明日もまた、彼らのライブが聴きたい~Galileo Galilei ライブ 名古屋E.L.L | ライブハウスの最後尾より

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邦楽ロックをライブハウスの最後尾から見つめていきます。個人的な創作物の発表も行っていきます。

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どうも( ^_^)/


前回のブログから引き続き、Galileo Galileiのライブに行ってきた者です。



ガリレオのライブは何度でも見たくなる魅力があります。


基本的に二時間以内のコンパクトな内容で、所謂“ライブ向け”な曲を畳みかけていくわけでもなく、映像やSEなどを使った特別な演出もしない。まるで、自分たちの挑戦と探求と研鑽の結果を発表する音楽博覧会のようなライブをするバンドが、何故ライブバンドとして認知されているのか、そんなちょっとした謎を紐解く様に今回のE.L.Lでの公演を見ていこうと思います。


ブログの最後でセットリストを全て明かしてしまっているので、これから行く、という人は最長で最後の札幌での公演の後に会いましょう。


では始めます。


Galileo Galilei
landing balloon tour 2014
in 名古屋Electric Lady Land



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ツアータイトルを見て分かる通り、今回のツアーはアルバムのリリースツアーとは趣が異なります。


今まで四人だったり(『ハマナスの花』~『パレード』まで)五人だったり(『PORTAL』まで)三人だったり(『Baby, It's Cold Outside』まで)そしてまた五人になったり(『ALARMS』から)と、ライブごとにバンドフォーマットが変わっていた状況からようやく落ち着きを見せ、またアルバムリリースごとに音楽性を大幅/微妙に変えてきたバンドとしても一つ落ち着き、非常に充実した状態を維持している自分たちを見せるためのリスナーへの挨拶回りとしてのライブツアーです。


編成も、前回と同じくオリジナルメンバーのDr.尾崎和樹さん、Ba.佐孝仁司さん、Vo&Gt.雄貴さんに加え、サポートギターとして前回から引き続きCURTISSのフロントマンDAIKIさんと、今回からサポートキーボード&コーラスとして加わったMONTBLANCのKey.藤沢有沙さんという五人編成で、かなりしっくりきている感じでした。


ライブ本編の話に移ります。


名古屋でのGalileo Galileiライブの特徴として、“最後尾より前の方が空いている”というのがあります。なので、今回は『ライブハウスの最前列の後方より』お送りします。

『ライブハウスの最後尾より』は“どこにいても楽しめるライブ”を提案していくブログなので最後尾でも最前列でもいいのです。もっと前に行ってもいいのよ? 笑


そんなことを思いながら始まったライブ、一曲目は『See More Glass』でもオープニングを飾った“サニーデイハッピーエンド”。ギターとベースが前面に出た陣容から、清涼感のあるバンドサウンドをドカンと響かせると、そこから一気に三曲、四曲と畳み掛けていく。


ここで気付いたのは、雄貴さんが曲名を言わないということ。以前は演る前に「次はこの曲をやります」ということを言ってから始めるケースが多かったのですが、「わざわざ言わなくてももうわかるだろう」というリスナーへの信頼感なのでしょうかね。


さて、そんな雄貴さんですが、序盤でいきなり一つの山場を迎えます。“Mrs.Summer”。かなり音程の範囲が広くて歌うのが大変そうな曲を、小手先の歌唱技術より力強さを前面に出して歌い上げたところに、ボーカルの進化を感じました。


そのボーカルとしてかなりフィジカルエリートなところを見せた次に演奏された“リジー”では、ベースの仁司さんの見せ場がやってくる。


元はミニマルなサウンドから始まる可愛らしい曲ですが、今回はアウトロで一気に勢いを増す攻撃的なアレンジで、その中核を担っていたのがベースでした。続く“老人と海”ではテクニカルに、楽しんで演奏している姿が見られました。


一応キーボード類が置かれてはいるものの、基本的にはベーシストとしてバンドのボトムを担っていた仁司さんと同じく、リズム隊の和樹さんも今回はもう一つ大きな役割を果たしていました。


それは、コーラス。失礼ですが、今までは『自称コーラス』状態だったのが、今回は『しっかりコーラス』でした。

『See More Glass』というアルバムが、コーラス無くして成立しないビーチボーイズ的な趣きのあるアルバムであることを差し引いても、バンドのオリジナルメンバーである三人でコーラスワークを成立させられるのは大きな変化でした。


再び雄貴さんのボーカルの話に戻ります。アルバムではAimerさんが歌っていた“バナナフィッシュの浜辺と黒い虹”をライブでは雄貴さんが歌っていて、海辺の街で暮らすやさぐれた生活感満載な女の子の歌をあの冷徹と熱情を自在に行き来する声で歌われると、楽曲の物語性がより増します。是非、このバージョンもパッケージされた音源として聴いてみたいと思いました。


『冷徹と熱情を自在に行き来する声』と、思いつくままに書きましたが、そう考えると、その声が最も発揮されたのが“サイレン”でした。


実はライブでは初めて聴いたのですが、アルバムでも披露していた狙った裏声なのか掠れてしまっているのか分からない狂気に身を委ねたかのような歌唱が、今回のベストアクトだったように思います。


ライブ後半はオーディエンス参加型の“愛を”の手拍子、“Oh,oh!”のシンガロングなどで大いに盛り上げ、思わぬ機材トラブルがあったものの、最後は“星を落とす”で本編終了。


アンコールでは、自分たちの状態が本当に良いことを告げて、「また会いましょう」と言いながら終演。



※※


E.L.L.から出ると、名古屋駅までの道のりを歩き出す。何しろ、ライブに行くときは、いつもギリギリの金額をポケットに入れるだけなので、所持金が320円しかないのだ。


歩きながら思うことは「紆余曲折経て、フィジカルが強いバンドになってきたな」ということと、

「やっぱり、明日もまたGalileo Galileiのライブが観たいな」

ということ。


本当に、演奏は聴く度に良くなっているし、楽曲はアレンジに改良が加えられている。三人の音楽博覧会はきっと音楽を愛する者すべてに届く純粋さがある。


でも、何度も聴きたい理由はそんなことじゃないな、と思い直す。


あんなにお客さんが集まっているのに、Zeppやホールでもやったことがあるのに、相変わらず彼らは演奏しているとき以外はとても所在なさげでいる。元々シャイなのだろうけど、和樹さんも、前に出てMCをするときくらいマイクの位置を下げればいいのに。お兄ちゃんも下げてあげればいいのに。


―――きっと、それが良いんだろうな。


彼らがインドア派の引っ込み思案なポップミュージックスターだから、彼らが前に出たがらない分、音楽が輝き、結果的に彼らが輝く。そういう相乗効果を見たくて、何度でもGalileo Galileiのライブを足を運んでしまうのだな。


一つの明確な回答を得た俺は、足取りも財布も軽く、最終的に所持金170円の状態で無事帰宅しました。うん、カツカツなのに自販機でペットボトル買ってんじゃねぇよってね。



~セットリスト~
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