どうも( ^_^)/
「エンドロール後も映像があります」と最初にアナウンスされているのに席を立つ人がいることへの疑問が拭えない者です。
じっくり観ましょうや。
ヴェノム
バットマン、パニッシャー、デビルマン等々、人は一筋縄ではいかないダークヒーローに憧れます。また、行きがかり上の不幸で人ならざるものをその身に宿してしまうとなると、日本にも名作『寄生獣』があり、さらに主人公は二人で一つという“バディもの”もまた、根強く人気があります。
とにかく、こういう設定は全人類的に受けるものなのですね。だから、そんなダークヒーローで寄生獣でバディものな『ヴェノム』が魅力的なのも当然です。アメコミの懐と、スタン・リーのキャラ造形の深さが良く出たキャラクターです。
アメコミといえば、世はまさにアベンジャーズの天下です。正直フェイズ2以降は全部の作品を追うのが大変になってきたけど、しかし未だバットマン&スーパーマン擁するジャスティス・リーグの追撃も振り切ってトップをひた走っています。
『3』以降はすっかり時系列がグシャグシャで「このウルヴァリンはいつの時代の設定?」とほとんど一見さんお断りのようになっていた20世紀FOX製のX-MENシリーズも『デッドプール』で息を吹き返しました。
一方、かつて『スパイダーマン』三部作で、アメコミをハリウッドの主幹産業(個人の観測です)に押し上げたソニー・ピクチャーズはというと、苦闘が続いていました。
『アメイジングスパイダーマン』四部作を志半ばでクローズせざるを得ず、そのままディズニーマーベルへとスライドしてしまったのも、『スパイダーマン3』において、確かにあれはあれで王道のヒーローものとして面白かったけれども、上記したような魅力あふれるキャラクターであるヴェノムを、みすみす使い潰すような扱い方をしてしまったのは、ソニーの痛恨でもあったと思います。
もともと、『ヴェノム』の企画自体は『アメイジング~』の頃からあったと記憶していて、スパイダーマンとの共演も予定されていたはずですが、それもどうやら立ち消えになったようです。
それでも『ヴェノム』はこうして公開にこぎつけた。並々ならぬ意気を感じます。アメコミ群雄割拠に、遅ればせながら参戦といったところでしょうか。
前置きが長くなりましたが、ここからが内容についてです。
簡単なあらすじ
ジャーナリストで世渡り下手な正義漢エディ・ブロックが、非合法な人体実験を繰り返すライフ財団を告発するも、ボスのドレイクによって職を追われ、恋人とも破局。失意の中、酒浸りの日々を送るエディに財団職員から人体実験についてのタレこみが入る。職員の手引きで財団の研究所に入り込んだエディは顔見知りだったホームレスの女性を発見し、助ける。しかし、彼女には財団が宇宙から持ち込んだ生命体『シンビオート』が取りついており、そのうちの一体“ヴェノム”はエディを新たな宿主に選んだ。
英語圏で浪花節だとか江戸っ子だとかいう言葉をどう表現するのか分かりませんが、曲げられない生き方を真っ直ぐに貫こうとするエディを名優トム・ハーディが好演します。
しかし、そんなエディに取り付いたのがよりにもよって人間を捕食する宇宙生物『シンビオート』のヴェノム。正義の心に、悪のパワー。そそられる状況です。
とにかく宿主の意思など関係なく好き勝手に暴れ回るヴェノムを、必死に抑えようとするエディ、という構図がそこかしこに見られますが、とはいえ、このヴェノム、独特のお茶目さがあります。
まず、自分にとって最高の宿主であるエディに対してはそこまで悪いようにはしない。言うことも一応聞くし、エディと思考を共有しているので彼の望みにも結構答える。
次に、エディを通して見るサンフランシスコの夜景を前に、その街並みを気に入ったりもする。
挙句の果てには、自分の短慮で迷惑をかけた元カノに対してエディに「今ここで謝った方がいいんじゃないか」なんて言ったりする。
共生を説くには、あまりにも強大な捕食者であるシンビオートですが、ヴェノムにはどことなく共感を呼ぶ人となり(人じゃないけど)があります。
ヴェノムは、最適応したエディ失くしてはただの朽ちていくアメーバ状の生命体でしかなく、エディにとっても、ヴェノムなしでは為せないことがある。ということ以上に、二人が抱える“生き辛さ”を、互いに補填し合う関係になっていくのが、この映画で描かれています。
ヴェノムが、宇宙のどこぞにあるシンビオート界でどのような立場にあるのか分かったとき、今作がより面白く感じるはずです。
スパイダーマンは、アニメーションになって帰ってきます。