May 9, 2024より,全訳を記します.1例目は聖隷横浜病院の青木海斗先生らの報告です.

 

Polyarteritis NodosaN Engl J Med 2024;390:1711

結節性多発動脈炎

 

症例は62歳の男性で,1ヶ月前からの左右の大腿前面と下腿後面の筋肉痛及び筋力低下,10kgの体重減少を主訴に受診されました.身体診察では,大腿前面と下腿後面のしびれが認められましたが,皮膚の変化や腹部の圧痛はありませんでした.血液検査では炎症性マーカーの上昇が見られました.胸部や腹部,骨盤のCT所見に異常はありませんでした.ANCAやB型肝炎ウィルスの検査は陰性でした.結節性多発動脈炎が懸念され,腹部血管造影が行われ,腹腔動脈や下腸間膜動脈,腎動脈の軸で動脈瘤および血管壁の不整が明らかになりました.経口グルココルチコイドとシクロフォスファミドによる治療が開始されました.10日後,腸の穿孔が生じました.切除された横行結腸の病理組織学的検査で,中型動脈の壁に好中球浸潤とフィブリノイド壊死が見られたほか,内弾性板の断裂がありました.結節性多発動脈炎の最終診断がなされました.術後の入院経過が長引くなか,腹腔内膿瘍は治療され,免疫抑制療法が調整されました.初診から5か月後のフォローアップにおいて,血管造影で血管の変化は消失していることが分かりました.

Lymphatic FilariasisN Engl J Med 2024;390:e43

リンパ系フィラリア