こだわりのつっこみ -21ページ目

こだわりのつっこみ

素人が音楽、小説、映画などを自己中心的に語ります。

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 いったん何かを心に決めると、そのための冷静な算段以外は、事の是非や損得の判断や感情などの一切が消えてしまう。自分がそういう男だということに気づいたのは、十六歳で同級生だった女生徒を追い回し、二階の窓から相手の自宅に侵入して警察沙汰になったときだったが、そのときも実は、その女生徒に心底恋焦がれていたというのではなかった。以来、自分がやろうとしたことにはいつも、自分でも説明のつかない空白が伴っているのを自覚してきたが、まさにそのときも似たような感じだった。一彰は、朝に目覚めたときと同じ、重力しかない何者かであり、まるで興奮していなかったし、冷静だったのだ。
(p22-23より)


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一彰という主人公が、その心の空白を次第に埋めていく、そんな長大な話です。
高村薫さんの長編李歐を紹介します。

今回は、読むのに苦労しました。
その理由としては、まず、長いということ。文庫にして約500ページ。そして登場人物に中国人・朝鮮人が出てくるので、特徴が掴みにくかったこととあわせて、余計に長く感じました。

そして、時代背景や舞台設定が自分に馴染みの薄いものだったことです。
時代は1970年代から90年前くらい、舞台は主に大阪なのです。さらには登場人物の一人、守山耕三からは1930年代の満州事変から日中戦争にかけての話も語られることで馴染み薄さはパワーアップしたりと、なかなかキツかったです。

そして、本来は恋愛物だったり冒険物だったりという本をこれまで愛読していた自分にとって、この本のようないわゆる「ハードボイルドもの」に慣れていなかったということが一番の理由のような気がしました。

しかし、裏を返せば、初体験ということでかなり新鮮で、読み応えがありました。
割に冷静な文体ながらも、そのスリリングなストーリー展開によって、思わずうなってしまう所も多々ありました。

物語は、どこか感情が欠落した吉田一彰という主人公を軸に、闇社会に足を踏み入れたり(もしくは成り行き上で踏み入れることとなってしまった)、守山耕三や娘の咲子、刑事の田丸、裏社会の原口や数々の女性らと触れ合ったり、李歐と呼ばれる同い年の中国人とかかわり合いながら、自分の生きる道を模索していく、といったような内容です。

では以下はネタバレ含むので、いやな方は見ないで下さい。








李欧 (講談社文庫)/高村 薫
¥780





 




~1回目 2010.1.14~

自身の頭の整理をつけるためにもあらすじをざっと書いておきますと、

大阪大学に通う大学生の吉田一彰
彼は一時期、祖父母のもとで東京で育ったのですが、実は以前、大阪に母と2人で暮らしていました。守山耕三が経営する守山工場のそばで。
しかし、母は守山工場の従業員と2人で駆け落ちたために、一彰は東京で暮らすことになったのです。

そんな思いから、大阪にやってきて、当時工場にいた中国人・朝鮮人の従業員を探すことになります。
とはいえ、別に母を探したいとかいう明確な目的はなく、感情の欠落している一彰のこと、なんとなくといった方がいいかもしれません。

そんな中、一彰はふとしたことから殺人の幇助をすることになります。
しかもそのターゲットとなっていたのは、かつて母とかけ落ちた男も含まれており、ここからいよいよ一彰の人生が大きく動き始めます。
犯行を行った銃撃犯が、不思議な魅力を持つ李歐で、事件後、その李歐を匿っていたのはかつて子ども時代に縁のあった守山工場の工場主、守山耕三。さらには笹倉という闇社会に生きる老獪な男も射殺事件の実行犯の一人であり、守山とも銃を作らせていたということで関係があり、幼少期の一彰も知っていたといい、一彰と以後様々な場面で関係してきます。

李歐は、笹倉が取り引きに使う銃を横取りし、金儲けをしようと、一彰に呼びかけます。
一彰はその提案に同意し、
ここから何やら普通とはいえない、一彰と李歐の友情を超えた仲が濃密になっていきます。
2人は銃略奪をうまく成功させ、その足で李歐は中国大陸で一旗挙げることを一彰に言いのこし、日本を去っていきます。一彰はそんな李歐に、「待っているから、いつか自分を中国大陸へ連れて行ってくれ」と嘆願し、この壮大な願いが以後一彰の生きる道となっていくのです。

李歐が日本を去った一方、一彰は横取りした銃を笹倉と取り引きし、守山が笹倉から借りていた金を帳消しにするという約束で返却、殺人幇助での数年間の懲役刑を経て、守山工場で働くことになり、守山死後は、守山工場の2代目として工場を守っていきます。
さらには守山の娘、咲子とも結婚をし、子どもを授かり、それなりに安定した生活を送りますが一彰はなんだかスッキリしません。

