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日銀の為替介入は成功するか その④

この状況に対し、

日本としてはなすすべがないのが実情なのですが、

またまたこういう時におバカ経済学者が的外れな指摘をしています。

 

今回は公然の事実なので名前を出してディスります。

 

 

その方は知ってる人は良く知っている超おバカ御用学者の高橋洋一氏。

安倍政権時代に重用された御用学者の一人ですね。

 

 

彼の主張は要約すると次のようなもの。

「円安は日本にとって有利。

 なぜなら、円高の時に大量にアメリカの債権(国債)を買っているので、

 今巨額の含み益を持っている。

 現在でその含み益は約40兆円。

 これを売れば巨額の売買益が得られる。」

 

 

これを聞くと、素人は

「それはすごい!ぜひ今売るか、もっと円安になった時に売ろう」

と思ってしまいますよね。

 

同様に考えているのが、

国民民主党の玉木代表。

 

「今年のたとえば1月から今にいたって、だいたいドルの価値は3割ぐらい上がっていますから。110円ぐらいが140円ぐらいになっているわけでしょ。ざっと言って少なくとも30兆円ぐらいはすぐ出る。われわれが言っている23兆円の(緊急経済対策をしても)お釣りが出るくらい」

と発言されています。

 

 

バカはまたこんなたわごとに騙されるのでしょうね。

 

 

実は、

これと全く同じことを10数年前、

同じおバカ経済評論家の勝間和代さんがテレビ番組でおっしゃっていました。

 

「日本は多額の借金を抱えていると言われるが、大量の米国債も持っている。

 これらを売れば、日本の借金は大きく減るし、消費税を増税する必要もなくなる」

 

当時私はこのテレビを観て、

「お前はアホか」

とつぶやきました。

そもそも日本の借金ってなんやねん!というツッコミもあるのですが、

それは今回さておき、

テレビに出ている自称経済評論家なんてしょせんこの程度です。

 

どこが間違っているかはあえて書きませんが、

ヒントを書きます。

 

 

橋本龍太郎元総理は消費税率を3%から5%に上げた総理。

彼は政府の借金が増え続ける状況を見て、

「日本が大量に持っている米国債を売りたい衝動に駆られる」

とポロっと言った後、

確か歯科医師会の献金疑惑や参院選の大敗等が原因で退陣しました。

 

彼の死因はいったい何だったのでしょう?

 

 

さて、

余計な事を書きましたが、

日本が米国債を売れないまたは売っても無駄な理由について「表の解説」をします。

 

今回日銀は3兆円弱のドル売り介入をしました。

ドル売りの原資は米国債売りを使えばまだまだいけるのですが、それを行うとどうなるか?

 

大量に米国債を売ると、米国債の価格は暴落します。

そうすると米国の長期金利が上昇します。

(なぜそうなるかの解説をすると長くなるので省きますが、そういうものだと思ってください)

 

 

米国の長期金利が上昇すると、

さらに日米の金利差が拡大するので、

市場では円が売られてドルが買われ、

結局円安に動きます。

 

 

つまり、

米国債売りによるドル売り介入は結局円安を止める効果が無いのです。

 

 

 

じゃあ日本は打つ手なしなのか?

 

ジョージ=ソロスさんを接待して円安を止めるよう頼んでみる?

 

 

つづく

日銀の為替介入は成功するか? その③

アメリカの為替動向の歴史は

「戦争の歴史」

とも言えます。

 

アメリカは建国以来そのほとんどの期間世界のどこかで戦争をしています。

 

 

よく言われるのが、

「アメリカは武器を売る為と石油を奪う為に戦争を起こす」

という事です。

 

それはその通りだと思うのですが、

私はもう一つ、

「為替で儲けるために戦争を起こしている」

という側面もあるのではないかと思うのです。

 

私以外にこの様な意見を言っているのを聞いた事が無いので、

これは私の思い過ごしかもしれませんが、

「有事のドル」

と言われるだけあって、

為替操作に非常に有効なのが戦争です。

 

前回書いたように、

為替相場は株式市場ほどボラリティーは高くないのですが、

その取引規模は比べものにならない程巨額です。

 

巨額の資金を動かす場合、

株式市場よりも為替市場の方が向いています。

そういう意味では為替市場はよりプロ向きと言えるでしょう。

 

 

さて、日本の立場から為替を見えると、

全く先が読めないのですが、

アメリカの状況を研究すると、

為替市場の動向が見えてきます。

 

 

現在の為替動向をアメリカ視点で分析してみます。

円ドル相場はこの数年間ほとんど動きませんでした。

 

この状態は為替トレーダーにとって最も好ましくない状況です。

仕事になりませんから。

 

一方でコロナを経てもなおアメリカの株式市場は見事な右肩上がり。

日本市場にとってはうらやましい限りでした。

 

