藤沢 数希
なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方



タイトルのような衝撃的なことを言ってしまう本です。


ファイナンシャル・インテリジェンス(金融に関する知識)

が低ければ、本人はそのつもりがなくても
お金をドブに捨てているかも・・・・・・。

たとえば競馬。


競馬ではJRAがどの馬が買っても賭けられたお金の75%が支払われるように

オッズを決めます。


つまり何もしなくても25%はJRAのものになります。


本の中で著者は、100人の人が100万円を持って、朝から競馬をしたときの

所持金の総額を考えています。


1つめのレースが終わった段階で、100×100万円の1億円は7500万になります。

次のレースでは7500万×0.75。

これを12レースまで繰り返すと317万円しか残らないということ。

これは元金のわずか3%です。

全体で考えると、恐ろしいことになってますね。


宝くじはさらに下の還元率は40~50%

期待値では出したお金の半分も返ってきません。


しかし、「自分だけは、1億円当たるかも」という心理は数字を超えて心に響くようで

宝くじは大人気ですよね。


こんなふうに宝くじや競馬は国が国民からお金を搾取するための

非常に優秀なビジネスモデルといえるようです。


では、株などの金融商品はどうか?


これも同じく、ファイナンシャル・インテリジェンスがなければ困ったことになります。


証券会社や、銀行で買える投資信託。



これらが、確実に儲かるならば、別に一般の人に紹介することなく、

自分たち(証券会社や銀行)だけで運用したほうがいいですよね?


ではなぜ、こういった金融商品が売られているのでしょうか?


それから、「株で○億円儲けた!」なんて本もありますね。

その人たちはなぜ、そんな手法をわざわざ親切に教えてくれるのでしょうか?


「そう言われてみれば確かにおかしいかも?」「なぜ?」

と気になりませんか?


もちろん書名の「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」

という問いについても解説されています。


サルに負けるなら、投資のプロなんている意味ないじゃん!

・・・・・・というわけでもなさそうです。


投資について概観したい人にお勧めです。


荒井 裕樹
プロの論理力!―トップ弁護士に学ぶ、相手を納得させる技術

著者は青色発光ダイオードの裁判などに携わり、28歳で

年収1億円を実現した弁護士の荒井祐樹氏。


自分と近い世代の突出した人の考え方にはやはり興味を持った。


荒井さんはスポーツ選手のように「個人の力」で勝負したいと考えて

弁護士という道を選んだ。同年代の中田や、松井に肩を並べたかったと。


しかし、弁護士の世界といえども何百人という弁護士を抱える

法律事務所に入ったのでは、個人の力がいくら突出していても

正当には評価されない。普通のサラリーマンのそうであるように。

そこで、比較的小さな事務所を選択。そこは完全なる実力主義だった。


弁護士の腕に左右される訴訟は全体の3割しかなく、

あとは審理を開始する前に訴状と答弁書を見た段階で、

どちらが勝つか裁判官はわかるという。


その7割の裁判ばかりをしていても、お金は入る。

たとえ裁判に負けたとしても報酬はもらえるシステムだ。


しかしあくまで荒井氏は残りの3割、

どうなるかわからない裁判で勝つことを目指す。

そこには平均点では満足しないという「野心」がある。

これが荒井氏がこの本の中で、強調する部分である。


この本はタイトルの「プロの論理力」にフォーカスした本ではない。

野心がなければ突出することはできない。

個人の力で勝負しよう!そのメッセージこそ氏が

この本で1番伝えたかったことなのである。


さて表題

「50万円が「相場」の痴漢事件で、300万円を勝ち取るには?」

の問いだが、ここがタイトルにもある「論理力」を取り上げた項目である。

その論理展開、かけひきははさすが、である。




久石 譲
感動をつくれますか?


