国内ではMY FIRST STORYに切り替えていこうとしている者です
嘘です、まだ聴きます 笑
本当に苦難苦闘の多いバンドです
一番最初に聴いた印象としては、Dragon Ashや10‐FEETやRIZEなどといった下北沢辺りのライブハウスと国内フェスを熱狂させているラウド+メロコア+ラップのミクスチャーバンドたちに憧れている少年たちが無邪気に結成したパンクロックバンド、というものでした
メンバーが元々芸能活動をしていたり、それこそKjやJESSEのように父親が有名人であったり、色々なパーソナルデータが出揃って行くにつれ「なんだか苦労しそうなバンドだな」と思ったり
アミューズという最大手事務所のサポートもあって音楽活動としては順風満帆な出だしを見せたし、やっぱりというかボーカルは上手い
しかし、です
スタートラインから他のどのバンドよりも特殊且つ特別で、ようやく20代になったばかりのバンドマンが持つヒストリーとしてはあまりにも重すぎるものを背負っているバンドが、ちゃんと続いて行くんだろうか、という思いは常にありました、勝手に、想像してました
そして、そんな勝手な心配の少し斜め上を行く不祥事でギタリストが脱退、バンドも完全に活動停止
しかししかし、
これもまた個人的で勝手な意見ですが、バンドというのは一度“コケた”後が面白い
本当に大切なものを見つめ直し、省みて、身体についた砂を払いスクッと立ち上がった後のロックバンドは、とても面白い
『完全感覚Dreamer』
ほらね 笑
さらにその後のアルバム『Nicheシンドローム』で、新たにエモ・メロコアのサウンドを獲得し、邦楽ロック界を急進し
『Re:make』
『残響リファレンス』で完全に覚醒
ここからはもう手がつけられなくなって今回のアルバムにノンストップで辿り着くわけです
長い長い前置きでしたが俺としてはどうしても『Niche~』から語りたかったのです、というわけで本題
ONE OK ROCK『人生×僕=』(JINSE KAKETE BOKU HA)
曲タイトルは全て英語、詞も8割以上を英詞が占め、ミキシングエンジニアにはアメリカの巨匠を起用
うん、もう分かったよ、日本という音楽市場の先へ行くんだね、止めるつもりも無いけど止まらないね
さぁ!どこへなりと行ってくれ!全曲すげぇぞ!!
01.Introduction~Where idiot should go~
壮大なストリングスが響き渡る、アルバムの先陣を切る曲
“どこへ行くべきなのか?”
迷いの中か、もう答えは出ているのか、暗がりでもがくような曲調はM2のイントロまで続いて行きます
02.Ending Story??
弱さを抱えた誰かが、袋小路で蹲っている
そんな情景を囁くように歌い出してから一気に熱を上げる「悩んでんじゃねぇ、とっとと立ち上りやがれ」と
夢を抱えてどんどん遠くの方へ駆け上がって行くバンドを、それを見つめる未だ凡庸なダイヤモンドの原石が聴いていたら、それはとても良い連鎖です、だから俺はこのバンドに売れて欲しいんだろうな
03.ON!ON!
BPM160越えのビートで一気に駆け抜けていくロックチューン、特にハイテンションなドラムが最っ高にノリノリです
英詞が多いアルバムで一番日本語のリリックが多い曲なんですが、歌詞カードを見ずに聴いてると言葉が塊になってぶつかってきてとんでもなく力強い
04.The Beginning
イントロのピアノが曲に適度な緊張感と優しさを与えていますが、俺はこの曲をギターロックソングだと言い切ります
主張が強いというか、常に大声で鳴ってるんです、「さぁ始めようぜ!」って、歌詞以上にギターが
05.Clock strikes
何よりもエモーショナルなのはドラム、どうやって鳴らしてるんだろう?
なんかもうイチロックキッズ状態で聴き惚れてしまいますね
サビは心が震えるロックバラードといった趣きですが、バンドサウンドだけでこれだけ壮大な空間を作り出せるのも素晴らしい
06.Be the light
あの日から何が失われただろう?失くしたものから何を見つけ出せたのだろう?
