田辺聖子「十八歳の日の記録」から | 岳紫のブログ

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田辺聖子「十八歳の日の記録」から

  文藝春秋7月号の田辺聖子「十八歳の日の記録」を読んだ。作家田辺聖子さん(1928~2019)が十八歳の時に記録した日記、丁度太平洋戦争真っ最中であった昭和20年(1945)4月から終戦後の12月までであるが、文学少女だけでなく、時代を見つめる能力など、記録されている内容・文章はやはり天才少女であった。

 その中で、昭和20年(1945)4月14日の日記に

「全く日本くらい、実力もないくせに老人が威張りちらす国はない。すべて若人のみが時代の推進力であるのに、役にも立たぬ老人が立ち塞がって有意の若者の行手を閉じつける。老人なるものはただ、若者の背後に在ってややもすれば激突に走りやすい若人に適当な助言と温い訓戒を与えればよいのだ。老人よ引っこめ! 若人よ大いに伸びよ。」と記されている。

 戦時下の十八歳の少女の考えは、現在の社会・政治の世界にも云い当てはまることが多いのではないだろうか。自戒を込めて。(岳紫のブログ2890)