衝撃の1戦目が終わり、司会者は2戦目をコールした。次は『109』VS『60』。今度は2人とも女だ。2人とも由良と違って威勢がよく、デュエルの前からかなり相手を威嚇していた。1人はなんだか司会者の男性を口説いている。その際、自らの名前を『愛海』と名乗っていた。もう1人の女はなんだか大人しそうな女性だけれど、目が愛海をよく思っていないように見えた。彼女は冬子と言うらしい。
「さぁ!次のデュエルをスタンバイだ!」
「デュエル!」
先攻は冬子という女が取った。背は高いけれど、年齢は渡と同じ15だという。彼女は由良とはまた違う静けさを持っていて、なんだか不気味だった。
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冬子 LP:4000 手札:6
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「私はモンスターを1体セットし、更にカードを2枚セット。ターンを終了します」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
冬子 LP:4000 手札:3
フィールド:
<セットモンスター><セットカード×2>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
デュエル進行も先ほどのデュエルとは打って変わって1ターン目は何も起きない。先ほどと比べるとどれだけ静かなデュエルかよくわかる。それが気に入らないのか、愛海は乱暴にドローした。
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愛海 LP:4000 手札:6
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「ドロー!『伝説の都 アトランティス』を発動!さらに手札から『水陸両用バグロス Mk-3』召喚!」
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・伝説の都 アトランティス
フィールド魔法
このカードのカード名は「海」として扱う。
手札とフィールド上の水属性モンスターはレベルが1つ少なくなる。
フィールド上の水属性モンスターは攻撃力と守備力が200ポイントアップする。
・水陸両用バグロス Mk-3
水 Lv4
ATK 1500 DEF 1300
【機械族・効果】
「海」がフィールド上に存在する限り、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃することができる。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
(伝説の都・・・アトランティスか。水属性によるアクロバティックな戦術ってとこだな)
「バグロス!相手プレイヤーを直接攻撃!」
愛海が直接攻撃の宣言を行った瞬間、ボソっと冬子がつぶやいたのを渡は聞き逃さなかった。
「きしょ、ダサ」
「てっめぇ!」
愛海にも聞こえたのだろう。彼女の目付きがさらに鋭くなった。気のせいか、自分の使い手を悪く言われたバグロスも、直接攻撃のスピードを速めたように感じられた。しかし、冬子は至って冷静だった。
冬子 LP:2300
冬子のライフポイントが一気に削られる。LP4000ルール内での高攻撃力直接攻撃モンスターはかなり強い。もちろん長く場にその能力をとどめておければ・・・。
「この時、私の手札の『ウインターズ・ビーナス』の効果発動」
「な、何!」
「『ウインターズ・ビーナス』は戦闘ダメージを受けたとき、手札から特殊召喚できる。守備表示!」
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・ウインターズ・ビーナス
水 Lv3
ATK 1300 DEF 700
【天使族・チューナー】
自分が戦闘ダメージを受けたとき、このカードを表側攻撃表示で特殊召喚できる。
このカードは1ターンに1度、戦闘によって破壊されない。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
「すごい!だからあんなに冷静だったのか」
渡は感心する。しかも出てきたのがチューナーだと知った愛海はシンクロモンスターを恐れてひるみだす。
「う、うちはカードを2枚セットしてターンエンド!」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海 LP:4000 手札:2
フィールド:
<水陸両用バグロス Mk-3><セットカード×2><伝説の都 アトランティス>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
攻防的には愛海のほうが優勢。しかし、冬子の場にはセットモンスターとチューナーモンスター『ウインターズ・ビーナス』。次のターンに反撃されるのは目に見えている。
(たぶんあそこにセットされているカードは破壊系のカード・・・。攻撃したらアウトだろうなぁ)
「私のターン。ドロー」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
冬子 LP:2300 手札:3
フィールド:
<ウインターズ・ビーナス><セットモンスター><セットカード×2>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「さぁ!ここで逆転なるか!2ターン目開始だー」