それは、李歐との約束があったから。

しかし、そんな折、李歐は途中、死に瀕する場面もありながら、約束どおり、大陸にムラを作っており、一彰をいつでも迎えられるとの事。

一彰は日本での今の生活と、約束とに悩みます。
咲子にも相談するのですが、咲子は当然反対します。あわや離婚という状況がありながらも咲子と邂逅、咲子も一緒に中国へ渡ることを考えるということに。
しかし、その矢先、咲子は何者かが送ってきた爆弾によって帰らぬ人に。

一彰は、もはや自分が生きる道は中国しかないことを実感し、息子と共に李歐のつくった中国のムラへ行くのです。


・・・なんだか核心をきちんと話せていない様なあらすじになってしまいましたが(笑)、次に感想を書いておきます。


まず、一番に触れておかなければならないのはタイトルにもなっている、中国人の李歐。一彰ほどの登場シーンはないものの(実際李歐が一彰と絡むのは前半のクライマックスと最後の少ししかないのですが)、その存在感は圧倒的なもので、一彰でなくともそのキャラクターに惚れてしまいそうですあせる

その李歐と一彰との関係は、友情以上の同性愛的な雰囲気を感じさせます。
一彰は男として李歐に魅力を感じているというより、李歐といると骨抜きにされている、熱にうなされているとも言えるかもしれません。
それは例えば、李歐が一彰に銃の横取りをしようと持ちかけられた、その李歐の声を頭の隅に置きながら、房子という中年の女性と性行為を行うのです、それはそれは激しい興奮を伴って。
または、李歐の生死を他人から聞くにつけ異常なほどに一喜一憂するところからもそれが伺えます。

そして、その李歐と、最終的に手を結んだのが笹倉。かつて李歐と一彰に銃を略奪され、目の敵にしていただろう彼ですが、彼もまた李歐に惹かれた一人なのでした。
しかし、それと同時にこの事実は、月日が経つと色んな状況が、当時には到底考えられないくらいに変わってしまうことがある、という歴史的法則すらも物語っている気がします。
物語は冷戦真っ只中の60~70年代を主軸に、その冷戦の崩壊までを追ったものですが、冷戦最中にあと数十年で冷戦は終わる、ということは夢物語だったはず。
しかも、冷戦時、共産主義国である中国に渡航するということは、現在の旅行感覚では全然なくて、死を賭した命がけのものだったはずです。
しかし、世界は変わった。冷戦も終わり、中国も市場開放が進みつつある。ゆえに中国への渡航はすんなりと行けるようになった。一彰はそこで決心した間もなく中国へ向かうことが出来たのです。
そう考えると、人の気持ち、歴史、これらが年月が経てば何かしら変わっていくことを示すと同時に、変わらないもの、つまり一彰と李歐の気持ち、これがより強調されて普遍的なものに感じました


次に、一彰と守山耕三との関係。
これは思わずうるっときてしまいます。おそらく2人はお互い親子だと思っていたでしょうが、そこに至るまでは様々な葛藤があったのです。
特に守山は、
 ・自分の工場の従業員が一彰の母親と駆け落ちをしたことによって、一彰の人生が変わってしまったこと。
 ・実は、工場では密かに銃の製造を行っており、そういった闇の部分を一彰に触れさせたくなかった。
ということから、一彰が守山工場に勤めるということに、一彰と関わっていくことに躊躇があったのでしょうが、それがすでに親心といいましょうか。
むしろ、守山は幼少の一彰に対して、すでに親のように接していたのではないかと思います。
母親の駆け落ち当日、守山は一彰を喫茶店に連れて行き、その帰りに不意に守山に抱き上げられるのです。一彰に対して色んな思いがあったのだと思うと、この場面は胸が苦しくなります。
だから、結果的に守山工場を継ぐようになり、まるで親子同然の生活を少しでも送れたということは、守山にとってすごく幸せだったのだろうなぁアップ


最後に、一彰と咲子の関係。
一彰は、自分を感情が欠落しているとか、冷静に物事を考えると分析しているようですが、咲子と出会い、耕太という息子を授かるにつれ、それが変わっているように思います。
もちろん、一彰は気づいていないだろうけども。
しかし、現に咲子が家を出てしまって、色々考え事をしながら機械で指を怪我してしまうこと、なにかと耕太にかまうそのパパっぷりは、少なくともいい家族じゃないか、いや、むしろ普通のよくある家庭ではないのかとも思えてしまいます。

端から見れば幸せだと言うことでも、当人は気づいていなかったり、否定したりする。
でも、これって実は普通によくあることであり、確かに若い頃は無茶をした一彰ですが(もちろん本人はそう思っていないだろうけど)、守山耕三や咲子や耕太と触れていき、また次第に年をとっていくことでいい親父になっていったんじゃないなぁと思いました。

