2023年4月23日(日)。もうすぐゴールデンウィークを控えていたので、ゴールデンウィーク中の大掃除について漠然と計画を立てていました。

 今まで働いていた職場は結構休みが取りやすいところでしたので、昔からわざわざ料金も高くなり混んでいて人混みで疲れるしかないゴールデンウィークやお盆休み、年末年始には旅行に出かけることはありませんでした。
 そして最近は年末の寒い時に水を使う大掃除をするよりも、暖かくなってきたゴールデンウィークに大掃除をする方が楽だし、濡らしたところも早く乾くから良いよねということに気が付いて、窓拭き等の水を使う大掃除をゴールデンウィークにすることにしていました。
 それに加えて、父が亡くなり、母も特別養護老人ホームに入所して、自宅に住んでいるのは私一人になってしまったため、両親が残した大量の不用品の始末もしなくてはならなくなっていました。一気にやれるほどの体力は私にはありませんので徐々に進めていました。
 そんなことをのんびりと考えていた日曜日の午後に、突然玄関のベルが鳴りました。
 昔と違い、ほとんど誰かが訪れることもなく、最近では宗教や物品購入の勧誘くらいしか鳴らされることのないベルでしたので、玄関が見える2階の窓から、誰が訪ねてきたのかを覗いてみました(町会の人や氏神様の神社の人が来ることもあるので、無視はちょっと出来ませんでした)。
 すると中年太りの男の人が1人立っていました。
 町会の人でも神社の人でもありませんでしたが、見たところ、何かの勧誘にも見えなかったしので、その窓のところから声をかけてみました。
 「何の用ですか?」と。
 その声で上を見上げた男は、こう言って来ました。
 「この土地の地主が替わったので、その挨拶に来ました。」
 えっー!!何それ、聞いてないよ、そんなこと!!
 慌てて1階に降り、玄関を開けると男が待ち構えていました。
 「Tさん(前の地主)からこのあたりの土地を購入した会社のものでHと申します。」
 確かに前の地主はTさんです。で、昨年の11月にその前の地主から替わったばかり(多分相続)のはず。それがどうして、突然業者に売却してるの?
 突然のことで驚いてしまいましたが、ここの土地はTさんの物なので、それを売却するのはTさんの勝手。そんなことはわかっています。でも、前触れもなしにいきなり現地主の会社が訪ねてくるものなの?
 驚いて固まっていたら、内容を理解したものと解釈したのか(まあ、言っていることはわかりましたけどね)、畳みかけるように「ここの地代は…」と金額的なことを話し始めたので、とりあえず話を止めました。
 こんな外で、金額的なことを言う?しかも年相応に大きな声で?
 ありえない!
 仕方が無いので、玄関の中に招き入れることにしました。

続く