「嘘から出た実」
私は『義経千本桜』の「渡海屋・大物浦」を観ると、このことわざを思い出さずにはいられないのです。
渡海屋という名の船問屋を営む親子がいました。
父 渡海屋銀平
母 お柳
娘 お安
……実はこの人たちは本当の親子ではありません。
銀平は平家の武将、平知盛
お柳は朝廷の高貴な女性、典侍局
そして娘のお安は、幼い安徳帝でした。
激しい合戦の末、源氏が勝利し、平家は安徳帝と共に大海の底へと沈み、滅亡した……と、誰もが思っていました。
しかし、『義経千本桜』では
滅んだはずの平家が
生き延びていた
いわゆる平家落人伝説を元に物語が進んでいきます。
知盛は義経一行を荒海に誘い出し、再び戦いを挑みます。ところが、戦況は悪くなるばかり……「もはやこれまで」と、典侍局は帝と入水を図ります。
そこへ義経が駆けつけ、2人の入水を止めます。血だらけの知盛はなおも義経に襲いかかりますが、義経は安徳帝を守護することを約束しました。
安堵した局は自害し、知盛も碇を担いで海の底へと沈んでいくのでした。
……と、簡単ですがあらすじをまとめてみました。
かつて宮中で華やかな生活をしていた平家の人々が、今では生き延びるため船問屋に姿を変えている。
いえ、ただ生き延びることが目的ではありません。
もう一度源氏と戦い、滅ぼすためです。
渡海屋としての生活は決して惨めなだけではなかったはずです。帝を守り通そうとする知盛と局、そして2人の思いを幼いながらもよく理解している帝。
偽りの親子だったとしても、3人の結束力は強固なものだったのではないでしょうか🤝
余談ですが、文楽の方では安徳帝を
実は女の子だが、清盛が外戚になりたいために男の子と偽り帝にさせた
いわゆる「姫宮」だった設定になっています👸
(これは歌舞伎の方では出てこない設定と思います……国立劇場の台本にも確認できませんでした)
しかしながら、姫宮だとしても
復讐に燃える知盛を諫める堂々たる姿は
“帝の器”をそなえていると言えるでしょう────
嘘から出た「実」とは
知盛・局・帝の互いを思う心
帝の幼くとも堂々たる風格
平家の人間として共に生きた証が渡海屋・大物浦だと私は思うのです🌊🌊🌊
────今回が実質ブログ初投稿となります。お付き合いくださりありがとうございました🙏これからも色々語っていきたいと思いますのでなにとぞよろしくお願いします!
本日は「ハワイコナ」のブレンドをいただきながらお送りしました☕️