ただ、普通の親父と決定的に違っていたのは、一彰には李歐がいたこと
夢を追って大陸に行く、というよりは、大陸に行くことが彼の生きる道になっていたという迫真の決意は最終的に果たされますが、咲子を爆死で亡くしてしまったことで、より未練がなく中国へいけたんだろうなガーン



この小説、前半は読みやすいとはいえませんが、後半に行くにしたがい各登場人物それぞれに愛着のようなものが湧いてきて、面白いです。
機械のことには疎いので、旋盤のしくみや銃の構造なんかを細かく説明されたのはきつかったですが、一彰が、頭でこんなことを考えているのかと思うと、それすらも愛着が湧きました。



 
総合評価:★★★☆
読みやすさ:★★
キャラ:★★★☆
読み返したい度:★★★★

 
GAME/Perfume
¥2,800
Amazon.co.jp

 概要:2008年に発表された、Perfume初のオリジナルアルバム。2008年4月28日付のオリコンアルバム週間ランキングで1位を獲得し、現在50万枚近くの売り上げを誇る。

総論: 
 「ポリリズム」を初めて聴いた時、「ふーん、なんかいいメロディだな」とふと感じただけだったのですが、その後CMやテレビ番組で聴くにつれ「なんか面白いぞ、でもどこがポリリズムなんだろう?」と惹きつけられ、さらにラジオ番組で全編が通して流れ、ポリリズム(ポリループ)部分が本当にあったことで、「あぁ、まさかラブラブ!」と驚愕、CDショップに走り、Perfumeを追いかけることに決めたのです。

 しかし、元来アイドル物は苦手なので、元来自分が定義してきたアイドルとアイドルの歌、それとPerfumeの音楽とのギャップに見事に引っかかってしまった、いい意味で裏切られたのです。もちろんメロディも秀逸なのですが。

 そんなこんなで手に入れた『GAME』ですが、久々にハマってしまったアルバムで、その聴き込みも自分の中ではかなりのもので、まさに魅了されたのです。

 Perfume人気はいまさら語るまでもありませんが、それでも元来のアイドルが好きな方々のみならず、YMOのテクノ音やファミコンの電子音に親近感を持つ世代、踊りを真似したがる子ども世代、クラブで踊る人々、さらに私のような中途半端に歌詞ではなく音を愛好する偏屈者、というあらゆる人々を虜にする所が人気に拍車をかけているような気がするのです。

 『GAME』は「リニアモーターガール」から始まったといわれる、いわゆる近未来テクノを実らせたPerfumeの成長の記録、集大成といえるような珠玉の作品が数々収められたアルバムだと思います。しかし、王道の電子音・ヴォコーダー処理声の歌だけではなく、生音・生声が比較的押し出されている歌もあるし、疾走感がある歌もあればバラードもあるということで、飽きずに楽しめます。


抄説:★は5つが満点で☆は0.5点。さらに違う色のタイトルにクリックしていただくと偏狭な思い入れの記事に飛びます。
1.ポリリズム  ★★★★★
 この歌でPerfumeを好きになったということで満点です。

 分かりやすいメロディながら、やっていることは高度で斬新な音楽的要素を盛り込んでいるという、Perfumeの歌の原型なのではないかと思えるような作品です。

 しっかし、何はともあれ、この手の歌にポリリズム(ポリループ)なんていう技法を織り交ぜることその1点だけでも、音楽史に記録されるべき画期的なものだと思います。


2.Plastic smile  ★★★ 
 歌詞も音楽も王道、といった感じです。
 
 アルバム曲なのですが、それにしてはもったいないくらいのクオリティの高さ。
 
 ただ、王道だけに、「すわーすげー」という感は少ないです。むしろ「Perfumeっぽい」というほほえましい感じがします。


3.GAME  ★★★★
 電子音にエレキギターのサウンドが重なって、そのブリブリした感じが癖になります。

 アルバムタイトル曲というだけあって、今までのPerfumeとは違う、大人なそのサウンドは、より高いステージへ飛躍ような印象を受けました。

 3:36のサビの直前なんかで無音をつくったり、メリハリがついている感じがいいです音譜


4.Baby cruising Love  ★★★★★
 「ポリリズム」の後に出すシングルはどうなるのだろう、と思っていて異常なほどに期待をしていました。

 そこにきてこのような雰囲気が全然違う、ミディアムなバラード。
 正直、初めて聴いた時は「あれ~、期待はずれだなぁ」と思ったのです。

 しかし、スルメ曲とはまさにこのこと!!
 聴けば聴くほどどんどん惹きこまれるのです。今ではすっかり大好きに。満点ですから。

 生のピアノ音と、電子音・ヴォコーダー加工の歌声がいいのなんのニコニコ特にピアノが感情的にコードを鳴らしている感じがほんと、美しい。

 声もかわいらしくて良いです。4:00からのサビの追っかけ+ハモリは聴き手に迫るものをもっています。

 多分、アルバム内での曲順もいいように作用してるんじゃないかなぁと思います。ブリブリの「GAME」のあとの生音混入のミディアムバラードですから。


5.チョコレイト・ディスコ  ★★★
 チョコレートじゃなくてチョコレイトですからねビックリマーク
 レトロだにひひ

 この歌がPerfumeを表舞台に引き上げた代表曲だと思うのですが、最後の「ディスコ」を連発する感じが個人的にはあまり面白くありません。曲終わりの「ダーン」という音で切られるのもなんだか好きではありません。