司会者の派手な実況をよそに、冬子はカードを場に出す。
「私はセットしていたモンスターをリリース。『ウインターズ・テイマー』を召喚」
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・ウインターズ・テイマー
水 Lv5
ATK 0 DEF 0
【魔法使い族・効果】
「ウインターズ」と名のついたモンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時、
相手フィールド上に表側表示で存在するレベル6以下のモンスターのコントロールを得る。
この効果でコントロールを得たモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手はこのカードを攻撃対象にできない。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
「私がリリースしたのは『ウインターズ・インジェクター』。よって『ウインターズ・テイマー』の効果を発動。『水陸両用バグロス Mk-3』のコントロールを得る」
召喚された『ウインターズ・テイマー』は持っていた筒からピシュッと水の鞭を放出させると、それをバグロスに向けて放った。あの鞭は相手モンスターのコントロールを奪う調教の鞭なのだろう。愛海は慌てて罠カードを発動させた。
「そうはさせない!罠カード発動!『水霊術ー「葵」』。バグロスをリリース!あんたの手札を1枚墓地に送る!」
なんだか喧嘩しているみたいだ。愛海はしてやったりという顔をしていた。少なくともバグロスはコストとして墓地行きだが、これで洗脳はできなくなるし、相手は手札を1枚失う。が、冬子は更にチェーンを行う。
「罠カード発動!『絶対氷原』。このカードによって、このターン、フィールド上のすべてのカードは効果を失う」
「ちっ」
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・水霊術-「葵」
通常罠
自分フィールド上二存在する水属性モンスター1体をリリースして発動する。相手の手札を確認し、1枚を選択して墓地へ送る。
・ウインターズ・インジェクター
水 Lv1
ATK 200 DEF 300
【魔法使い族・効果】
このカードが墓地に存在する場合、
自分フィールド上に表側表示で存在する「ウインターズ」と名のつくモンスターは相手ターンのみ
攻撃力が300ポイントアップする。
・絶対氷原
通常罠
自分フィールド上に『ウインターズ』と名のつくモンスターが存在するとき発動できる。
このターン、フィールド上のすべてのカードの効果を無効にする。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
(うちの場に伏せた『次元幽閉』もこのターン何の意味もない・・・くそ!)
「これでお互い魔法、罠、効果モンスターの効果は使えない。でも、ただ1つ無効化されないものもある。『チューナー』であることは変わらない――」
現在彼女の場に居るモンスターはレベル5『ウインターズ・テイマー』とレベル3『ウインターズ・ビーナス』となれば必然的に出てくるモンスターのレベルは8!
「レベル5『ウインターズ・テイマー』に、レベル3『ウインターズ・ビーナス』をチューニング。冬の寒さが世界のすべてを凍らせる――永久凍土の世界へ!シンクロ召喚!吹雪け!『ウインターズ・ブリザードナイト』」
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・ウインターズ・ブリザードナイト
水 Lv8
ATK 2200 DEF 1300
【天使族・シンクロ/効果】
「ウインターズ・ビーナス」+チューナー以外の「ウインターズ」と名のつくモンスター1体以上
このカードは罠カードの効果を受けない。
墓地の水属性モンスターの数×100ポイント攻撃力がアップする。
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「ブリザードナイトは罠カードの効果を受けない!つまり、『絶対氷原』の効果を受けない。更に、ブリザードナイトの攻撃力は、墓地の水属性モンスターの数だけ攻撃力が100ポイントアップする。今墓地には水属性モンスターが4体。よって、400ポイントアップ!」
・ウインターズ・ブリザードナイト:ATK 2600
「ブリザードナイト!相手に直接攻撃!氷結白夜!」
「きゃぁぁ」
愛海 LP:1400
「くっそ」
「由良さんみたいにワンターンキルしちゃいそうな勢いだよ」
渡は興奮しまくりだ。デュエルに夢中になっている。周りのことにはまったく注意がいかず、由良を探しにどこかへ大樹が行ってしまったことにすら気がついていない。
「私はターンエンド」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
冬子 LP:2300 手札:2
フィールド:
<ウインターズ・ブリザードナイト><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
戦況は冬子の優勢。彼女の使う『ウインターズ』のカードは冬の名を持つ彼女にまったくふさわしいカードだ。冬の凍える寒さはあらゆる効果を無効にする。そんなカードを使う彼女は雪女のように冷たい笑みを浮かべ、対戦相手を見つめていた。しかし、愛海もまだ負けたわけではない。冬子もすでにLPを1700削られている。次のターン再びバグロスを出されればLPは600まで減らすことができる。また次のターン守ることができれば、更に1700で勝利だ。もちろんそれは守れればの話。バグロスも手札になければ意味がない。
