誰も知らないflumpoolを始めるためのアルバム~flumpool/EGG | ライブハウスの最後尾より

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邦楽ロックをライブハウスの最後尾から見つめていきます。個人的な創作物の発表も行っていきます。

どうも( ^_^)/

 

 

ほぼ必ず一日一個は卵を食べている者です。

 

 

 

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当最後尾で、flumpoolの記事を書く上で何度も書いていることは「突き破れ」ということでした。

 


flumpoolは、アコースティックなコーラスバンドという性質を突き破って世に飛び出してきたバンドです。

 


今回、そういう布石を打っておいて敢えてルーツに戻ることをせず、『EGG』というアルバムで勝負をしてきた。

 


実は、この予想に反する作品がなかなか自分の中で上手く言葉にならず、リリースから半年も経ってようやく書けたという次第です。

 


まだ、まだどんな文章になっていくのかは分かりませんが、flumpoolという『俺たちのポップバンド』が足掻きまくってできた泥臭い音が鳴り響くアルバムだということだけ、伝えておきます。

 

 

と、『今まさに生まれ出でる俺たちのポップミュージック~flumpool/EGG』というタイトルで書きだしたはいいものの、やはり、なんとなく予想とのギャップが埋めきれず、なかなか完成できずにいました。

 

 

そんなもやもやした気分を抱えて八カ月が過ぎようとしていたとき、“FREE YOUR MIND”が、耳に飛び込んできました。

 

 

この凄まじい高揚感をもたらすイントロの素晴らしさと、≪主役は音じゃない≫という一行を聴いて、『EGG』は、“FREE YOUR MIND”に至るまでの物語だったんだなと思えて、ようやく、自分の中で点と点が線になった感触が掴めました。

 

 

flumpoolがflumpoolを超えるために、もっともっと強くなっていくための曲たち、一曲ずつ聴いて行きましょうか。

 

 


01.解放区

 

新たな扉を開くべく、ジワジワと覚醒していくようなサウンドを伴った楽曲から、『EGG』が開幕しました。

 

 

『理性より、愛と狂気を優先せよ』と、がむしゃらな解放を促すバンドのロックさが爆発しています。

 

 

 

 

バンド全体に「とにかく変わっていかなければ終わってしまう」という閉塞感を、きっと本人たちが最も感じていたでしょう。オープニングナンバーとして“解放区”というタイトルを持ってきたことに、楽曲の切迫感とは対極のリラックスした雰囲気を感じます。

 


02.夜は眠れるかい?

 

 

キラーチューンと呼ばれる楽曲は、バンドにそう何度も生まれるものではありません。今までは、“MW~Dear Mr.&Ms.ピカレスク~”がその役割を担ってきましたが、それに続くものがようやくできたといったところでしょうか。

 

 

 

 

“MW~”が、同名タイトルの映画によって生み出されたのと同じように、この“夜は眠れるかい?”も、不敵でイカれた主人公が立ち回るアニメ『亜人』との出会いが作った妖しい煌めきをもった妖艶なロックナンバーです。

 

 


03.World beats

 

THE TURTLES JAPANでの活動、ひいては亀田誠治さんとの出会いが、このアルバムの方向性を決めた一因であることは疑いがありません。

 

 

この動物的なシンセのグルーブは、flumpoolになかったものです。

 

 


04.今日の誓い

 

 

そして、こちらは、以前からflumpoolが武器にしていた、サビで心地いいコーラスワークが光り、アコースティックな雰囲気もあるミディアムポップバラードですが、アレンジャーとして亀田さんがクレジットされているのが大きな変化です。

 

 

恐らくですが、主にストリングスアレンジによって起こされている亀田マジックが素晴らしいです。

 


05.DILEMMA

 

冷たい雰囲気のサウンドが使われています。歌詞ではっきりと書かれてはいませんが、冬っぽい雰囲気がします。

 

 

隆太さんがよく歌詞にする、優しすぎていじらしい女性が出てきます。それでも、しっかり切ないところに落とし込んで、男の女々しさも真正面から描いて見せるのが誠実です。

 


06.絶体絶命!!!

 

 

ここまで、シンセの音が大きくなっていた中、ギターのエフェクトだけでロックなサウンドスケープを表現しきった曲がきました。

 

 

生身だけで、徒手空拳だけで戦えなければ先はないのだというように、剥き出しなバンドのグルーブがぶつかってきます。

 


07.LINE

 

最初は、SNSサービスを歌詞の題材に持ってきたのかと思いましたが、そんなことはなく、ミニマルで普遍的なラブソングでした。

 

 

アコギもベースもドラムも敢えて音数を少なくしたのか。こういうこともできるぞという意思表示なのか。なんてことをくどくどと考えてしまうくらい、もう、とにかく全楽曲に野心が見えます。

 


08.Dear my friend

 

住む世界が違うからこそ、励み合える仲というのもあると思います。同じ音楽というフィールドでは、もちろん、仲間はいるでしょうが、同じくらいライバルでもあるわけで、気の置けない友というのは、実は自分とはまったく似ても似つかない人物であるかもしれません。

 

 

軽快なビートが気持ちいい楽曲に、友への寂寞を伴った親愛があふれ出しています。

 


09.産声


かつて、≪産声のように歌うから≫と歌っていましたね。約束を果たした、というわけでもないでしょうが、管楽器たちの無邪気な音が、まるで産声です。

 

 

時代を憂う視点も持ち合わせた歌詞が、大きく解放されていく最後のコーラスがとても多幸感にあふれています。

 

 

10.とある始まりの情景~Bookstore on the hill~


こういう曲が主体になると、最初は思っていました。ですが、最初に書いたように、勝負に出た。

 

 

 

まるで、何万冊の中から自分に合った一冊を選ぶ本屋での振る舞いのように、≪好きなものを 好きでいられる≫ことを大切にしていこうという歌詞が沁みます。

 


11.夏よ止めないで~You're Romantic~

 

夏の切なさを描き切った繊細なアッパーチューン。“夏Dive”の続編かとも思った曲調です。きっとこれが、flumpoolが鳴らす夏の音なんでしょうね。

 

 

この曲については、先にブログで言及していました

 

 

 

12.輪廻

 

とてもシリアスなイントロが、生きていくにはあまりにも複雑で、死んでいくには単純すぎる人生の難しさを歌う歌へと導いていきます。

 

 

巡り続ける時を憂うばかりは簡単です。それを乗り越える強さが欲しいと、足掻き、もがく楽曲です。

 

 

13.Blue Apple & Red Banana

 

モラードバナナという、赤いバナナがあるそうです。きっと、あんまり関係ないでしょう。ライブで燃え上がる気満々な楽曲です。

 

 

いわゆる、シンガロングがサビで使われていますが、こういうのが下手なルーティンにならないためには、≪炎上を恐れて/燃える前から灰になって/感情さえ消えた/あいつらの前途呪って≫といった、切れ味鋭い挑戦的なリリックがなければいけません。

 

 

14.明日キミが泣かないように

 

最後は、エンディングテーマのような優しいミドルバラード。キミとアナタ、手紙を交換し合っているような歌詞です。

 

 

最後に、共に生きられなかった二人の、その後の物語を描写していたことが分かります。切ないですが、悲しくはない、変わっていった日々を受け入れ、幸せを願う優しさを表した歌でした。

 

 

以上、14曲。

 

 

そして、すべてはここに繋がっていった。