どうも( ^_^)/
いくつになってもバカ騒ぎをやめられん者です。
昨日はすっかり遊びほうけてしまったので、多少なりとも知的なブログを書こうと思います。
悪堕研究機構@utakuochi
例の話題になっている(ここではRTしませんが)インディーゲーム会社に美大の生徒が入ってくる漫画ですが、かなり思想的に危険な内容が含まれているので悪堕研究機構として少し解説します。
2020年10月15日 21:43
昨日、Twitterで回ってきました。
『例の漫画』
なんじゃそりゃ。と思い、いろいろ調べて「なるほどな」と理解しました。
これは「作品の是非とは別に、作品内で描かれている仕事のやり方に対して物申したい」と思う人が多い漫画だったのです。
平野耕太@hiranokohta
漫画家とかイラストレイターやってる人は 過去に例の漫画のディレクターみたいな糞案件を 一回くらいは出くわしてるのがいっぱいいて デビュー時は断る知識も自信もないので 断れなかったトラウマがあって その胃の腑の深い所に落として忘れて… https://t.co/rzqkTrD3VP
2020年10月15日 23:26
簡単に書くと「曖昧模糊とした理不尽なダメ出しから具体的な指示の無い鬼のようなリテイク」です。
それを見て「そういう仕事の仕方をしちゃあいかんだろ」という批判が続出しているわけです。
「私の脳内にある作品を出せ(ただしそれが何なのかは一つも言わない)」と無茶苦茶なことを言ってくるクライアントに、クリエイターは相当苦しめられてきたようです。
そこで俺は『魔女の旅々』というアニメーション作品の一話目を思い起こしました。ここで観れます。
こちらも理不尽な指示で弟子を困らせる師匠が出てくるのですが、こちらは理不尽が理不尽として適切に扱われているので納得感がありました。
ネタバレになってしまいますが、理不尽に思えた修行は本当に何の意味もなくて、ただ「有り余る才能と我慢強い努力で何でもできてしまう子を一人ぼっちで生きさせないため」に仕掛けられたことだったと分かります。
主人公のイレイナはこれ以前からも年齢を理由に他者から不当な扱いをされていますが、まったく意に介さず「自分が頑張ればいい」と思っているし、師匠からの半ば世話人のような扱いにも黙々と従います。
でも、それはダメなんだと、理不尽には怒っていいし、嫌な我慢はしなくていいし、よしんば一人でやれるとしても人に頼ればいらない苦労はやらなくて済むと、そういうことを伝えたくてやったことだったわけです。
「理不尽はこの世にあるが決して肯定しない」
「買ってでもした苦労は元を取りたくなるので買ってはならない」
「やるか、やらないかを選ぶとき、大抵は両方間違っている。物事の“やり方”なんてたくさんある」
この辺の省察みたいなものが、もっと深まればいいなと思いました。
はい、こっからぜんぜん違う話です。
なんか既視感あると思いますが前半とは全然違う『漫画』についての話です。
いいですか、これは『例の漫画』じゃなくて『3人でゲーム作るまんが』です。
OKですか?
では行きます。
と、幾重にも安全柵を張った上でなんですが、この漫画、俺には合いませんでした。
Not for me. というやつです。今一つ琴線に触れなかった。それは何故かを書きます。
まず、創作モノとして見たときに、具体的な劇中作とか、絵とか、契約とかが曖昧な部分です。
「すごい」「普通」「良かった」「よくない」といった評価がセリフとリアクションで出てくるのみで、何がどうすごくて、どこがどう普通なのかが読んでいてぜんぜん分からないのです。
これは「ぜんぶつまびらかに見せて欲しい」ということではなくて、どれか一つでも具体的に描写してくれたら面白く読めたという話です。
完成品を「すごい!」の一言で終わらせるなら、その過程は「思ってたのと違うからリテイク」「普通過ぎます」などの曖昧なダメ出しではなく、ディレクターVSクリエイターのバチバチな創作論争という形で具体的に描写してほしいし、逆なら、完成したゲームの商業的/批評的成功を遠慮なく盛り盛りで、いっそかつてのTYPE-MOON並みに描写して終われば、読後感よかったと思います。
要するに、カナメが有能だという“体(てい)”で話が進み、出す成果が分からないので「これ、どういう漫画なんだろう」と最後まで据わりの悪さがつきまとってしまったのです。
で、これは赤いポストを「青くない!」と見当外れな批判をしている可能性もあって、これは創作系ではなく、そこで働く人々の関係性の成長を描いた漫画なのだという見方もできます。むしろ、そちらがより正解なのかもしれません。
だとしたら、今度は『カメラの位置取り』が自分とは合わないなと感じます。
集団でモノを作ったことのない天才肌の美大生が、インディーゲームの世界に飛び込んでいき、そこで出会った一風変わった社長とその部下(相棒)と切磋琢磨して成長していく物語なのだとしたら、この漫画の一コマ目は神崎であるべきだと思いました。
『魔女旅』と一緒ですね(何度も書きますが前半の話とは関係ない)。天才ゆえに孤独で、協調性を知らず、増長気味で、世間知らずな若者が壁にぶち当たるという。
神崎視点で進行すれば、自然、読者も神崎と自分が同一化し、カナメは『ミステリアスな鬼ディレクターであり、若いクリエイターを正しく導く有能な上司』というキャラを保つことができたのではないかと思います。
その点で、この漫画はカナメ視点が多すぎて「ちょっとこの謎リテイクウーマンの内心を推し図るのは難しいよ」となってしまい、物語に没入できませんでした。