いわゆる“推し”に関しては鞠莉か喜子で迷っている者です。
ラブライブ!サンシャイン!!
さて、この作品を最後まで観て、俺の中でこの曲が流れ出しました。聴きながら読んでください。
一歩、一歩、日差しを探して歩き続けた物語でした。
高校生の女の子たちが自分たちで作り上げるアイドルというコンセプトながら、歌・ダンス・衣裳・舞台装置のすべてに素人感がまったくしないこととか、かつての大ヒット映画及びドラマ『ウォーターボーイズ』と絡めて書こうかなとか、何はともあれ“可愛く”なければ務まらないアイドルのこととか、いろいろなフックがある中で、やっぱり、音楽と物語が一番ヒットしたのでそれについてです。
・新しい世界へ、昨日までと違った足音で踏み出した。は、いいものの
表現の世界での勝敗は、非常にフワッとしており、白か黒か、0か1かで語れるデジタルなものではありません。
日本のポップミュージックの世界で生きている人たちは、ほとんど誰しもが勝つことを目的としていますが、ではその勝利条件はというと、一言では表せない。
ある人にとっては「ヒットチャートのトップに食い込むこと」であるし、ある人にとっては「外国の片田舎でも語られる存在になること」であるし、ある人にとっては「ライブをたくさんやること」です。
『ラブライブ!サンシャイン!!』の主人公であるAqours(アクア)のメンバーたちは、彼女たちから遡ること四年ほど前に、μ's(ミューズ)というグループが同じような境遇の中で廃校を撤回させた事に倣い、スクールアイドル部を設立し、ラブライブに出場します。
ただ、田舎の統廃合問題は、一部活動で解決するには難しすぎる。学校の問題というよりは、そもそも人口が多くない町全体の問題となって降りかかってきます。
新しい世界へ、新しい一歩を踏み出したのに、状況は何一つ変わらず、0のままです。
・舗装された道を選んで歩くのはやめたい
前作『ラブライブ!』からの流れを汲む『サンシャイン!!』の企画当初のコピーは『助けて、ラブライブ!』でした。
全国大会で有名になって、学校の存続と、過疎化が進む地元のPRを、という願いが込められていたのではないかと思っています。
しかし、今作のアニメ版では、中盤に入るところで「助けて」が語られるくらいで、むしろ、「自分たちでなんとかしないと」という風にテーマが変わっていきます。
μ'sを主人公に、かなり巨大なコンテンツとなった『ラブライブ!』の後継作として求められるのは、独り立ちです。
先人の作った舗装された道を進むのではない、0から1に向かう力強さ。
『ラブライブ!』に乗っからず『ラブライブ!』を続けていく、という困難なミッションに、一つの答えを示したと思ったシーンが最終回にありました。
最終回、東海地区予選に出場したAqoursは、パフォーマンス中に明確なレギュレーション違反を侵します。ライブ後の展開は描かれませんが、ほぼ100%、失格になったものと思われます。
いうなれば、「甲子園はどうでもいい、こいつとやることに意味がある」と、出場資格のない未登録選手を出して試合をしてしまう高校野球の県大会決勝みたいなものです。
「ラブライブ、ありがとう、私たちはラブライブを超えた場所でラブライブを作っていくよ」と、まさに、覚悟と魂のレギュレーション違反。
もともと、エンタメに勝ち負けなんて無いと思っている俺にとって、良い最終回でした。
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