はじまりの朝
ゴシック式の建物
底まで入り込む光
ステンドグラスを通して
様々に変化する
その影に
貼り付けとなったメシアが
静かに微笑んでいる
かつんカツンと
透明な僕の横を
赤子を携えた
夫婦が横切った
この大聖堂の中に
響きわたる
聖書の言葉たち
小さな天使達のよう
飛び回り楽しそうに
赤子の周りへ集まっていく
そのさまは奇跡だ
時間とともに先の光が
徐々に夫婦の元へ
気が付けば
メシアのあたたかな眼差しが
光と共に小さな命へ注がれていた
鳴り響く鐘の音
それと共に
抱きかかえ
再び僕の横を過ぎていく
その時に聞こえた
繰り返される
同じ言葉
きゃっきゃと笑う赤子に
なんども言い聞かせていた
そうか
そういうことなのか
あの子は
あの瞬間から
この世界を始めたのか
人は、生まれたその瞬間から
生きることを始める
人は、名を授かった瞬間から
人生を歩み始める
今、清き朝の光と共に
新たな人の歩む道が始まった
はじまりの朝
あの子供は一体どんな道を歩むのだろう
天井に描かれた古のものの絵を見つめながら
僕はまるで・・・
考えていた
夫婦がさったこの中は
薄暗く
静かなものだった・・・
佇むメシアも
ただの偶像へと姿を変えていた