楽譜 = レシピ? | こだわりのつっこみ

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最近、カレーが食べたいので、カレーのルーを買いました。
天下の王道、ハウス食品の「バーモントカレー中辛」です。
裏面にはレシピが載っています。

まず、材料。
 (1)バーモントカレー中辛・・・1箱
 (2)肉・・・250g
 (3)玉ねぎ・・・中2個
 (4)じゃがいも・・・中1/2個
 (5)にんじん・・・中1/2本
 (6)サラダ油(またはバター)・・・大さじ1
 (7)水・・・850ml

続いて作り方です。
①厚手の鍋にサラダ油を熱し、一口大に切った肉、野菜をよくいためます。
②水を加え、沸騰したらあくを取り、材料が柔らかくなるまで弱火~中火で約15分煮込みます。
③いったん火を止め、ルウを割り入れて溶かします。
④再び弱火でとろみがつくまで約10分煮込みます。

こんなことを書いて一体何の話なんだ?とお思いでしょうが、もう少しお付き合いくださいかお

さて、では
材料も作り方もこのレシピ通りに作ったことがある人は何人いるでしょう?

さらに言うと、
①一口大とは誰の口で一口か?
②弱火なのか中火なのか、「約」15分とは正確でなくて良いのか?
③いったん火を止めてどのタイミングでルウを入れるのか?

などなど、色々と作る人任せになっている部分が多い

同じ材料でも、材料を入れるタイミングや煮込む時間などで味は変わります
友達ん家のカレーは自分家と違う、というのは、おそらくルウや材料が一緒でもそういった理由で違うのでしょう。

さらにはインスタントコーヒーやソースやチャツネなんかを隠し味にするとさらに味は変わります。


・・・と、ここまで話してようやく本題ですが、作曲家が書いた「楽譜」もこのレシピに似ているような気がします

楽譜を例に取ると、まず曲の最初にはテンポの指定が書かれています。

Allegro」(「快速に」の意)などのように。


それ以外にも曲の中でも様々な記号や言葉が書かれたりします。

強弱を表すクレッシェンド(だんだん強く)、p(ピアノ:弱く)など、

音符ごとに抑揚をどうつけるかを指示したアクセントスタッカート(音を切り離す)など、

さらには発想記号と呼ばれる演奏者が特定の感情を込めやすいように付けられたもの(のだめカンタービレで有名な「カンタービレ」(歌うようにの意)など)

など、さまざまにあります。

しかし、楽譜の通りに演奏している演奏者はいるのでしょうかはてなマーク
答えは、カレーと同じく、
「ほとんどいない」
といえるのではないでしょうか?

そもそも、

①「Allegro」(「快速に」)とは、どのくらいの速さなのか?
 遅いか速いかで言えば速い方だろうけど。

②p(ピアノ:弱く)とは、何を持って弱いというのか?

③カンタービレとは、どう演奏すれば「歌うように」ということになるのか?

という風に非常に曖昧で演奏者任せという部分が大きいからです。
つまりカレーの作り方と一緒ビックリマーク
絶対的なカレーというものが存在しないように(バーモントカレーの作り方を無視したものはカレーではないという主張がありえないのと同じく)、絶対的な演奏というものもないのです。

さらにカレーと同じく隠し味をつける演奏者もいたりします
楽譜に書かれていないけれどアクセントを効かせてみたり、楽譜には書いてあるんだけど、よりハッキリとスタッカートしてみたり。

同じ楽譜でも、演奏する人によって、指揮をする人によって大きく演奏が変わるのですニコニコ


よく、CDショップのクラシックコーナーに行くと、初心者はまず閉口します。
曲もさることながら、同じ曲なのに色んな演奏者によるアルバムが所狭しと並んでいる。
曲だって何が良いのか分からないのに、演奏者まで選ばなくてはいけないのか!!という感じです。


ですがそれは、結局、作曲者によって作られた楽譜はカレーのレシピと同じく(いい加減しつこいあせる)、曖昧なものなので、色んな人が挑戦するということだからなのです。

苦手なカレー、好きなカレーがあるように、好きな演奏、嫌いな演奏があるということは自然なことなのです。

しかし、やはり何が苦手で何が好きかなんてものは、1回口にしてみないと分からないものです。


ここでオススメするのは、図書館です。
最近はほとんどの図書館にCDが置いてあり、貸してくれるのです。
一概に図書館においてあるCDはロックやポップスはあまりないけれどクラシックはなぜかあります。
さらに大きいところでは同じ曲だけれど演奏者が違うというCDがいくつもあり、金はないがクラシックに興味があるビックリマークという人には持ってこいなのです。


では今回のポイントは

楽譜はレシピである。

レシピと同じく、楽譜は曖昧で、演奏者が個性を発揮できるのです。
だから
興味があるなら同じ曲で違う演奏者の演奏を聴いてみると、面白くなるかもしれない。まずは図書館で借りて、食べて(聴いて)見ましょう音譜