移動の友
それは本。
今回は夜も呑みにいかなかったのではかどった。
1.「アイヒマン調書」(ヨッヘン・フォン・ラング)
アーレントの名著「イェルサレムのアイヒマン」に絡めて読んでみた。イスラエル警察大尉のレス氏がアイヒマンの尋問をした記録。読後感としては、①アイヒマンは確かに悪魔的怪物ではない、②その一方、残虐さに対する感覚がゼロに等しくその意味ではやや特殊な存在ではある、さらに想像力がないかもしくは思考する力が驚くほどない、③「自己弁護はしない」といいつつ、実際はいかに自分の責任は小さかったか(自分はただ命令を忠実に実行しただけ)をひたすらに自己弁護の道具にしていて不快、というところ。アーレントが指摘したように誰しもが彼になる危険性がある、とまでは感じなかったが(そのへんが「やや特殊」と思った理由)、周囲にこういうタイプの人間がある程度の割合で存在することも事実。自分の人生振り返っても、アイヒマン型の人間はいた。一定以上の大きさの組織には必ず1人は存在する、と断言できる。
全般的になかなかの傑作で出版&翻訳する意義ある一冊。
2.「レストランで最高のもてなしを受けるための50のレッスン」(フランソワ・シモン)
ありきたりのグルメ評論に辟易している人にお勧め。相当に辛口、かつ表現豊かな評論家である著者のアイロニーとユーモアと毒舌があふれるなかなかの好著ではないか、と。批判1つにとっても、いかにどうダメなのかをギリシャ悲劇のような(?)豊かな表現で丁寧に(ネチコク)描写してくれる。相当に溜飲を下げられる傑作かも。