毎巻、気付くと終わってる~瘤久保慎司/錆喰いビスコ(1~5) | ライブハウスの最後尾より

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邦楽ロックをライブハウスの最後尾から見つめていきます。個人的な創作物の発表も行っていきます。

どうも( ^_^)/

 

なめたけが好きな者です。

 

キノコの種類ではないことは知っている。

 

ビスコもミロも好きですよ。

でもやっぱりチロルが一番かな。

お菓子の方の話です。

 

瘤久保慎司/錆喰いビスコ

 

日本は“錆び風”に侵され、大地が荒廃し、文明が崩壊してしまっていた。

赤星ビスコは、錆びを抑えるキノコを生やしながら旅をするキノコ守りの少年。

だが、キノコがサビの原因だとする誤解と乱暴な振る舞いで、賞金首となっていた。

彼は、サビの病“サビツキ”に侵された師を救うため、“錆び喰い”を求めていたが―――

 

 

というのが、一巻のあらすじです。

そして、この話は一巻で綺麗に終わります。

すっきり、すっかり、すっぱりと終わります。

 

 

新人賞ラノベあるあるですね。

 

一巻の完成度がクソほど高く、

「これ、続くのか?」

などと、無粋なことを考えてしまう。

 

 

でも、それだってしょうがないんです。

 

だって、とんでもないエネルギーを持った一冊だったからです。

 

 

なんやかんやあって、ミロという医師の少年と旅するロードムービー的な話なのですが。

 

 

これがまた、読んでいるだけで息切れしそうな、切迫感と怒涛の最終決戦展開。

ここで燃え尽きてもいいと覚悟しているかのようなドクライマックスをお出ししちゃってます。

 

 

すべては、無事、こうして五巻出ていることで笑い話にできるのですが。

そして、巻を重ねても毎回ギリギリを少し通り越した世界の危機と最終決戦が続きます。

 

 

俺は、Foo Fightersの“Best Of You”を思い浮かべました。

聴けば分かります。

 

一瞬、ふっと息をつける瞬間はあります。

が、基本的にはずーっと馬鹿でかい声で叫んでる。

そして、そのテンションで最後まで駆け抜けるように聴ける。

 

 

本作もそうです。

毎巻、気が付いたら終わってる。

熱に浮かされ、夢中でページをめくっているうちに、

「あれ? もう終わりか」

と、なっている。

 

 

 

『マッドマックス』シリーズや『風の谷のナウシカ』

いわゆる、ポストアポカリプスものの精神を継ぐ物語です。

 

「倫理観はへその緒と一緒に引きちぎったぜ」な、イカれたキャラクター造形は前者。

錆びに浸食され崩壊した世界は、やはり腐海に堕ちた『ナウシカ』のオマージュでしょう。

 

 

また、異性同性種の垣根無く、誰もが堂々と誰かを開けっ広げに愛している。

 

 

五巻におけるビスコのセリフを引用します。

 

「毒キノコは、この世に生えちゃいけねえってのか?」

「どんな、生命でも……」

 差し込む風に髪を揺らし、ゆっくりと、不器用に言葉を紡いだ。

「そいつがこの世に咲くってことは、何よりも尊いことだ」

「咲いたお前の魂が、純粋な本物の修羅だったなら、まったくそれでいいぜ。気のすむまで命をぶつけ合って……どっちかが、死ぬ。それは、自然なことだ」

 

徹頭徹尾、こんな感じです。

悪も正義もなく、愛と生命の躍動だけがある。

そんな物騒な魂だから、付いて行けんなと思っても、読んでしまう。

 

 

(たったの)三巻で、ビスコと相棒のミロは行きつくとこまで行って、第一部完となりました。

 

(^ω^ )読んでない人はここで死ぬとしか思えない挿絵(右がビスコで左がミロ)。

 

四巻からは、また新たな物語が仕切り直され

―――たと思ったら、五巻の引きでえらいもんが出ます。

 

 

次でいよいよ第二部完か。

 

 

展開が早い。

 

 

いつでも全力を詰め込んだ物語です。瞬きを忘れないようにお読みください。