 でも、これが新たなバレンタインデー・ソングになってもらいたいですけどね~。


6.マカロニ  ★★★☆
 こちらも「Baby cruising Love」のように生音が比較的重視されている歌です。
 特にドラムの突き抜けた音、すごく好きです。

 Perfumeはハモリも魅力の一つだと思うのですが、この歌はブリブリしていないので、その普通じゃないハモリを堪能できます。

 ラストのサビで出てくる、オルガンのような音色でアルペジオのようなオブリガードのようなふやふやしたメロディもいいです。

7.セラミックガール  ★★★★★
 2曲目の「Plastic smile」のような王道なのですが、こちらの方が断然好きです。

 というのもこちらの方が疾走感があって(例えばAメロディの早口で歌う部分)、音楽的にも、うなる部分が多い(例えばAメロディで早口で歌っているくせにハモっている、声の加工で間奏を奏でているなどなど)からです。

 なぜか、ボンゴもAメロディには「ポポン」とさりげなく鳴らされたりして、なんとも可愛らしいのです。

 若い女の子らしさがでているような、爽やかさがとても好感が持てます。


8.Take me Take me  ★★
 この曲がこのアルバムの中ではあまり好きではありませんガーン

 まあ、あまりいい歌がありすぎでも疲れてしまうので、こういった曲も必要なんですが。

 アンニュイな感じで、ブリブリしている割に眠気を誘うような、そんな曲です。
 狙っているのかどうか分かりませんが、1:40で伸ばしている音なんか、不協和音になってるし雷

 しかし、アコースティックギターがピックアップされていたり、異色な感じがするのは間違いなしです。


9.シークレットシークレット   ★★★★★
 「Perfume劇場の幕開けです」といったような始まり。アルバム曲とは到底思えないクオリティの高さ。
 最初の暗い感じの前奏はそこまで好きではなかったのですが、サビはなんだか懐かしいような歌にも感じられます。サビは一聴き惚れとでも言いましょうか。

 サビの繋ぎでベースが飛び出るところなんかも一風変わっていて面白いし、最後のサビに入るとハモリが増えていたりするなど、オーソドックスな展開ながらも工夫が随所に凝らされていて、素敵です。


10. Butterfly  ★★★
 しょっぱなからオリエンタルな雰囲気。
 ジャングルみたいな音鳴ってるし。
 上へ下へと続くアルペジオが前奏だけでなく、所々にあらわれて、なんとも言えぬ妖しげな空間を作ります。

11.Twinkle Snow Powdery Snow  ★★★★★
 この歌も名曲です。
 疾走感がものすごく、きらめくようなエレキピアノがまるで粉雪のようであり、かといってそれだけではなく、シンセベースがブリブリと鳴り、Perfume節とでもいいましょうか。

 2番に入って、音が静かになり、だんだん盛り上がって2:25あたりからの「snow~~~」の伸ばした声は特に素晴らしい。
 その後のサビでイントロがバックのメロディとして流れるあたり、かなり計算されたものだと分かります。
 疾走感はだれることなく最初から最後まで貫かれ、「冬」=「雪」=「切なめのバラード」という定式からは大きく外れた秀作ですビックリマーク

 「ポリリズム」の前に出された4thシングルの中の1曲(もう1曲はチョコレイト・ディスコ)で、バレンタインデーに発売されたようで、そのあたりがアイドルとしての戦略という感じがしますが(歌詞も男心をくすぐる可愛らしさあり)、音を聞くと、彼女らがアイドルだけの枠には留まっていないアーティストとしての非凡な才能を知ることができます。


12. Puppy love  ★★★★★
 『GAME』の最後を飾る歌なのです。
「ああこの曲で終わりか」という感覚もあるのですが、「彼女たちは一体どこまで変化を遂げるのだろう?」と思わせてくれるような、なんか発展的な予感を感じさせるような濃い歌でもあります。

 スピードは前曲ほどは速くないものの、心地よいスピード感で、生音(特にピアノとドラム、ベース)が電子音よりも印象として残るような仕上がり。電子音やヴォコーダーを使わずとも十分にやっていけるんじゃないか?と感じました。

 いつも思うけど、中田ヤスタカさんは、ピアノの音をキレイに、そして効果的に鳴らすのがうまいなぁと思います。

 結果的にはこの記事を書いている現在、ロボットのような感情のないテクノ声の歌もあれば、「Dream Fighter」などといった感情を込めた生歌路線もちょくちょく登場してきていることから、その幅の広さも含め、この人たちの動向が楽しみなのですニコニコ

