藤木久志先生が去る9月28日にお亡くなりになり、昨日、葬儀・告別式が大船の鎌倉ファミリーホールで行われました。友人代表として峰岸純夫さん、後輩代表として入間田宣夫さんの心のこもった弔辞のあと、参列者一人ひとりが献花し、お別れをしてきました。

私は藤木先生のちょうど10歳年下で、学部学生の頃から先生の後を追ってきました。先生が結婚したての頃、横浜のご自宅までうかがい、帰りがけに奥様の手料理をいただいたこともあります。

研究会などの直接指導だけでなく、ありがたかったのは、論文抜刷をお送りすると、必ずご返事を下さり、葉書に小さな字でびっしり、時には葉書の表下半分までびっしり、よかったところ、これから深めるべき点を指導してくれたことです。時には、ほめられ、おだてられ、その気になって今の自分があるように思っています。つつしんで、ご冥福をお祈り致します。

SBS学苑では毎月のレギュラー講座のほか、1日講座が開催され、先日は「今川義元生誕500年を迎えて」と題する1日講座があり、私が「今川義元の実力と功績」と題して基調講演を行ったあと、元SBSニュース・歴史番組キャスターの松野輝洋さんとの対談がありました。

基調講演では主に義元による経済政策や家臣団のことを話しましたので、対談では、文化面、さらには女性たちの活躍ぶりについて活発な意見交換がありました。文化面では、和歌・連歌・茶の湯についてはよく知られているので、この日は、雪斎および弟の建乗が中心になって推進した印刷事業「駿河版」について掘り下げました。聴講者には新鮮だったようです。

女性も、氏親夫人寿桂尼についてはよく知られていますが、氏親の母北川殿、さらには初代範国の母香雲院まで飛び出し、「おばあさんの教育力」で盛り上がりました。松野さんが紹介した「今川でさらした娘はあくがぬけ」という川柳があることは知りませんでした。

 

ちなみに、明日10月3日、静岡新聞社より、たたらなおきさん作・小和田監修の『まんがでわかる! 今川義元ものがたり』が発売になります。

今川義元の生涯をまんがで分かりやすく紹介しておりますので、よろしくお願いします。

 

ミネルヴァ書房の「日本評伝選」が200冊を超え、それを記念して、過日、京都で読者との集い「明智光秀と本能寺の変の謎」が開かれました。

私が最初に基調講演として「明智光秀とは何者か」と題して話をしたあと、「本能寺の変―主君信長をなぜ討ったか」というテーマでディスカッションが行われました。天理大学文学部准教授の天野忠幸氏が司会を務め、パネラーとして、三重大学教育学部教授藤田達生氏、国際日本文化研究センター助教の呉座勇一氏と私が加わりました。事前に、私の知人が、「このメンバーで、議論が白熱し、喧嘩にならないか心配だ」と危惧しておりましたが、お互い紳士的にいい議論ができたのではないかと思っています。
この日の議論で、特に気になったのは、藤田さんの発言で、「私の説を足利義昭黒幕説という人がいるが、それはちがう。推戴だ」というあたり、印象に残りましたし、私自身は呉座さんがどういう考えをもっているか興味を抱いていました。呉座さんは、光秀が遠くへ飛ばされる恐怖が一つの引き金になったのではないかと話されておりました。いろいろな議論がかわされ、短い時間でしたが、充実した内容だったと思います。