「うちのターン!ぜーったい負けねー!!」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海 LP:1400 手札:3
フィールド:
<伝説の都 アトランティス><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「ちっ。うちはモンスターをセットしてターンエンド!」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海 LP:1400 手札:2
フィールド:
<伝説の都 アトランティス><セットモンスター><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海はなかなか思い通りのカードを引けずに、壁を増やしてターンを終了する。冬子はそれを見て笑うと、再び静かにカードを引いた。
「ドロー」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
冬子:2300 手札:3
フィールド:
<ウインターズ・ブリザードナイト><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
ここに来て、冬子がデュエルを一時中断して愛海に話しかける。
「あなた。すっごい威勢いい割に直接攻撃とかセコい手使うのね」
「なんだと」
「相手のモンスターをなぎ払ってダメージを与える。そういうのできないの?」
「うるせー。うちがどう戦おうと勝手だろ!戦略ってのをしらねーのか?」
「別に?でもそういう戦術使うなら、もっと静かにしてくれない?ウザい」
最後の言葉が愛海にプチンとキレさせる。愛海は何も言わなくなり、ぷるぷると拳を振るわせた。冬子は肩に掛けていたストールのズレを直すと、手札を1枚グローブにセットした。
「これで私はターンエンド」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
冬子 LP:2300 手札:2
フィールド:
<ウインターズ・ブリザードナイト><セットカード×2>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「さ、あなたのターン」
「言われなくても!ドロー!」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海 LP:1400 手札:3
フィールド:
<伝説の都 アトランティス><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
(よし!)
「うちはこのカードを召喚!『アビス・ソルジャー』!!」
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・アビス・ソルジャー
水 Lv4
ATK 1800 DEF 1300
【水族・効果】
水属性モンスター1体を手札から墓地に捨てる。
フィールド上のカード1枚を持ち主の手札に戻す。この効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに使用することができる。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
「『アビス・ソルジャー』!効果発動!!!手札の『深海王デビルシャーク』を捨て、あんたのフィールドのブリザードナイトを手札に戻す!」
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・深海王デビルシャーク
水 Lv4
ATK 1700 DEF 600
【魚族・効果】
このカードは1ターンに一度だけ、対象を指定しないカードの効果では破壊されない。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
「・・・ウザッ」
「おーっと。ここで『アビス・ソルジャー』の効果が発動したぞー!ブリザードナイトが戻される。この場合、シンクロモンスターはエクストラデッキに戻るぞー」
「障害はなくなった!『アビス・ソルジャー』。あいつに直接攻撃!」
パシュッ。アビスの攻撃が冬子を直撃する。ライフポイントが大幅に削られた。これで愛海のほうがライフは上だ。
冬子 LP:500
「よっしゃ!」
「うぅ・・・」
愛海は拳を握り締めて逆転の喜びをかみ締めた。喜びというよりも、ウザいやつに仕返しができて満足したようにも思える。しかし、完全に満足するにはやはりライフを0にしなければ気がすまないらしい。
「うちはターンエンド!」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海 LP:1400 手札:1
フィールド:
<アビス・ソルジャー><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「ざまーみろ。次で終わりにしてやる」
愛海は冬子に向かって叫ぶ。観衆は女の争いを何かのエンターテインメントのように笑いながら見ている。フィールド上の2人がぴりぴりとしていることなどお構いなし。やれやれと騒ぎ立てる。もちろん2人にも観衆など目にも耳にも入らない。ただ目の前の敵を倒したいという意志だけだ。
「ドロー」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
冬子 LP:500 手札:3
