最近読んだ本
「片手の郵便配達人」(グートルン・パウゼヴァンク)
作者は90歳近いのだそうで、第二次大戦の生き残り世代。本で書かれるのはチューリンゲンくらいの架空の村で、そこの出身の若者が徴兵されてすぐに負傷して左手を失い、故郷に戻って元の郵便配達人を続け、その中でじわじわのにじみ出る戦争の狂気、という世界。風景描写は微に入り細に入り、でドイツの厳しい(暗い)冬や爽やかで色鮮やかな春が活写されている。実に見事。そんな変わりない自然の姿と対照的に人間世界にはナチスの影がそこかしこに現れ、みんな少しづつ狂っているか自分を殺しているか・・・。真綿で首をしめられるような重苦しさが溢れている本だった。ラストは不条理で衝撃的でもある。実はラストへの伏線で1箇所だけ不満があり、 そういう意味で納得の読後感ではないのだけれど、日本の過去と近未来の姿でもあるような気がして、あっさり放り出せない本であることは間違いない。
「我が遍歴の山河」(東山魁夷)
画家の魁夷が描く風景描写はやはり出色で、そこに風景が立ち上がるようだ。ドイツ留学中の心温まる、同時にやはりじわじわと重苦しさがやってくるエピソードや、家族の死、自分自身がなかなか画家として独り立ちできない焦り、などページから匂い立ってくるものが多い佳作。魁夷は本当に文章がうまく、どの本も彼独特の文の雰囲気になっていて読後感が非常によい。この本も終わり方が秀逸だった。また別の本も読みたい。
ほかにもあるので、また近々。
作者は90歳近いのだそうで、第二次大戦の生き残り世代。本で書かれるのはチューリンゲンくらいの架空の村で、そこの出身の若者が徴兵されてすぐに負傷して左手を失い、故郷に戻って元の郵便配達人を続け、その中でじわじわのにじみ出る戦争の狂気、という世界。風景描写は微に入り細に入り、でドイツの厳しい(暗い)冬や爽やかで色鮮やかな春が活写されている。実に見事。そんな変わりない自然の姿と対照的に人間世界にはナチスの影がそこかしこに現れ、みんな少しづつ狂っているか自分を殺しているか・・・。真綿で首をしめられるような重苦しさが溢れている本だった。ラストは不条理で衝撃的でもある。実はラストへの伏線で1箇所だけ不満があり、 そういう意味で納得の読後感ではないのだけれど、日本の過去と近未来の姿でもあるような気がして、あっさり放り出せない本であることは間違いない。
「我が遍歴の山河」(東山魁夷)
画家の魁夷が描く風景描写はやはり出色で、そこに風景が立ち上がるようだ。ドイツ留学中の心温まる、同時にやはりじわじわと重苦しさがやってくるエピソードや、家族の死、自分自身がなかなか画家として独り立ちできない焦り、などページから匂い立ってくるものが多い佳作。魁夷は本当に文章がうまく、どの本も彼独特の文の雰囲気になっていて読後感が非常によい。この本も終わり方が秀逸だった。また別の本も読みたい。
ほかにもあるので、また近々。