「ダンケルク」 | 楕円球空間

「ダンケルク」

レイトショーで観てきた。

 

観客は7,8人でほぼ貸し切り。これが好き。オペラも1人で観たいくらいなので(疑似ルードヴィッヒ2世状態)。

 

冒頭からものすごい緊迫感で、一気に引き込まれる。ドイツ側の視点は一切なく、ひたすらに追い詰められたイギリス軍兵士とイギリス人の視点で描いている。途中まで気づかなかったが、ずっと時計の針の「カチコチ」という音がBGMに混ざっているんだね。それが止まった瞬間の開放感は格別だった。

 

観ながら感じたのは画の綺麗さ。6月上旬の出来事なのでヨーロッパは一番日が長く、明るい時期。大空に上がれば空の青と海の青がただひたすらに美しい。その中で血を血で洗う死闘を演じる無意味さと虚無感はこれまた凄まじい。画の美しさは、どうやらクリストファー・ノーラン監督がデジタルを使わないかららしい(ということはフィルム?)。美と醜、明と暗、生と死、のコントラストがとっても印象に残る。

 

有名な人がこれ見よがしに出るわけじゃないのも、またよし、で佳作だった。◎。