どうも( ^_^)/
リアタイ・録画・ネトフリ・ニコニコ・アマプラでそれぞれ五回観たので感想を書きたくなった者です。
最近は特に多くの作品を一気に観るより一本をじっくり見る方にシフトしている気がします。

まず、放送終了直後にこうツイートしました。
エロいしか言ってないのでちゃんと観てみましょう。ではちょくちょく止めながら。
冒頭~00:40 夢
路地裏を進むデンジの夢です。
しばらく進んで自分の意志で左に曲がり扉に手をかけようとする。行き当たりばったりではなく能動的に自発的に道を選んでいるかのように見えますが、扉を開ける前に目が覚めてしまう。
~00:56 二人の家
「仕事行くか」「ワン!」まであばら家の背景と環境音だけ、ここにはデンジとポチタ以外に誰もいないことが十数秒で理解できます。
何一つ清潔なものがない二人の“家”に浮かぶ埃が朝日に照らされてキラキラと光るのがいいです。匂いまで感じられそうなほど汚くて綺麗です。
~01:11 人の道 獣の道
こんなペースで書いてたら終わらないぞと俺の中のMAPPAの悪魔が囁きますが無視します。
けもの道から公道へ出ていく、執拗なまでにデンジが人の道から外れた“仕事”をしていることを示していきます。
~01:20 ぐんにゃり①
道を歩くデンジ、野山にぐるっと囲まれた街を見下ろし閉塞感を演出しているようです。
そして個人的に気になるのが、ぐんにゃりと曲がった道です。Bパートにも出てくるワインディングロード、何かを暗喩しているように思えてならないです。
~01:49 デンジとポチタ
ここまできてようやくポチタの全容が判明し「なんだコイツ!?」となる寸法です。
抑揚のない声で臓器売買と法外な借金のことを話すデンジの演技もいい感じです。
~02:14 完熟悪魔
トマトの悪魔登場。使い捨ての敵キャラとは思えない皺の書き込みがえげつない、複眼のひとつひとつにヘタがまつ毛みたいについているのがちょっと可愛いです。
アバンタイトル終了です。ちょっと休憩、OP映像については別途語る機会を設けましょう。
OP~04:20 自社提供のアニメに中抜き無し
「借金と利子~」のセリフごとに少しずつ変化するデンジの表情、大きく変わらないのに胸にじんわり失望と絶望が広がっているのがよく分かりますね。かわいそうで良いですね。
~04:45 ぐんにゃり②
色味の寒い住宅地を歩く二人、五回目でようやく気付きましたがこの道もちょいグンニャリです。このアニメに真っ直ぐな道は出てこないんでしょうか。
そしてようやくデンジと組長いがいの人間がモブで数人出歩いていますが、明らかに変な造形のイヌを連れている少年に誰も関心を払いません。
~06:06 喫煙が規制されるなら食わせりゃいいじゃない
デビルハンターなる仕事とデンジのキャラを説明してくれる組長と、百円くれる舎弟、こいつら実は良い奴なのではないでしょうか(頭デンジ未満)。あとヤー車のナンバープレートが『82(ヤニ)306』でした。
従順ではある、アホでもある、しかし煙草を飲み込んだフリをする程度の小賢しさはある。決して自分の状況を唯々諾々と受け容れているだけではないようです。
~07:20 食パンはおいしいけどすぐカビる
雨が二人の出逢った過去を連れてくるシーン。パンを食べるポチタの“そしゃく音”がとてもかわいいです。
幼いデンジを見下ろす場面、車が上手の上から上手の下へと曲線の轍(わだち)を描いて去って行くのですが、どこか境界を引いているように見えました。画面の右半分は人間の世界で、もう半分は悪魔の世界、とでもいいたげです。もしくは生と死でしょうか。
~08:40
幼少期のデンジの声は今よりも何となく賢そうに聴こえます。まともな過程で育ったらどうなっていたのかと思わせます。
デンジとポチタ、最初の契約シーンです。『平家物語』でも見事な仕事ぶりだった牛尾憲輔さんの浮遊感とある種の朴訥さがハイブリッドした音楽が素晴らしい。そして、雨は止む。
~10:02 最初の仕事から最後の仕事へ
道具として使われる虚無顔ポチタもデンジの腹の上に乗ってくるポチタも大変よろしいです。
遺伝性の疾患で短命であるらしいデンジが語る夢は、下世話で俗っぽいくせにいやに切実で悲しい。
~10:34 グルンとグンニャリ③
ようやく真っ直ぐな道かと思ったら、カメラごとグルンと180度回してきました。本当に道を真っ直ぐ描く気はないようです。
次のシーンで山道の曲がり角は三つ、テストに出てきそうだから覚えておくとしましょう。
~11:19 そりゃ風呂も入ってないなら臭い
月は隠れ、赤い非常灯が照らされる。それ以上行ってはいけないということです。暗い廃工場の様子は原作者も好きな二瓶勉漫画のようです
