巨人 | 梟霊のブログ

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適当に詩をUPします。
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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

巨人
 
 
遠くからその巨体を揺らし
遠くからその歩く音を届ける
ゆっくりと
ゆったりと
確実に近づいてくる
静まり返る人々の絶望が
やがて悲鳴へと変貌し
乱立する
私は、人々の姿を高台から望み
奴の姿を眺めている
このどうしようもない現実から
どうのように生き延びるか
それしか
私の中に生まれてこなかった・・・
 
 
僕は、絶望の神を見上げている
その一歩は
人のそれとは比べ物には成らず
一山を超える
止められるのか
こんなものを
ゆっくりに見えて
驚異的な速度で
僕の故郷へ向かっている
止めなければならないのか
今にも足が止まり
その巨大な足の下になりそうな
幻と現実の狭間で
愛馬とともに掛けていた
 
 
おお神よ!
おぉ!!神よ!
愚かな者は、現実より離れ
神にすがる
 
ある者は、自分が生き延びるために
他者を蹴落とし
誰よりも先へと進もうとする
 
純粋なものは
大切なものの手を引いて
転んでも
蹴落されても
決して離さず
誰よりも後方を走る
 
あの巨人が、誰しもが持つ仮面を剥いでいる
真実をさらけ出している
滑稽で
呆れ果てる
一途で
守りたくなる
逃げ惑うすがたでも
こんなにも違うものなのか
巨人よ
貴様はなんのために生まれた!
我らに、真実を教えるためか!
ところどころで舞い上がる
土煙が
次第に大きくなる影を
いっそう際立たせていた・・・
 
大砲の玉でさえ
あいつには単なる空気銃だ
肩から上が分厚い雲に隠されて
効いているのかいないのか判らない
この絶望
どう表せばいいのか
今の僕には解らない
ただ無心で
踏み潰されないように駆ける
歯を食いしばり
顔いっぱいに力を入れて
前だけを見るしかない
風が体を刻んでいたとしても
 
止まらない
確実に届きだす
衝撃波
止まらない
巨人の左右の揺れ幅が
大きくなっていく
人には
止める術はないのだろうか
最後に残された
この巨大な槍が
やつの鼓動を止めなければ・・・
我々は終焉
を迎えるだろう
早く来い!
合図はまだか!
焦りが今にも溢れてしまいそうだ!
 
故郷の高台が見えた
僕は、剣を抜いた
天高く突き立てた
そして、荒ぶる愛馬の上に
立ち上がり
剣へ炎を宿した
 
私は、暗がりに浮かび上がる
希望の光を見た
それと同時に
後ろに控えていた兵士たちに
号令をかける
轟音とともに放たれる銀色の矛先
辺りが無音になった
周囲がゆっくりに見えた
余りにもゆっくりと
小さくなっていく槍
それは刹那のことかもしれない
それは私の強い願いが起こした幻かもしれない
鼓動だけが
いつも通り時を刻む中
周りの時間だけが行き遅れていく
 
僕は、見た
巨人の後ろからわずかに届いている
太陽の光を浴びて
銀色の希望が飛び立つ様を
届け
届け!
届け!!
冷えた体を包む
炎の温かさ
だが、それは夜より暗い闇の中に
飲まれた証拠でもあった
振り向いたそこには
もう・・・
絶望も何も存在しない
死だけが横たわっている
奇跡・・・
それが起こらない限りは
確実に待っていることだろう
世界が僕を中心に重くなっていく
今まで軽かった風が
空気が
体中にへばりついて
重くなっていく
巨人の歩く音が耳の奥から消えた
ただ、静寂の中をゆっくりと駆けていた
 
私は見た
音もない世界で
雲の中から崩れ落ちる
巨人の姿が
ゆっくりと
ゆっくりと
沈んで行き
後ろから
太陽が昇り出す
余りにも巨大な人間が大きく反り返って
自らが挙げた土煙の中へ消えていく
 
僕は、気がついた
光の中にいる
死んだのか?
いや・・・違う
奇跡が起きたんだ
スレスレのところで
死の影を交わし
その衝撃で吹き飛ばされた
ごろごろと転がり
馬諸共
近くの木々に受け止められた
その煙の向こうから太陽がのぞき
まるで巨人に行き場を失っていたかのように
風が一気に吹き抜けた
 
人々の歓声が巨人の土煙を押し返す
 
兵士たちは安堵で崩れ落ちる
 
私は、ただただ昇る太陽の方角を見つめる
そこにあったはずの幻想を見ながら
 
人々の歓声が鼓動ようになんどもなんども
届いている
 
淡い煙から巨人の足が浮かび出ている
つま先を天に向けて
 
僕は、無音の世界の中
本来そこに寝ていたであろう自分の姿を描き
生きている今を実感していた・・・