 
 
インソムニア/鬼束ちひろ
¥3,059
Amazon.co.jp


作詞者:鬼束ちひろ
作曲者:鬼束ちひろ
編曲者:羽毛田丈史

概要:2001年に発表された4枚目のシングル、および同年発売された1枚目のアルバム『インソムニア』などにも収録されているバラード。CMやテレビドラマのタイアップとなり、さらには第43回日本レコード大賞作詞賞も受賞したばど、鬼束ちひろの代表曲の一つとなっています。


色:黒。
場面:暗い部屋で物憂げに聴く。
展開:前奏-A-A'-B-C(サビ)-A-B-C-間奏-D(展開)-C-C'-後奏

キーワード:歌にあわせて曲も盛り上がる定番。しかしベタだからこそ難しいのだ!

総論:
 「歌姫」と冠する女性歌手は日本に数多くいますが、この鬼束さんもその一人として挙がります(まあ、少し人気のある女性歌手にはこの称号が与えられるわけで、日本にはいったい何人姫がいるんだいってつっこみたくなりますが、、、しかし鬼束さんにはすんなり納得してます、自分は)

しかし、そのアカペラだけで聴かせるだけの能力がある歌姫がうたう歌に、楽器をつけるということは、時としてその歌を殺してしまうこともあるわけなんですが、より音楽として盛り上がらせるためにも楽器は必要で、楽器の使い方やアレンジはとっても重要だと思うのです。

 この眩暈に関して言えば、まさに「歌を十分に聴かせ、なおかつアレンジで盛り上げる」という成功例だと思うのです。歌の盛り上がりにあわせて楽器が増え音量をラストに上げていくというのは結構ある手法だと思うのですが、これがなかなか難しい。
 このアレンジ方法だと序盤は楽器が少ないので、歌が巧くないといけない。さらに後半曲が盛り上がっているところで歌がかすんでしまう。ということから、ベタではありますが、歌手・アレンジが一体とならないと中途半端になってしまうのです。

 ゆえに鬼束さんの歌唱力、そしてアレンジの二つが見事にバランスが取れているからこそ、この歌は名曲と呼ぶにふさわしいのです。しかも、ただ「楽器が少ない⇒多い」というだけではなく、使う楽器を見事にぶつけてきている、まるでラヴェルの『ボレロ』を聴いているかの如しです。

 では、どのような楽器が、どの場面で、どう増えていっているのかを聴ける範囲でできるだけつっこんでみたいと思います。



つっこみ:
前奏
 印象的な流れるピアノとアコースティックギターの旋律による前奏で、2回同じメロディが繰り返されます。2回目のメロディの直前にチェロの音色、2回目の主旋律をピアノとシンセフルート(と呼んでいいのか分かりませんが、やわらかいシンセサイザーの音)で彩られ、所々でリズム隊のタンバリン、ボンゴ、シンバルが入るといった落ち着いた出だし。

1番 A
 まずは、1番に入り、前奏のアクセントとなっていたリズム隊が消え、ピアノとギターのみになります。静けさの中でも鬼束さんの力強く、切ない丁寧な歌声とピアノとがマッチしていい感じです。

1番 A'
 もう一度繰り返されるAメロディ、ここでタンバリンがさりげなく加わります。一聴すると、「あ、そういえば鳴ってる」くらいのもので、決して歌とピアノ・ギターの邪魔はしていません。
 しかし、このタンバリンが出てくることで、Bメロディの楽器の加入が大げさではなくなり、徐々に盛り上がってきているぞ、という印象を持つことができるのです。

1番 B
 大きく変わったといえば、シンセフルートが、オブリガードを奏でていること。この音色はYen Town Bandの名曲『Swallowtail Butterfly~あいのうた~』の前奏の主旋律を奏でていることで有名な音ですが、なんとなく郷愁を抱かせる遠い音色です。なので、オブリガードにはもってこい、鬼束さんの声との相性もばっちりといった感じ。
 さらにリズム隊にボンゴが加入。安直にドラムセットが入ってもおかしくありませんが、スネアドラムの乾いた音とこの曲は合わない感じがするので、湿り気のあるボンゴの音色は絶妙。

 サビ直前、1:15あたりに急にベースが入り、ピアノなどと「たん、たたたん♪」とサビへの繋ぎをしています。しかもベースはハモリを加え。

 そういえば、この歌は「たたたん」もしくは「たららら」と音を上げるというメロディが多く、これが曲のアクセントでもあり要所にもなっているように思います。
 例えばサビ直前の繋ぎでは「たたたん」と入っているし、そもそも前奏も「たん、たたたんたん」と始まっているし、A'メロでもギターが0:51あたりでさりげなく「たららら」と上げ音進行しています。

