ハーゲン・カルテットを聴く
怒涛の会議が終わり、G氏はドイツへ帰国。12月の再会を約して楽しい邂逅は終了。翌日の東京での講演を自分は終えて週末はハーゲンQを聴く。
ハーゲンQとしては2回目(1回目は10年前にザルツブルグでモーツァルトプロだった)、チェロのクレメンスのソロ演奏会も一度行ったので都合3回目?今回はベートーベンの「セリオーソ」と14番、それにドビュッシー。ドビュッシーは1楽章のみだが20年前に演奏会で弾いた。2楽章と3楽章は遊びであわせたが、とにかく和音が難しくて合っているように聴こえない(苦笑)。14番は社会人になってから知り合いのメンバーでなんどか通してみたことがある。セリオーソは自学自習した。ということで楽譜がある程度頭に入った状態で鑑賞。
セリオーソは、特に1楽章は暖機運転という感じもあったが、2楽章あたりからぐっと集中も高まり、ハーゲンらしいnon vib奏法も随所に取り混ぜながらの好演。特に4楽章のコーダはワクワク感に溢れた演奏。次のドビュッシーが演奏会のハイライトと言っても過言ではない稀に見る名演で、特に3楽章の美しさは正に天国的。ビオラのヴェロニカとチェロのクレメンスが飛びぬけて美音かつ技術的に傑出しており、そこに2nd Vnがうまく調和をとって入り込み、1stのルーカスが割に自由に演奏する、というスタイルで、聴衆が安心して演奏に身をゆだねることのできる名演だった。
休憩後の14番は、これまで聴いたアルバンベルクも東京Qも(長く集中力を必要とする曲だけに)途中でどこか破綻しかかるところがあったのだが、最後まで安定した、出し入れ自在の演奏。難しい数学の証明問題をいろいろと解法を変えながら解説していくような感じで、ゴールを見失うことなく、過度に派手な演奏になることもなく、演奏を堪能できた。
全体に非常に知的で上品で技術を誇示することもない、上質な芸術を堪能できる演奏会だった。なかなかこういう演奏会はないのだが、次回の来日が本当に楽しみになる演奏会。これで6000円というのは信じられない良心的な設定。