読みやすさ ★★★★★



「感動をつくれますか?」


そうストレートに問われれば、これからものづくりに

かかわるものにとってはぐさりと刺さるわけで。


ジブリの曲や、北野武監督作品の曲、最近では「伊右衛門」のCM曲

の作曲者である久石譲さんが


「創造力とは何だろう?」「感性とはなんだろう?」

と言うことについて考えています。


やはり、物を作り出していくプロだけに、体験に基づいた言葉は

説得力があります。


僕が印象に残った記述は


「恥ずかしいと言う自己規制」


久石さんは「冬のソナタ」を見て、そのあまりのベタさ加減に

「うわーっ、こんな恥ずかしいことよくやるよなあ」

と思ったそうです。


ところがよく考えてみると、「恥ずかしくてできない」という感覚は

なにか高みにたって見下ろしているようだ、と反省したとか。


自分で自分を規制してしまっていることに気付いたと。


そんな自意識が頭の中にあっては、

人を喜ばせるものなど作れないとおっしゃっています。


もう一つ


人と人とのつながりが基本ではなく「いいものを作ろう」

という姿勢でつながる。


久石さんは、仕事上で結果として付き合いが長くなり、

呼吸などが分かるようになっても
あまり親密な人間的つながりを求めてはいけない、といいます。


それは、親しくなったら精神のギリギリのところで

勝負できなくなるからだそうです。

なるほど。


宮崎駿監督との仕事は、いいものが出来なければほんとうにおろされてしまう。
だからいい緊張感の中で仕事ができるのだそう。


プロとしての心構え、参考になります。

先週書きました「よりどころ」の続きを書きたいと思います。

意外に反響があったので、そこでいただいたコメント等を読ませていただきつつ、

さらに考えてみました。

僕に最も影響をくれた『7つの習慣』を読んで考えたことなので、

それを参照しつつ話を進めたいと思います。

前の記事で例としていくつかあげましたが、

『7つの習慣』では生活の中心にするものを10個を挙げています。

・家族中心 

・夫または妻中心 

・お金中心 

・仕事中心 

・所有物中心 

・娯楽中心

・友人中心 

・敵中心 

・宗教中心

これで、9つです。

ではもう一つは・・・

・・・なんだと思いますか?

「自己」です。

つまり「自己中心」ということです。

これはいわゆる「自己チュー」=ただのワガママと言った意味だけではなく、

「自分にとって、損か得か」

「自分にとって、快か不快か」

によって判断する状態です。

これは、、心当たりある・・・感じですね。

さて、みなさんの中心になっているものは何でしょう?

それが、自分の中でかなりの割合を占めていませんでしょうか?

または、何個かの要素が入れ替わり立ち代り中心になるのかもしれません。


中心になっていることが上手くいっているときは、

すべてが上手くいくような気がしたり、

逆に中心になっているものが上手くいかないときは、

すべてが上手くいかないように思えたり。

僕自身を振り返ってみても、

中心になっているものにかなり振り回されてきた気がします。

じゃあ、「どうすればええねん!」

「何を中心にすればええねん!」

ということですが、僕の読みが浅いのか

『7つの習慣』でも答えは出ていません。


(「『原則』と言うものを中心に」と書かれていますが、

いまいち『原則』が何なのかわかりません)

ヒント、お待ちしてます。

それから「ていうか自己中心、ってなにがいかんねん?」

と思われた方、それはまた次回・・・。

石川 雅之
もやしもん 1―TALES OF AGRICULTURE (1)

オススメ度 ★★★★★

「つぶやき」というカテゴリに続いて

「まんが」も追加しました☆

もともとマンガは好きなのですが、

また最近積極的に読んでいこうと。

それで一つ目がこの『もやしもん』なんですが

いまイチオシです!(マンガ好きの友達にはやたら勧めてます)

で、なにがテーマかと言いますと

「菌」!

です。

「菌が見える」能力を持つ主人公が、農大に通うことになり、

超キャラの濃い教授やその研究室に集まる一癖ある学生と

繰り広げるドタバタ発酵バラエティです。

お酒だったり、納豆だったりとか

意外と菌が発酵させている食べ物が多いんですな。

バイオテクノロジーの話題や、

必要以上に無菌とかにこだわる現代人

といったちょっとまじめなテーマもあって

勉強になったり。


なによりも

「菌」たちがめっちゃかわいいんです!!