1番 C(サビ)
 サビでは楽器編成はBメロディ時にプラスしてエレキギターがリズム隊としてほんとうにさりげなく入っていること、そしてコーラスが加わっているということが特徴的です。
 
 やはりサビはメロディとは違う雰囲気を持たせることが大事だと思うのですが、あまりにも急激に変化させると、せっかくここまで築いてきた丁寧な歌が壊れてしまう恐れがあります。特にバラードではこの変化の度合いが大事で、 そう考えたとき、ストリングスではなくコーラスを、エレキギターのさりげなさを、シンセフルートに16分音符のアルペジオを弾かせていること、どれを取っても抜群のアレンジだと思います。

2番 A
 2番のAメロでは、1番のAメロにはなかったベースが加わり、曲の安定感をもたらしています。
そう考えたらこの歌、なにかしらメロディごとに変化を加えていますニコニコ

2番 B
 1番のBメロの楽器編成に加え、ベースとコーラスが加わり、嫌でもこの曲は「クライマックスに向けて盛り上がってきているぞ!」ということを実感。

2番 C(サビ)
 さらなる変化として、ハモリの旋律が変わり、コーラスというより歌の主旋律とかぶさってきています。なんだか賛美歌みたいに。2:35付近で「あ~、ああ~」と音に変化を加えているところ、すごく甘美です。
 そして、バスドラム、シンバルもさりげなく加わってきています。これでスネアドラムが入れば、普通のドラムセットとして完成するのですが、スネアが入ってくるのは、間奏からなのです。

間奏
 この間奏、すごくすてきなメロディです。楽器は、バグパイプのような哀愁のある切ない音色なのですが、それを補完する楽器としては、ストリングス、そしてドラムロールで満を持して登場するスネアドラムです。
余談ですが、この2:50から始まるバグパイプ旋律の間奏も音上げの「たらららら~」で始まっています。なんとも完成度が高いというかなんというか、、、脱帽です汗


展開部
 この展開部、加わった楽器はないものの、転調されているので、雰囲気をがらりと変えた格好となっています。歌も次第に熱を帯び、興奮にも似た熱いものがこみ上げてきます。思わず歌ったりしちゃったりしてガーン
そして、最後のサビ2回締めが待っているのです。

ラスト C(サビ)
 今まで登場した楽器、ピアノ、アコースティックギター、タンバリン、シンセフルート、ボンゴ、ベース、エレキギター、コーラス、ストリングス、ドラムセットが勢ぞろいでこの曲のラストのサビを飾ります。
 この歌をじっくり聴くまでは、てっきりピアノのみで歌われているのかなと思ったのですが、そんなことは全然なく、細部まで凝らされているアレンジで、歌を盛り上げていたのです。
 そして最後の最後のサビでは、鬼束さんの歌に変化が。

ラスト C'(サビ)
 楽器は同じアレンジなのですが、なんと鬼束さんの歌のメロディが変わっているのです。
昔、ウルフルズの『バンザイ~好きでよかった~』でもラストでかなりアレンジを加えたサビというのがありましたが、この『眩暈』でもそれがみられます。
 
 しかし、この変化は単なる即興的な変化ではなく、かなり練られたものなのではないかという風に感じてしまいます。
 というのも、それまでのサビの「あなたの」「腕が」、「声」「が」、「背中」「が」、いずれも、前者のほうが音程が後者よりも高く、そうすることによって、気持ちを抑え込んでいるという印象を受けるのですが、このC'のサビの変化では、「あなたの」「腕が」、「声」「が」、「背中」「が」が、逆に後者の方が音程が高くなっているのです。これまでのサビが抑え込んでいるとすれば、最後のサビは、気持ちの解放を表しているようです。

 そうしてその熱気そのままにこの歌は進み、しかし最後は前奏にシンバルを加えただけ、という最初の穏やかさに近いアレンジで終わるのです。

 巧い歌手の歌は、歌詞や歌声や歌い方についつい耳が行きがちですが、少しひねくれて(笑)アレンジに注目すると、新たな発見があって面白いですなぁ~音譜
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 「梨利だってずるいよ」
 と、勝田くんは白い息を吐きながら言った。
 「とくに今日なんてずるいよな。あんなふうにひとりで部屋に閉じこもって、オレからもさくらからも逃げて、ひとりでいじけちゃってさ」
 「それってずるい?」
 「ずるいよ、なんか自分だけ不幸みたいで。梨利は人より大変な性分に生まれついたと思ってんのかもしんないけどさ、自分の弱さを怖がってんのかもしんないけど、でもほんとはみんな一緒じゃん。だれだって自分の中になんか怖いもんがあって、それでもなんとかやってるんじゃないのかよ」
(p144より)