アメリカ経済はかなりの長期間絶好調で、

為替は動かない。

 

この状況を変えるのにいくつかの段階を踏みました。

 

 

まずはコロナ。

これでアメリカ政府は大規模な金融緩和を行い、

ドルが大量に供給されました。

 

日銀の黒田総裁が日本の金融緩和を

「異次元の金融緩和」

とよく言っていましたが、

その数倍の規模の金融緩和をアメリカは一瞬で行ったのです。

 

普通ならこれでドルが暴落するはずなのですが、

ドルの価値は変わらず株式市場は絶好調になりました。

 

 

次に来たのがウクライナ戦争。

私は日本の有識者のほぼ全ての人がロシアはウクライナに侵攻しないと言っていた時から、

「ロシアは絶対にウクライナに侵攻する」

と断言していました。

 

その為、

ウクライナ侵攻前に、

ここ数年のトレンドであった

「有事の円買い」

の法則に従って、

ほんの少し持っていたドルを売ってしまいました。

 

実際ウクライナ侵攻が始まると、

それまでの常識とは逆に数年ぶりに円安が始まりました。

 

 

これは私にとっては大きなショックで、

この時に私は、

「日本の未来は絶望的」

と確信しました。

 

 

時を同じくして、

コロナの影響により世界的な物資不足による物価の高騰が始まりました。

 

アメリカでは絶好調の経済と物資不足により年率8%程度の強烈なインフレになり、ついにFRBは金融引き締めに舵を切りました。

(強烈なインフレと言っても、プラザ合意前のアメリカでは何と年率20%ものインフレでした)

 

 

その結果、

アメリカの政策金利は毎月0.5%~0.75%も上昇し続けています。

そして、日米の金利差は大きく膨らみ、

今回の急激な円安ドル高になっているのです。

 

もちろん世界各国の通貨が対ドルで下落しているのですが、

中でも円の下落ペースは群を抜いています。

 

また、アメリカの金利上昇の影響で、

長年上昇し続けてきたアメリカの株式市場もついに下落トレンドに入りました。

この下落ペースは世界恐慌並みです。

 

 

つづく

日銀の為替介入は成功するか? その②

今回は、日銀が24年も為替介入をしなかった理由のその②、

「アメリカが許してくれないから」

について説明します。

 

 

今回の話こそが最も本質的な話ですので、

これを書くことは私個人に大きなリスクがありますので、

多少のぼかしを入れて書きます。

 

 

日本の高度成長期、

なぜ日本は「アジアの奇跡」と呼ばれるほどの成長を遂げたのでしょう?

 

根本的には日本人の勤勉な国民性というのが考えられますが、

それならばなぜその勤勉な日本人が、

今では落ちぶれ果てているのかの説明がつきません。

 

なぜ日本に高度成長期があったのかという要素は色々ありますが、

その大きな一つは

「為替」

です。

 

 

太平洋戦争敗戦直後、

日本の円は無価値でした。

 

国民は国からの配給が中心で、

「闇市」に代表される様に、

正常なマーケットは存在せず、

基本的に物々交換の時代でした。

 

しかし、

それでは資本主義のシステムが機能しないので、

アメリカは一応日本円と米ドルの交換レートを設定しました。

 

そのレートが1ドル360円。

 

なぜ1ドルが360円に決まったのか?

それは、

「円の内周が360度だから」

という嘘の様なホントの話。

 

そもその何の価値もない円に、

価値を設定する根拠などあるはずもなく、

「今後はこれで行きますねー」

という決め事。

 

余談ですが、

昔の貨幣の概念がないアフリカのある部族に、

ユダヤ人が貨幣の概念を持ち込んで、

後に植民地にしていった。

その人たちが、

今も世界を支配しているとかいないとか。。。

 

さて、

戦後日本では、

適当に決めた為替レートで、

円がドルにリンクする貨幣になり、

貨幣経済が復活しました。

 

その後日本は急速に復興し、

自国で生産した商品を輸出できるほどまでになりました。

 

豊かな国アメリカと貧しい国日本。

1ドル360円と適当に決めたレートが威力を発揮し始めます。

 

アメリカで1ドルで売っている商品が、

日本では200円で買える。

となると、

メイドインアメリカの1ドルの商品よりも、

メイドインジャパンの200円の商品の方が圧倒的に安いので売れますね。

 

それが続くと、

アメリカ国民から不満の声が溢れました。

「日本の安い商品のせいで、アメリカの商品が売れない」。

 

慌てたアメリカは、

1ドル360円というレートを見直すことにしました。

 

その結果決まったのが1ドル240円。

 

これにより、

円は対ドルに対して一気に1/3も価値が上昇し、

これにより米国民の不満が収まると思われたのですが・・・。

 

 

つづく