「醸(かも)すぞ~」

by菌

さて、本の紹介ばっかりではつまらないので、

ひとりごと的なものをたまには書いていきたいと思います。


よろしくです。


では・・・記念すべき一個目。




人生「バランス」が大事。


とわかったつもりになってから、数年。


・・・まったくわかってなかった笑


タイトルに「よりどころ」と書きましたが、まさにその

「よって立つところ」の話をしようと思います。


結論から言えば「よりどころ」はたくさんあったほうがいい。

で、バランスをとったほうがいい。


なぜなら、もし一つのことが自分の大部分を占めていたら・・・

具体的には、家族・恋人・友人・仕事・サークル・コミュニティ・お金・宗教・趣味・などなどなど。


それがあることですごく落ち着くでしょう。


でも、やがて、それら居場所を与えてくれるものの顔色を伺うようになって来ます

(来ませんか、そうですか笑)。


それとの関係が、「うまくいっているかいないか」にものすごく影響されてしまうようになります。


これ、「依存」。


なにか一つのことが大きなウエイトを占めるのは

やはり精神衛生上よろしくないようです。


そして、僕の場合どうにも一つのことに集中して、ほかを切り捨てようとする傾向が。


気をつけたいもんです。


家族も大事。

恋人も大事。

友人も大事。

仕事も大事。

コミュニティも大事。

サークルも大事。


ではどうバランスをとればいいんでしょうか?


それぞれを対立させて、バランスをとる?


総量(時間でも、エネルギーでも)を決めて分配する?


しっくりこねえなあ。


さて、どうしましょ?


ロビン シャーマ, Robin S. Sharma, 北澤 和彦
3週間続ければ一生が変わる―あなたを変える101の英知

読みやすさ ★★★★★


安らぎ、さわやかになれる本です。

まるで、すがすがしい森の中を散歩しているような気持ちになれます。


自己啓発系の本と言えば、ポジティブなメッセージで埋め尽くされたものばかり。

読んだ直後は元気になるものの、なんか気疲れすることって無いですか?


この本には、そんな気疲れが一切ありません。


出版されたのは今年の2月ですが、今になってまた売れてきているというのは、

本当に内容が評価されているからだと思います。


僕も、かなり前から知っていたのですが、購入しようかどうしようか

書店で見るたび悩み、このたびやっと買いました。


この本の軸は「行動が思想を作る」

ということに尽きると思います。


考えているだけでは何も変わらない。

変えようと思ったら、とにかく行動する。


どんな行動をとればいいのか?

ということで、101の小さな習慣を紹介しています。


それは


・腕時計をしないで一日を過ごしてみる

・朝、新鮮なフルーツジュースを飲む


といった本当に小さなことから。


内容もさることながら、きっと訳者のことばの選び方が

すばらしいのでしょう。


読んでいると、静かなエネルギーが湧いてきます。


立ち読みででも、さらっと目を通してみてください。


かなりのオススメです★

原尻 淳一, 小山 龍介
IDEA HACKS! 今日スグ役立つ仕事のコツと習慣

読みやすさ ★★★★★


これは装丁に惹かれて手に取りましたが、パラパラめくって

すぐレジにいきました。

久しぶりの即買い決定。

実際いま結構売れてるみたいです。

なんかうれしいですね、自分がいいと思ったものが受け入れられているのは。

内容は副題にあるように

今日すぐ役立つ仕事のコツと習慣」です。

今までの仕事術の本と決定的に違うのは、著者が実際に使っているアイデアの

写真がのっていることです。

これが、ただ言葉で語られるよりもはるかに理解しやすくなっています。

「ん~なんか結局のところどうしたらいいのかわからんなあ」という印象には

絶対になりません!

つまり・・・「かゆいところに手が届く!って感じです。

すごく新しいことを言っているわけではないけれど、後もうちょっと

突っ込んでほしかった点がばっちり書かれています。

では具体的な内容を・・・

まずタイトルの「アイデア ハック!」

の「ハック」とは

こんがらがった問題を一気に解決する仕事のコツ

のことらしいです。

全部で89のハックが紹介されていまして、それを

情報ハック

時間管理ハック

整理ハック

五感ハック

思考ハック

発想ハック

意思決定ハック

の7章に分けて紹介しています。

この89個のハックの中で僕がやってみよう!と思ったものをいくつかあげますと

中期的な視点を持つために3ヶ月のスケジュール表で考える

本棚を知のデータベースに変える

秘密の花園を見つける

雑誌を破ってコラージュシートをつくる

迷ったらとにかく他人に話せ

という具合です。

いかがでしょう?

