俳句ポスト365兼題「野分」投句結果 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

「野分」と「颱風」はおなじでしょうか。おなじではありません。「台風」は身近で恐ろしいです。ひがいをもたらします。 しかし「野分」は他人事なので風流で上品です。「風が七三に吹きわける」という句がいくつかありましたが、このように印象が牧歌的で「川が流れて花が咲く」的です。「ランラララン」的です。つまり、「颱風」はあらあら過ぎるから季語にはふさわしくない。そう思います。

●水を撃つ軍艦島の野分かな       「人」位選

●吹き消して別れ話を野分去る
今の今まで言い争っていた夫婦はそれどころじゃなくなったみたい。南側の雨戸10枚を、外と内の両側を物干し棹で挟み荒縄で固定する。父は目をあけていられない吹き降りのそとへ飛び出していく。となりの豆腐屋の板葺きの屋根から板が飛行機からビラを撒くみたいに剥がれて吹き飛んでいる。水はもう腰まで来たと父が怒鳴る。駅には避難してきた牛や馬数十頭が不安な声を上げる。水かさは徐々に深くなっていく。道路はすでに川となって流れがつよく速い。

●暗闇を見詰む野分の揺り返し
ギシギシと板壁。あっ、雨樋が…。はずれて溜まっていた雨水が詰まった枯葉を押し流す。はずれた樋が風のたびに頭を窓ガラスに打ちつける。もうだめだ。危険だ。風呂場が一番安全だ。親子三人いそいで風呂場に。外を消防団の人が声をかけて通る。

●一鳴キ 野分のすきま土間のすみ
朽ちた板仕切りのあいだから小動物が避難侵入しているらしい、家族を引き連れて。台風が去ってもそこに居ていいんだよ。ちょっと待ってね、ふかしたお芋が冷めるまで。

○野分尽く山家に海の香を残し
●野分逝く山家に海の香を擱きて
○野分逝く山家に海の香をこぼし
みっつ作って黒丸を出しました。

●背中の子にはかに重し野分過       「人」位選
ぐずついていた坊主が寝入ったようです。さ、雨戸のカンヌキをはずしてバケツを片付けて杉板の隙間に挟んでおいた雑巾をはずして・・・やらなきゃならないことがいっぱい。

●来るとき野分Go!といひ去るときも
風は雄たけびをあげてきます。それがこどもには怖いのです。

●野分かな天気図の雲的矢たつ
的矢(まとや):的屋(矢場)の看板によく見ましたよね。そういえば、このごろ見かけませんね
天気図の風の方向・強度を示す記号として気象庁で制定されています。あ、これも見かけませんね。どうしたんだろう。