先日、お彼岸の墓参りに行ってきました。静岡市内の慈悲尾というところにある増善寺です。増善寺という字をみて、オヤと思われた方もいるかもしれません。そう、増善寺殿喬山紹僖大禅定門、今川氏親の菩提寺です。

私の父親は農家の次男で、分家です。「墓はどこでもいい。宗派も何でもいい」といわれていました。静岡大学に赴任して、駿河古文書会の顧問を頼まれたのですが、そのとき、同会の中心になっていたのが、当時、静岡市立図書館の館員だった黒沢脩さんでした。黒沢さんがその増善寺の息子さんだったのです。

「一度、遊びにきて下さい」と誘われ、氏親の木像や古文書を見せていただいたあと、氏親のお墓にお参りしたのですが、途中、「墓地分譲中」の立て札を見つけました。値段を聞くと自分にも買えそうな値段だったので、数日後、父を連れて行き、買うことにしました。「場所はお好きなところをどうぞ」といわれたので、氏親の墓にできるだけ近いところを選びました。どうせなら、死後、氏親の近いところで眠りたいと思ったからです。

それはそれでよかったのですが、今年、思わぬ事態に直面しました。90歳になったばかりの母と墓参りに行ったのですが、「階段が急で危ないから、私は下でお参りする」というのです。10段ほど段のある上から2段目で、しかも、長い階段には手すりもないので、無理に思ったのでしょう。そこまでは計算していなかったことを悔いています。