89個あるハックの中で、必ずみなさんが「やってみよう!」と思うものがあるはずです。

ぜひ仕事が楽しくなるヒントを見つけてください☆

ロブ・イースタウェイ, ジェレミー・ワインダム, 水谷 淳
数学で身につける柔らかい思考力-ビジネスと日常の疑問が解ける!-

「日常にひそむ数学のおもしろさ!!」


読みやすさ ★★★★★


数学が苦手で文系を選んではや6年。

まったく無縁の生活を送ってました。


「数学」と聞いただけで抵抗感がありましたが、

この本は、数学のおもしろさを教えてくれます。


それも、日常生活で出会うシーンとからめて。


「どうすれば理想の結婚相手を選べるか?」

「うわさ話と伝染病はどこまで広がるのか?」

「なぜタクシーメーターは降りる直前にあがるのか?」


こんな気になる疑問を、数学を使って

おもしろく、わかりやすく解き明かします。


ここで、

「どうすれば理想の結婚相手を選べるのか?」

ということで、この本に示されている答えを紹介します。


例えば、生涯で20人の異性と付き合える可能性があったとしたら、

そのうちの7人までとまず付き合います。


この7人というのは

(一生で付き合える異性の人数)÷2.718=(ためしに付き合ってみる人数)

という式で出るそうです。


で、結婚を考えるのはその後、今までの7人の誰よりも魅力的な

人が現れたら、その人とすぐに結婚します。


これが、確率的には一番満足のいく結果を得やすいそうです。


詳しいことは、本を読んでいただくとして。。


まあ、現実には最初に付き合った人が

20人の中で一番素敵な人かもしれないですし、

そもそも一生で何人の人と付き合えるかなんて

わからないんですけどね・・・。


だから人生はおもしろいということで。





内田 和成
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

読みやすさ ★★★★★

ボストンコンサルティンググループ

シニアヴァイスプレジデントの内田和成さんが、

ボスコン流問題発見解決の発想法を紹介する本です。

かなり売れていたので買ってみました。

ビジュアルからは、かなり重厚で読み応えのある内容を

予想していたのですが、読んでみると意外とあっさりしていました。

そこが、読みやすくもあり、少し物足りないような気もしました。

若手の社会人や学生が読むと非常に役に立ちそうだな、

と思ったので紹介します。

仮説からはじめれば、作業量は激減する」と

いうのがこの本の趣旨です。

何らかの課題があるときに、

なにもわからないけど、とりあえずデータを集めてみたり

片っ端から作業をしてしまうことがよくあります。

そうではなく、問題や課題に取り組むときに、

まず、仮設を立て、それを検証し

さらにより磨かれた仮説を立てていくというステップが

課題解決の近道だというのです。

仮説思考って具体的にはどういうこと?

という疑問があると思いますので、

プロ野球の衰退を例がのっていたのでそれを紹介します。

何を指して「プロ野球の衰退」というかをまず設定します。


選手の大リーグ流出なのか、

テレビ視聴率低下か、

観客動員数が減ったことか?

この中で、「テレビ視聴率の低下のせいで、プロ野球離れが進んでいる」という仮説を立てます。

そして次に視聴率の低下について分析します。

テレビの視聴率が全体として下がっているのか、

それとも、全体の視聴率は変わらないのにプロ野球だけが落ち込んでいるのか。


これを検証すると、後者であるとわかりました。

では、プロ野球のテレビ離れを解消するための具体的な打ち手の仮説を考えます。

・テレビ向けにルールを改正する

・放映権を無料にする

・・・というような流れで思考が進んでいきます。

「何が問題なんだろ~な~」と漠然と考えるよりは、

まずなんでもいいので仮説を決めてしまうほうが格段に考えやすくなると思います。

ぜひお試しくださいませ。。