June 27, 2024より,全訳を記します.さて,本日(7月1日)でブログ開設4年目に入りますクラッカー;これからも細々かもしれませんが,続けられたらと思っていますひらめき電球

 

Postherpetic Abdominal PseudoherniaN Engl J Med 2024;390:2308

帯状疱疹後の腹部仮性ヘルニア

 

症例は78歳の男性で,5日前からの便秘と側腹部の膨隆を主訴にプライマリケアクリニックを受診されました.受診の8日前,左側腹部の帯状疱疹の診断を下されており,バラシクロビルの服用を開始していました.身体診察では,T12のデルマトームに沿ってかさぶた状の帯状疱疹病変が見られました.また,左下腹壁に膨隆が見られ,腫瘤や筋膜欠損の併存はありませんでした.腹部CTでは左下腹壁の突出がありました.左腹直筋の筋電図検査では限局性軸索性ニューロパチーが明らかになりました.帯状疱疹後の腹部仮性ヘルニアと診断されました.帯状疱疹の患者では,ウィルスが感覚性後根神経節の典型的な場所から腹側根の運動軸索に広がると運動性の合併症が生じることがあります.腹部仮性ヘルニアは罹患したデルマトームの腹壁筋の麻痺から生じる運動性合併症の一つです.帯状疱疹後の内臓性ニューロパチーもまた報告されており,本症例の便秘の原因と考えられました.この病態の予後は良好であることが再度確認されました.5ヶ月後,患者の皮膚変化や便秘,仮性ヘルニアは和らいでいました.

 

Ocular Bee StingN Engl J Med 2024;390:e64

目の蜂刺症

 

症例は55歳の男性で,2日前に右目を蜂に刺された後,右目の視力の悪化と痛みを主訴に眼科クリニックを受診されました.蜂に刺された当日,その針は地元の救急外来で除去されていました.初診時の身体検査では,右目の視力は指を数える程度のものでした.右目の眼圧は16mmHg(基準値:12-21)でした.フルオレセイン色素,つまり上皮欠損を黄緑色に染めるものによって細隙灯検査が行われました.結膜充血や下角膜浮腫,鼻孔縁の浸潤を認め,針が残っていました.埋没した針による虹彩外傷と虹彩血管の出血によると思われる前房出血も観察されました.ジュエラー鉗子を用いて残った針が除去されました.目の蜂刺症は,目に針が残っている可能性だけでなく,傷害から生じる重度の炎症のため,眼科医に紹介することが必要です.局所的な抗菌薬とプレドニゾロンの点眼薬が処方されました.5ヶ月後のフォローアップで,右目の視力は20/25まで改善していました.