みなさん、こんにちは!

今日は、今の愛車を手に入れた時のお話です。

中年夫婦の気持ち悪い話ですから、興味の無い方はスルーしてくださいね。

 

当時、なけなしのへそくりで買った中古のバイクに乗っていた私。

どうしても、リッターバイクが欲しくなりました。

気になっていたのはBMWのフラットツイン。

他のメーカーには無い、このエンジンに憧れたのです。

どんな乗り味なんだろう? 

考えれば考えるほど、思いは募るばかり。

 

 

 

しかし、当時の我が家の台所事情は、住宅ローンと2人の子供の養育費で精いっぱい。

とても、何百万もするバイクを買ってくれなんて言えません。

諦めがつかないまま、気が付けば半年も悩んでいる始末。

とうとう仕事も手につかなくなった頃・・・・

 

もういい! いっそのこと、テルちゃん(女房)に言ってしまおう!

そうとも、あいつは現実派だから、きっと呆れて怒り出すだろう。

でもそれでいい。

思いっきり冷や水ぶっかけられりゃ、のぼせ上がった俺の頭もちょっとは冷めるってもんだ。

そうすりゃ、きっぱり諦めもつく。

 

次の日、部屋に正座してテルちゃんの帰りを待ちました。

 

 

「話があるから、ちょっとそこに座ってくれ。」

 

私を見て、ギョッとするテルちゃん。

何かを察知したのか、立ったまま聞くからと座らない。

どうせ怒られるんだから、あいつは立ったままでいいか。

そう思い、話を切り出しました。

そして全部言い終わると、そっと頭を下げました。

 

さぁ来い! 俺の頭に思いっきり冷や水ぶっかけろ!

 

ところが、予想に反して彼女は静かに話し始めました。

 

「いつか言い出すんじゃないかと思ってたんだよね・・・

あんた、この家建てた時、なんて言ったか憶えてる?

大事にしてたバイク売って、こんな子供のオモチャはもう卒業だ!って言ったよね?

そして、これからはこの家でみんなで幸せに暮らすんだ!って言ったよね?」

 

・・・言った

この責め方はキツイなぁ と思った次の瞬間。

 

「あの時、私がどれほど嬉しかったかわかる?

バイク馬鹿のくせに、相当やせ我慢したでしょ? 

私はね、家族の為なんて言いながら、抜け殻みたいに生きてる男と暮らすつもりはないの。

好きなことやって、生き生きしてる魅力的な男と暮らしたいの。

あんたのへそくりでやりくりできるうちは、それでいいのよ。

でもね、もっと大きなバイクが欲しくなった時、どうするつもりなんだろうと思ってたのよ。」

 

「だからね、あの日からバイク貯金してあるから。」

 

えっ? 

 

予想外の展開に頭がついていかない私。

そして、仁王立ちになったテルちゃんは、一世一代の啖呵を切ったのです。

 

いいかい、そのかわり言っとくよ!

仮にも、いい歳した大の男が趣味で乗るんだ。

もう、下手なもん買ってくるんじゃないよ!

金に糸目は付けないから、一番いいやつ買っといでぇー!

 

あっけにとられて見上げたテルちゃんは、笑っていた。

 

 

・・・天使だ!

俺は知らず知らずのうちに天使と暮らしていた。

こんなこと生身の人間にできる所業じゃない。

きっとテルちゃんは、神様が私の為に地上に下ろした天使なんだ。

 

 

 

その日から、私の生活は一変しました。

 

「ねぇ、燃えるゴミ出しといてくれる?」

 

「はい! よろこんで!」

 

すべての返事は、これになりました。

だって天使の言葉は、すなわち神の言葉なんですよ。

 

天空に舞い上がれば、素敵な天使の姿をしているであろうテルちゃん。

ただ、今は地上にいるので世間の目を欺くため、小太りのおばさんの姿をしています。

 

ホントは、天使なんですよ(笑)

 

ともあれ、こうして私は憧れのバイクを手に入れられたというわけです。

なんせ、神様にもらったと言っても過言ではないバイク。

腐らせないように乗り続けるのが、私の使命。

もちろん、神のご加護があるので転ぶわけがありません!

(実は2回コケた)

 

さて、このお話の最後は、あの名セリフで締めますよ。

 

 

信じるか信じないかは、あなた次第です!(笑)