フィールド:
<セットカード×2>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「あーあ」
冬子はドローしてすぐにがっかりとした顔をする。そのがっかりしたことが愛海へのムカつきに直接つながっている。冬子がウザいと思っているのは、フィールド魔法『伝説の都 アトランティス』。このカードは水属性モンスターのレベルを1下げてしまう。シンクロモンスターを扱うデッキにとってレベルはかなり重要。使用するシンクロモンスターに合わせてデッキのモンスターのレベルは調整されている。それがアトランティスの効果で崩されてしまうのだ。レベルが下がるということは、その分追加でモンスターを出す必要がある。しかし、冬子の手札にモンスターを大量召喚する手はない。
(『ウインターズ・コンダクター』。召喚に成功した時、手札からレベル3以下の『ウインターズ』を特殊召喚できる。アトランティスの効果は手札にも及ぶ。レベル4のモンスターはレベル3となって、コンダクターの特殊効果で特殊召喚できるようになる。けど、コンダクターのレベルも1下がる。それじゃあ意味がないですわ)
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・ウインターズ・コンダクター
水 Lv2
ATK 100 DEF 1200
【魔法使い族・チューナー】
このカードの召喚に成功した時、
手札からレベル3以下の「ウインターズ」と名のつくモンスター1体を特殊召喚できる。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
「どーしたよ。もう手詰まりかぁ?」
何もしてこない冬子に、今度は愛海が挑発し返す。冬子はそれでも冷静を保ち、手札とフィールドをじっと見る。
(相手のライフはまだ1400。セットしたあのカードを使っても・・・)
冬子は深く考えた。シンクロ召喚を使わずとも、フィールドに逆転のカードはある。しかし、相手フィールド上にセットされたカードが気になっていた。
冬子の『ウインターズ』はシンクロモンスターのほとんどが罠カードを防ぐ効果を持っている。それは彼女が罠カードによって攻撃を防がれることをもっとも嫌っていたからだった。それゆえに、自分の身を守るシンクロモンスターを召喚しづらくさせるアトランティスを使う愛海が彼女にとってウザったい存在となっていたのだ。
(こうなったら、次のターンを待つしかありませんわ)
「モンスターをセット。ターンエンド!」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
冬子 LP:500 手札:3
フィールド:
<セットモンスター><セットカード×2>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
(相手を喜ばせてしまうのは癪ですわ・・・)
「へへーん。これでうちの勝利は確定だな」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海 LP:1400 手札:2
フィールド:
<アビス・ソルジャー><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「このターンで終わらせてやる!」
ちらりと愛海は手札の2枚目のバグロスを見せた。
「壁モンスターも役に立たなかったなー。へっへー」
フィールド魔法、アトランティスは海として扱い、バグロスは攻撃力が200ポイントアップした状態で相手を直接攻撃可能。愛海は先ほどの攻撃でセットされたカードの中に攻撃を防ぐものがないと確信していた。彼女の頭の中に描かれた勝利絵図は揺るがない。
「バグロス召喚!バトルフェーイズ」
しかし、それは彼女の頭の中でしか描かれていない。現実はまだ終わっていなかった。
「罠カード発動!『タイム・フリーズ』」
「んだと!?」
「『タイム・フリーズ』は、ドローフェイズとエンドフェイズ以外のフェイズをスキップし、スキップしたフェイズによって様々な付加効果を与える」
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・タイム・フリーズ
通常罠
自分、または相手のドローフェイズ、エンドフェイズ以外のフェイズ開始時に発動できる。
そのフェイズをスキップする。そのターンのエンドフェイズ、スキップしたターンによって
そのターンのプレイヤーは以下の効果を得る。
◆スタンバイフェイズ:次のドローフェイズ時、カードを2枚ドローできる。
◆メインフェイズ:次のターン自分は通常召喚を二回まで行うことができる。
◆バトルフェイズ:次のターン自分フィールド上のモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
「もちろん私が選択するのは『バトルフェイズ』。よって、あなたのモンスターは次のターン攻撃力が1000ポイントアップします」
「ちっ。・・・まぁいいや次のターン。うちのモンスターたちは攻撃力が1000ポイントアップ。次で決めてやる!うちはターンエンドだ」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海 LP:1400 手札:1
フィールド:
<アビス・ソルジャー><水陸両用バグロス Mk-2><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・エンドフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「私のターン。ドロー」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
