January 11, 2024より,全訳を記します.

 

Papular-Purpuric "Gloves and Socks" Syndrome in Parvovirus B19 InfectionN Engl J Med 2024;390:165

パルボウィルスB19感染における紫色の丘疹による「グローブ・ソックス」症候群

 

症例は26歳の男性で,1週間前からの手や足の無症候性の発疹を主訴に,皮膚科クリニックを受診されました.彼はまた,受診する6日前に良くなった発熱も申告しましたが,関節痛や口腔内病変はないとのことでした.身体診察で,散在性の,部分的な枝分かれ状の斑が手首や足首周囲にあり,融合して手や足の腹側および背側で紅斑状の斑(まだら)になっていました.頬や他の部位に皮膚変化は観察されませんでした.パルボウィルスの血清B19 IgM抗体検査やPCR検査は陽性でした.パルボウィルスB19感染における紫色の丘疹による「グローブ・ソックス」症候群の診断がなされました.パルボウィルスB19感染に関連した典型的な発疹は,顔面の「平手打ちされた頬」パターンですが,その他の発疹分布も見られることがあります.紫色の丘疹による「グローブ・ソックス」症候群で見られる末端の発疹は,思春期や成人で最も多く発現します.この症候群の名称に関わらず,皮膚病変は点状出血であったり,斑点であったりします.本患者はウィルス性感染は自然に良くなるものであることを説明され,安心されました.1週間後,発疹は和らいでいました

 

Vocal-Cord Polyp Causing Airway ObstuctionN Engl J Med 2024;390:e4

気道閉塞を起こす声帯ポリープ

 

症例は69歳の男性で,2週間前からの進行する,間欠的な呼吸困難を主訴に救急外来を受診され,その症状は横になると悪化しました.彼はまた,2年前からの嗄声と30-pack-yearの喫煙歴を申告されました.彼は騒がしい会社で働いており,同僚とのコミュニケーションでしばしば大声を出していました.身体診察では吸気時の呼吸音は正常でしたが,呼気時にwheezeが首より上で聴取されました.上気道閉塞の懸念があり,頸部のX線検査やCTが行われたところ,両検査で部分的な上気道閉塞を引き起こす腫瘤が明らかになりました.続いて気管支鏡検査が行われ,大きな声帯ポリープが呼気中,ボールバルブ式に間欠的な気道閉塞を起こしていることが分かりました.声帯ポリープは嗄声を起こすことが多いです.そのようなポリープは慢性的な声帯の刺激で起こり,喫煙や逆流,大声などが原因となります.気管支鏡的なポリープ切除直後,患者の呼吸困難は治りました.病変の組織病理学的検査で,良性の声帯ポリープであることが分かりました.1ヶ月後のフォローアップで,声は正常に戻っていました.禁煙や大声を避けるよう,指導を受けました.