どうも( ^_^)/
暑いのは我慢できるけど、我慢は嫌いな者です
『夏雨』
夏の日 35度を超える午後のこと
虫の音が止み 湿った風が鼻腔をつく
先程まであったひりひりとした感覚が沈み 心に静寂が訪れる
雨雲が空に黒いカーテンをかけ陽の光を遮る
沸騰寸前の世界からゆっくり熱が奪われていく
雨粒が一つまた一つとアスファルトの地面を叩きだす
ジュウジュウと音を立てて煙たい街を冷ましていく
不規則なビートを刻む雨音は激しさを増す
降り注ぐ雨 吹き抜ける風 彼方に雷鳴 響くサイレン
新たな騒ぎにも心は静かなまま 突然の雷雨に為す術なく濡れていく街を見つめる
全てが押し流される様を見つめる 行き場の無い熱が冷却されていく様を見つめる
ふしだらな欲望も不条理な営みも罪も恥も罰も悪も幸も正義も不幸も歓喜も0に戻る様を見つめる
呼吸は落ち着き 心臓の音も明瞭な しかし変わらず空(から)のままで そして満たされていて
世界が冷め 街が冷め 心は醒め 今日は褪め 明日が覚め また
一際大きな雷鳴が轟き 雨足が遅くなる 虫が忙しなく鳴き 太陽が顔を出した
夏雨の余韻は暴力的な夕焼け 世界は再び始まった