昨日の闇夜も明日訪れるであろうそれも同じように明けて行く世界を代弁するかのように、この曲は高らかに告げる『光り輝け』と
何も3.11、震災に限った話では無く、もっとパーソナルでミクロな世界にも響き渡る力を持った名バラードです
07.Nothing Helps
全身全霊を込めて振り下ろされるダウンストロークに合わせて、荒っぽい音像の中始まるエモーショナルロックナンバー
“ジャー・ジャー・ジャー・ジャー”
いい感じにディスト―ションを効かせたギターのコード弾きに心奪われます、初期衝動的で確信犯的
08.Juvenile
ストリングスも使って小奇麗にまとめてきたのかと思いきやCメロで盛大にやらかしてくれます
やりたい放題のボーカルもまさにジュブナイル(少年)ということなんでしょうか、Takaさんはこのアルバムを聴く限り本当に歌うのが楽しそうです
私事ですがアリーナツアー当選しましたっ!10代の名古屋の恥ずかしがり屋のJuvenile達に混じって暴れてきます
09.All Mine
あんまり他のバンドの名前を出さずに行きたいのですが、どうしても思ってしまったので書きます
Aerosmithのベタ甘ラブソングバラードみたい 笑
Takaさんは英詞が多い作詞家ですが、それほど難しいことは書きません
高校英語で3以上取ったことが無い俺でもとりあえず理解は出来る、意味深長な詞より、言葉の力強さでグイグイ押していくタイプ
ですが、これは……良いっ!! 笑
エアロスミスみたいなんて書いてしまいましたが、ちゃんとONE OK ROCKしてるのはまさしくTakaさんのボーカリストとしての高いポテンシャルが為せる業
10.Smiling down
6/8拍子のシリアスなミディアムギターロック、曲の振り幅が大きくなったことを実感する一曲
振り返れば分かれ道ばかり、最初から分かっていたこと、突然降りかかってきたこと
幸い声は届くようだから、寄り添い続ける痛みと共に歌おう
11.Deeper Deeper
巻き舌のシャウトを初っ端から繰り出してくる一発KO狙いのアッパーチューン
ベースの野太いリフがたまらないし、キャッチーなリリックもクールです
が、もっととんでもないのが、こういう曲がいわば“平均点的”に思えるバンドのタフネス
「ちょっとリズム隊二人に作らせたらできたよ、どうぞ」ってな感じ、本当にスゲェ 笑
12.69
ロック/シックスナイン、意味深な(多分)ダブルミーニングタイトルは日本語のポエトリリーディングと英詞のサビが交錯しますが、メインは自己言及とリスナーへのメッセージを重ね合わせたような日本語の朗読だと思います
Takaさんの詞は今作で大きく変わったところがあって、今までは“数奇な運命と宿命を持って生まれた自分=森田(森内)貴寛”のパーソナリティから歌詞を紡ぎ出している印象があったのに対して、今では“ONE OK ROCKの四分の一であり重要なピース=Taka”という独立した存在から『(自分が愛する)音楽のための言葉』を放っている
『69』の詞も、喋っているのは“Taka”であるとはっきり分かるし、それ以上に解き放たれたような突き抜け感があります
13.the same as...
大泉洋さん演じる萎びたパンクロッカーが熱い魂を取り戻し飛び跳ね回る映画のエンディングとしては恐ろしいほどナイーブな歌い出しにビビり、さらにそれが最後まで続くということにさらにビビる 笑
ONE OK ROCKはタイアップも多いですが、たまに原作を見たり読んだりしているのか分からない曲が上がってくる、でも何故か全部が全部作品に合っているという不思議な感触を持つのですが、この曲もそうです、何だかんだ合ってるわ、と
この曲もM1と同じく『迷い』を最低音のところで常に感じる、少し憂いを混ぜたボーカルもそれを引き立てていて、もどかしさもあるんだけど逆に心地いいような
そんなカオスな気分を良い意味で台無しにしてくれる長いブランクの後に始まる下らないショートコントに笑ってしまった、畜生 笑
ONE OK ROCK "Studio Jam Session" Trailer Movie
初回版が手に入ったので特典DVDにも触れておきます
内容としては、スタジオに集まった四人がアコースティック形式で『The Beginning』と『the same as...』をセッションするという簡潔なものです
アコースティック+音飾一切無しという、誤魔化しの利かない一発テイクの緊張感は全く無く、雰囲気はとても穏やか、この空気をアリーナに持ち込むことが出来たらと思いますが、どうなるか
長々と四日がかりで書いてしまいました、もう各CDショップで売り切れ続出なので気になった方は急いで手に入れてください
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