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うわー、これはもうほんとすごい小説です。素晴らしいですほんと!!
文字通り読みながら息が止まってしまうということが何回かありました。それは登場人物の苦しさに同調したことに対して、そして、次第にそれまでちりばめられていたものが集まっていく(ネタ回収とでも言いましょうか)ことの作者の手腕が巧みなことに対してです。

森絵都さんの本領発揮された代表作の一つだと思っているつきのふねを今回語らせていただきます。


 
主人公は中学生のさくら。さくらは梨利という親友がいたのですが、ある事件をきっかけに、絶縁状態に。
そのことにさくらはどうしようもない後悔の念と無力への自覚により、どんどん不良に走っていく梨利に対してなにもできないでいます。
そんな梨利を好きでストーカーよろしく追っていた勝田くんはそれを察して、今度はさくらに付きまとい、絶縁状態になった2人の関係を修復しようと躍起になります。

さくらの唯一の心の拠り所となっていたのは、さくらと梨利が絶縁状態になったきっかけの事件に関係がある大学生の智さん

さくらを追っているうちに勝田くんも智さんと知り合いになり、ここからさくらと梨利と勝田くんと智さんの心の物語が進んでいきます。

この物語を一言で言えば、各人の心の闇とその再生、とでも言いましょうか。

では以下はネタバレ含むので、いやな方は見ないで下さい。








つきのふね (角川文庫)/森 絵都
¥460




 




~1回目 2010.1.5~

あれだけ最初にこの小説を褒めておきながら書くのもなんなんですが、まずはこの小説に対して自分なりに惜しいなぁというかうーんと思ってしまったことを書いておきますショック!

智さんが失踪したことが発覚してから、学校での火事のシーン、そしてラスト。
ここまでが若干長いんじゃないかなぁと思ったことです。

恐らくこのシーン、映像にしたらすごく短く、しかも印象的な、ダイナミックなものとなると思うのです。
森さんはその映像を端的な言葉で書き表すことが出来たと思うんですが、
火事のシーンは特に文章で前へ前へ押しすぎているという印象を受けました。



さあて、ここからは熱くうざいトークで(笑)

まずは、上のあらすじで触れた「ある事件」ですが、これはコンビニで起こした窃盗事件のこと。好奇心ではじめたさくらと梨利の窃盗ごっこですが、次第にエスカレートしてボス格のクラスメイトとその彼氏のような人物からのノルマが課せられ、窃盗が仕事化していくのです。

仕事化した窃盗団の暗黙のルールは、「捕まっても仲間のことはばらさない」ということ。
しかし、さくらはこのルールを破ってしまうのです。コンビニで窃盗した時にさくらが捕まった際、梨利の手を掴んでしまったということで。

それをきっかけにコンビニの店員だった智さんと知り合うのですが、しかし、それ以来さくらは梨利に対しての罪悪感が襲い、ろくに目を合わせることも出来ないのです。

そんな梨利ですが、彼女はさくらが自分には持っていない部分(頭のよさなど)をコンプレックスに抱いていて、さくらと疎遠になったあとには、自分を汚していくように万引きグループとの結びつきを強め、薬物や売春の斡旋に手を染めていくのです。

さくらが窃盗事件で知り合った智さんは凄く不思議な人で、精神的に病んでいるといいますか、幼い頃に離れ離れになってしまった親、そして親友とつながっていたいがために、人類を乗せることの出来る船の設計図書いたりしています。

そして勝田くんは勝田くんで、一人になることが無性に怖く、そのことからさくらや梨利を追いかけ、仲が良かった2人に戻そうとしているのです。

こうしてみると、各人が各人、心に不安や空虚感を抱き、そして現状をどうにかしたいともがいているのです。

それらを繋ぎ止める役として勝田くんは非常に重要だと思います。彼はストーカー的ではありますが一番冷静にこの状況をなんとかしようと躍起になっているのです。

たとえば、それは偶然ではありますが、勝田くんが作成した予言、

「 一九九八年 最後の満月の夜
  水城小学校の屋上に
  真の友 四人が集いし その時
  月の船 舞い降り 人類を救う
  すると人類は もう宇宙船を造らなくてよくなるであろう 」
(p101)

で、4人が一堂に会することに。

結果的にはこの予言は見事に的中します。

4人は水城小学校に集う。
屋上で壊れたさくらの楕円形のバレッタが水に浮かぶ姿が月の船に見える。
智さんもおそらく宇宙船を造らなくなるのでしょう。

バレッタを月の船にするというのはすごく巧みな演出だと思います。
息が止まりました。

それ以外にも息が止まったところを。

さくらが勝田くんの予言通りに4人の真の友を集めるために、梨利を電話で呼び出す場面。
これまでさくらと梨利はなんともいえぬぎくしゃくした感じだったのですが、それを以前の親友同士だった仲に戻す言葉。

「「梨利」
 低くささやくと、受話器のむこうですうっと息を吸い込む気配がした。
 あたしも大きく息を吸い込んで、言った。
 「会いたい」
 会いたい…。」
(p187)