冬子 LP:500 手札:4
フィールド:
<セットモンスター><セットカード>
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・ドローフェイズ情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
(ふふ・・・来た♪)
「私は手札から『ウインターズ・コンダクター』を召喚!」
冬子がついに動き出す。カードから猛吹雪と共に光り輝く小人が登場した。
「コンダクター効果発動!手札からレベル3以下の『ウインターズ』と名のつくモンスター1体を特殊召喚できる。来なさい!『ウインターズ・タイタン』」
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・ウインターズ・タイタン
水 Lv3
ATK 1500 DEF 0
【悪魔族・効果】
このカードはフィールド上に存在する時、レベルを5として扱う。
このカードが攻撃した場合、次の自分のスタンバイフェイズまで攻撃力を500ポイントアップする。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
小人が杖を振るったかと思うと、再び吹雪が吹き荒れ、その中から雪男が1人現れる。
「『ウインターズ・タイタン』はフィールド上に存在する時、レベルを5として扱う。更にアトランティスの効果で4!」
「またシンクロ召喚を・・・」
「まだですわ!セットしていた『ウインターズ・インジェクター』を反転召喚!」
2枚目のインジェクターだ。彼女の合図で、更にコンダクターは杖を振るう。
「レベル4となった『ウインターズ・タイタン』と、レベル1『ウインターズ・インジェクター』に、レベル1となった『ウインターズ・コンダクター』をチューニング!白き地平を翔ける嵐よ、吹き荒びてわが道に立ちはだかる障害を除けよ!シンクロ召喚!吹き荒らせ『ブリザード・テンペスター』」
出現した白き嵐が、フィールドを包み込む。ソリッドビジョンのはずなのに、なんだか見ているだけで本当に寒くなってくる。
「なんか本当に寒く感じてきたよ。ねぇ大樹」
ふとそのとき、傍らに大樹が居ないことにようやく渡は気がつく。あたりを見回すも、渡らしき人影はない。周りはデュエルに夢中な決闘者ばかり。
「あれ・・・大樹?」
愛海VS冬子。その終焉も近くなってきた。『ブリザード・テンペスター』の登場によって、その幕は降ろされようとしていた。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・ブリザードテンペスター
水 Lv6
ATK 2500 DEF 200
【魔法使い族・シンクロ/効果】
水属性チューナー+チューナー以外の水属性モンスター一体以上
手札を一枚捨てて発動する。罠カードの発動を無効にし、そのカードをデッキの一番下に戻す。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
「ま、また罠カードの発動を無効にするカード・・・」
「まだ私の手札は2枚ある。このターンで終わらせてあげるのはこっちですわ。いきますよ!」
「何言ってんのよ!そいつの攻撃力でうちのライフ0にできると思ってんの!?」
愛海は恐れずに冬子を指摘する。確かに、『ブリザード・テンペスター』の攻撃力では、今愛海のフィールド上に存在するどのモンスターを攻撃してもライフは0にならない。
「ふっ。モンスター同士の戦闘を避けた戦い方をするあなたはこういうカード、使ったことないのかもね。装備魔法発動!『ジャンク・アタック』」
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
・ジャンク・アタック
装備魔法
装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地に送ったとき、
破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
「なんですって!」
「『ジャンク・アタック』を装備した『ブリザード・テンペスター』でバグロスに攻撃!ブリザード・ジャンク・ストーム!」
バグロスの攻撃力は1700。テンペスターの攻撃力は2700。差は1000だが、さらに『ジャンク・アタック』の効果で1700の半分、850ダメージが追加される。合計1850!
「バグロス撃破ー!」
「きゃぁあーー」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・プレイヤー情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
愛海 LP:0
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・プレイヤー情報*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
「おおおーーーー」
観衆が盛り上がる。女2人による壮絶な死闘は、氷結の息吹によって幕を閉じた・・・。
「くっそ!覚えてろ」
愛海はデュエルが終わってすぐ、グローブを司会者に投げつけてステージを去って行った。冬子はそれを静かな笑みと共に見送ると、グローブを元あった場所におき、ステージを降りた。愛海には仲間が居たらしく、会場の隅でその後も騒ぎを続けていた。