幻想の旅人7
なにもない
現実に絶望して
絶望しては希望を探して
探しては絶望してを
ひたすらに繰り返す日々
どこまでいけば
この答えにたどり着くのだろう
どこへ行けば
その答えに
たどり着くのだろう
半分ふてくされ気味な顔を
両手で覆い隠し
崩れ落ちた
それは、多分夢の中
いつ寝たかを考えるくらい
曖昧な記憶が
現実と理想
真実と幻想の垣根を
取り払っている
ここはどこだろう・・・
僕は、ささやかな風に揺られる
草木の中で
空を眺めていた
誰もいない世界は
とても静かで
何もかも終わったかのようだ
なぜ、僕はここにいる
なぜ、僕は生きている
何もかも、無意味に捕らえてしまう今の僕は
おそらく
この夢から目覚めてしまっても
生きてはいけないだろう
無力にとらわれるだろう
なら、いっそ
このまま
果ての世界に行きたい
そう願って
僕は、きっと美しい世界を
知らないまま
その瞳を閉じた・・・
暗闇の中でうずくまる
ぼんやりと光りながら・・・
耳から届く
風の手紙
君はまだ、死んではいけない
君は、まだ知らない
君はまだ、生きていなければならない
ずっと
誰が取るわけでもない
僕のポストに
一文字
一文字
落書きのような汚い字で書かれた紙を
投げ入れてくる
その言葉は、温かく優しく心地よい
でも、逆に目覚めた時の恐怖が
大きくなる
僕の歯茎をきつく喰いしばらせる
怖い・・・
怖い・・・
怖い・・・
怖い・・・
怖い・・・
ぼんやりと光を保ちながら
風の言葉に寄りかかりながら
矛盾した箱の中で
閉じこもっていた・・・
トントン・・・
トントン・・・
ドアもないのに
扉をたたく音がする
とんとん・・・
とんとん・・・
ドアもないのに
扉をノックする声がする
ギコチナイ声がする
誰?
そこにいるのは・・・
暗闇で、僕は立ち上がった
振り向いて、閉じた目を開いてみた
そこには
さっきと何も変わらない空と
光の・・・だれ?
眩しくもなく
弱々しくもなく
だだキラキラとそこに居て
涙だけを
僕の頬に落としている
いつの間にか膝の上に
僕の頭があり
君は、逆さまの僕の顔を見ている
誰?
君は誰?
僕は君を知らない
君は誰?
静かに涙を落とし続ける君
時々、吐息がかすれる音がする
肩と思われる場所が、震えている
僕は、なんだか悪者になった気分だ
女の子を泣かせているような
モヤモヤした気分だ
光に包まれて
そこらへんのことは判らないけど
なんだか
ぱっとしない
ほら、泣かないで・・・?
そっと手を上げて
光の頬に手を当てた
すると
光がぎゅっと抱きついてきた
僕の頬に、頬を重ねてきた
やっぱり泣いている・・・・
僕は、空を眺めながら
頭を風のように
草木に届く光のように
柔らかに
誰かの頭を撫で続けていた・・・
はっとした・・・
そこは、今まで光を見ていた場所
でも、誰もいない
夢?
夢の中で夢?
当たりを見渡しても
やっぱり誰もいない世界だ
起き上がり
遠くを眺めた
空ばかりを見ていた時より
なんとなく気持ちいい
ほら・・・大丈夫・・・
誰かが囁いて
僕の耳の奥底に誰かが手紙を残した
その手紙のなかには
大丈夫
その当てはまりもない
漠然とした言葉が
円を描いて書かれていた
その余りにも汚い字に思わず笑をこぼす
そうだね
大丈夫・・・
大丈夫・・・
大丈夫なんだ・・・・
目が覚めた
そこは、いつも眺めていた天井
いつ開けたのかわからないが
窓が中途半端に開いていた
ゆらゆらと揺れる
カーテン
時折、覗きに来る朝日の光
僕は起き上がり
窓の外を眺めた・・・
暗い心がどこかに消えていた
ポカポカとした温もりだけが
こんこんと湧き出している
そうだ・・・
今度、僕から手紙を、あの子に書こう
ありがとうと、贈ろう
この気持ちをくれたあの子に
どっと草木が笑った
照れくさそうに
向こうの雲が消えていった・・・・