このたった一言が言えず、このたった一言が全てこれまでのぎくしゃくを晴らしてくれるのです。
余計な言葉は要らない。なんてったって昔はなくてはならない、いつも一緒にいた仲だったのだから。
それが十分に伝わる部分ですアップ
息が止まりました。いえ、読み返しているだけで息が止まります。


さらに、さくらと勝田くんが、失踪したさとるさんが予言通り水城小学校へ向かっていると確信し、そこへ向かう場面。

「 まだ遠い彼方の水城小学校。月の船など現れないその屋上に、あたしたちはこのとき、いったいどんな奇跡を夢見ていたんだろう?
  たぶんあたしたちはどんな夢も見てはいなかった。
  ただ、どこにでも転がっているごくありふれた現実を、ささやかな平和を、取りもどしたいだけだった」
(p188)

そうなんですよね、今までのありふれた、平凡な、ささやかな日常を送ることがどんなに幸せだったか。
それは往々にして過ぎ去ってから気付くものだと思うのですが、それを取り戻すことがどんなに難しいか。
そのことが、いかに人に闇を持たせ、精神を重たくしてしまうか。
しかし、それはささいなきっかけで、ほんの少しの勇気で戻ることも可能なのだということが分かります。
書きながら、改めて感服、息が止まります。

登場人物のキャラクター設定については、もうあえて触れなくてもいいと思いますが、非常に分かりやすく、それでいて現実的で無理がなく、どんどんそのキャラクターに入っていけます。

もちろん、さっきか語っている真の友4人もですが、智さんの叔父、ヘビ店長や智さんの親友、露木さんも素敵です。
特に露木さんは手紙でしか出てきていないというのになんという存在感でしょう。

まだまだ語ることがありますが、精神の揺れと再生をこんなにも無理なく面白く読めたことは、非常に幸せでしたニコニコ






 
総合評価:★★★★★
読みやすさ:★★★★★
キャラ:★★★★★
読み返したい度:★★★★
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 二人は声を揃えてワーゲンを数えた。全部で十台が通り抜け終わると計ったように信号が切り替わった。
 二人の乗ったシビックはワーゲンに先導される形で早朝の国道を走った。慎は母が喜ぶと思い自分も嬉しくなった。しかし見通しのよい上り坂になって前方をワーゲンばかりが行進するのをみているうちに母は急になにかがこみあげてきたみたいになった。母はまた煙草をくわえ火をつけると、アクセルを思い切り踏み込んだ。
(p159-160より)

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アップするのが遅れてしまいましたが、以前紹介した『サイドカーに犬』に所収されている小説の表題作、猛スピードで母はです。

まあなんとも言いがたいのですが、それでもとりあえずあらすじを。



小6の慎を子に持つ豪快な母親。母との母子家庭生活はそれなりに過ぎていくのですが、母はある日、見知らぬ男を慎に紹介します。以前からこのような「男の紹介」はあったこともあり、慎はその男ともそれなりに付き合っていきます。

しかしその後、祖母の死、唯一ともいえる友達との疎遠、そしていじめ。
これらを経験しながらも母はその豪快な立ち居振る舞いで慎をリードしていきます。

母と息子を軸にしながら、子どもの視点である一風景を描き出した、といえる作品です。


では以下はネタバレ含むので、いやな方は見ないで下さい。








猛スピードで母は (文春文庫)/長嶋 有
¥420
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~1回目 2010.1.2~

なんと評価していいのか分かりませんが、一言でいうなら、ストーリーとしてはそこまで自分の琴線には触れなかったかなぁという印象です汗

この上記の文章は、同じ作者の「サイドカーに犬」で書いたものなのですが、この作品でもそれが当てはまります。
正直、あまり面白くなかった、といいましょうか。

たしかに、登場人物が少なく、はっきり重要なキャラとそうでないキャラを分けているので、読みやすかったは読みやすかったのですが、そうはいっても話が単調すぎるし、とはいえ文章が引き付けられるかといえばそうでもなかった。

たとえて言うなら、、、そう、個人の日記なのです、この作品は。

だから無駄と感じてしまう文章をたらたらと書いていたり(例えば、550calを550シーケーエルと読んでいた、ってことなんて、ほんと、どーでもいいって感じです)、小説として盛り上がるぞーって部分がすごくあっさりしていたり。

まあその淡々とした感じが好きな人は好きなんだろうけれど。

どうも馴染めなかった、というのがこの本を読んでいながら考え続けていたことです。

ただ、この作品は日本一有名な文学賞のひとつと言ってもいい、芥川賞を受賞しているということなので、私の読み込み力が単に足りないだけかもしれません。。
……でも年を取ってこれを読んだら印象変わるのかなぁガーン




総合評価:★★
読みやすさ:★★★
キャラ:
読み返したい度:★☆