止まった時間
懐かしい町に迷い込んだ
最早変わってしまった風景の中
僕らの幻想があの頃の声を響かせて
横切っていく
思わずこぼれた笑みが
風を生んだ
昔、住んでいた家は
あのときのまま
中に入って居間に経ったままでいると
父さんの静かな格好が
母さんが寄り添う姿が
今にも振り返って
どうしたのと、声をかけてくれそうな
そんな気がした
おかしいよね?
そういえば
よくここで、ラジオ聴いてたっけ
今にしたら
雑音だらけで
聞くに耐えないだろうけど
それがなぜか
今では懐かしく
心和む
今では、灰色と白銀だらけのふるさと
あれほど近くにあった田んぼのあぜ道は
今では、あれほど遠くにある
変わった
変わってしまった
草のにおいも
土の香りも
風の涼しさも
水の音も
みんな遠くに行ってしまった
だけど
僕の中には
写真のように
動かないけど
動いている
時間がそのまま残されている
あの笑顔のまま
そのままに
止まった時間が
僕の中にコンコンと緩やかに
流れながら
あのときを繰り返し
止まっている・・・
思い出を背に
後にするふるさとは
僕の中であのときのまま
美しく輝いていた