした
いつか、彼と話すことが出来たなら
どのように生きてどのように死んでいくのか
一緒に考え話し合いたいものだ・・・
そう、想いながら―

byキケロw