~12:25 ゾンビは臭くて嫌ぇだ
ゾンビの悪魔と契約したヤクザたちを勘違いさせたのはデンジとポチタの契約があまりにも牧歌的だったからでしょうか。
悪魔の声は名バイプレーヤーの宮田さん、悪ガキみたいな邪悪さが声から匂い立ってきます。
~13:50 ゾンビは歩くもの
ただしチェンソーマン世界のゾンビは武器を持つようです。攻撃力が高いですね。
デンジの断末魔は刺された痛みというより利用されるだけ利用されて終わっていく人生への悔恨、悲しみと怒りの成分を強く感じました。
~14:24 悪魔との契約にクーリングオフなし
雲に隠れていた月が再び顔を出し、おまけに月虹が見えています。物語が転調しました。
『無料お試し』のチケットを経て流れていくデンジの血を、ポチタが飲み込む。タダより高いものはないとも言います。
一社提供だからバラバラ死体も平気で出せる。でもそんなにグロくは感じませんでした。人によるとは思いますが。
~15:40 木こりのデンジ
再び幻想と土着が完璧なバランスで整えられた牛尾音楽がいい仕事をしています。
デンジとポチタの契約、というか、約束のシーンです。Aパートは寒色で閉塞感ばかりだった街を見下ろす情景が明るく照らされていて、開けた印象を与えます。もちっとまるっとしたポチタを抱っこしてみたいですね。
~16:00 二人はひとつに
この20秒足らずのシークエンスがとても好きです。音楽と、なまめかしく繋がっていくデンジの身体の調和が素晴らしいし、ポチタが脈動しつつ融合していくさまはエログロっぽくもそうはまったく感じさせません。
~16:48 新たな契約
幼くも理知的なポチタの声、淡々としつつデンジへの情愛を感じさせる見事な演技です。
しっぽだった部分がデンジの胸から突き出ているということは、つまりポチタは実は頭からデンジに突っ込んでいきました?
~17:50 もっと欲しい、もっともっと欲しい
最初の敵がゾンビの悪魔だったのは示唆的です。ゾンビ映画のパイオニアであるジョージ・A・ロメロ的なかつれた欲への自省と受容、望み出したらキリがなく、ヤクザはゾンビに、デンジはチェンソーマンになりました。
~19:00 チェンソーマン誕生
ゾンビの悪魔の「仲間だな」のなんと浅慮なセリフです。たった一言で敵の株を最安値に落としておいて獣のようにとびかかる。初撃で目を狙ったのは生前のデンジが片目で不自由していた=目を潰せば有利になるという彼なりの計算でしょうか。Aパートで見たように頭は決して悪くないのだと思います。学がなくバカなだけで。
~20:00 プロレスラーのような戦い
中途半端なところで止めてしまいましたがここで語っておきたい、デンジの不格好な戦い方です。
初陣ゆえに相手の攻撃はどんどん受けるし、チェンソーを振り回す慣性にも慣れていないから攻めはもったりと鈍重ですらあります。アニメ映えするソードアクションとは一味違ったものをお見せしてくれそうです。
~20:25 チェンソーを人に向けて使ってはいけません
ここは是非ヘッドホンで聞いてほしい場面です。音がとにかく怖い。戦いに美学も華麗さもいらない、破壊だけを目的にした暴力的な音が聴けます。
~21:00 そこに気付くのはかしこい
一見、狂気に憑りつかれたようなジェノサイドシーンですが、同時にデンジの善性を垣間見ることもできます。
「俺ァデビルハンターだからゾンビは皆殺しにしなきゃあなぁ」→「そういえばこいつら殺せば借金チャラにできんじゃん!」の順番で物を考える。ポチタを使って人間だった頃のヤクザを殺そうなんて思いもしなかったのかもしれません。
~21:40 外はバケツ一杯の水、中は血の海
朝になった背景が三カット、これは視聴者の気を抜くためのものでしょうか。アニメではあんまり観ませんが実写映画ではよくあります。贅沢な画面の使い方してます。
~22:18 マキマはまっすぐ歩いてくる
ゾンビが折り重なっているはずの工場内をまっすぐ歩いてデンジに近付いてくるマキマ、どこか詩的な雰囲気もあるシーンです。
マキマの声、無機質な少女といった装いです。デンジもそうですが、完全にキャラに合わせるというよりはどこかに違和感を持たせるようなディレクションをしていそうな雰囲気です。
~23:53 愛知県民はパンにあんこを塗ります
「女を抱く」という言葉の意味は分かっているでしょうが、なんだかデンジからは性的な色をあまり感じません。セックスがしたいのはもちろんとはいえ、それ以上というかそれ以前のものを欲しがっている感じがしてなりません。
犬と同化したら犬になったデンジの明日はどっちだ、といったところで1話終了です。ここまで観るのに3時間かかりました。
チェンソーの唸るエンジン音が気持ちいいです。