第二夜
前半のハイライト「ワルキューレ」。客席も熱気に包まれていました。1幕はジークムント役のC.F.Vogtがすばらしく、可憐なジークリンデ、長身で舞台栄えのするフンディングと丁々発止のやりとりであっという間に進みます。Vogtは発声がちょっと変わっていてまるで話しているかのような歌い方。非常に聞きやすく外人にはありがたい。さらに非常に端正で上品な歌唱で、これはローエングリンとか似合うだろうなぁというところ。緊迫した展開のまま、なんだかあっという間に終わってしまった印象でしたが、とにかく客席は盛り上がる!場内が明るくなりオケが休憩に引っ込んでも拍手が鳴り止まずもう一度引っ張り出されていました。
ただ、2幕になると主にオケ(指揮)のせいですが、この緊張感が失われます。ワルキューレの場合1幕と2幕はギリギリまでテンポを上げて崩壊寸前のアンサンブルで突っ走ったほうがストーリーに合致していいと思うのですが、Prickの指揮は相変わらずテンポを抑え気味で体感テンポとしては求めている半分くらい・・・。オケもテンポが遅すぎるせいか音と音の間にすき間が出始めどうにも緊張感が続かない。おまけにジークムントにブリュンヒルデが死の宣告をしに現れるところのTrpのドソロを(たぶん)間違った(半音間違ったように聴こえた、2回目のパターンと間違った?こちらの記憶違いかもしれませんが)とか、音の出がそろわないとかチェロの音程がバラけてきた、とか細かいところが気になりだします・・・。客席もややダレ気味で幕間の拍手もイマイチ盛り上がらない・・・。
3幕頭も相変わらずのノッタリとしたテンポで、演出の酷さともあいまってヤレヤレという空気(失笑もこぼれるような演出)で始まったのですが、ヴォータンとブリュンヒルデの対話のあたりから逆にじっくり聴かせる感じになりどんどん引き込まれました。分かっていても(そして実は皆さんほどこの終幕の場面が好きではないとはいえ)、最後の和解の場面では感動してしまった。終わりよければすべて良し、というところでしょうか。カーテンコールで一番評価されたのがVogtとLinn(ヴォータン、とにかく最後は圧巻ですばらしかった。2004年に東京でヨカナーンを演ったらしい)。まぁそうでしょう。
で、2晩見終わって演奏も歌手も満足できる(この値段だし。1晩、6000円弱。休日のよい娯楽ですね)のですが、とにかく飛びぬけて酷いのが演出だ、と結論。過去のオペラを通じても最悪の部類。無駄が多いしチープだし意味のない読み替えがあるし伏線か、と思って期待したところはそのまんまだし、どうしようもない。この演出で中国でのチクルス(日本以外のアジアでは初めてのチクルスだそうです。微妙な「初」)をやったそうですが、中国人も甘く見られたものだ、という感じ(笑い)。
ともかくあと2晩。周囲の人とも顔なじみになり、ドイツで初めの「真性クラオタ」も発見し、いろいろと楽しんでいます。