俳句ポスト365兼題〈稗(ひえ)〉の自句自解 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

第201回俳句ポスト365兼題「稗(ひえ)」に出句17句。
参考にもなりませんが、まあ、「稗倉」ならぬ「稗小屋」を覗いてやってください。

●どれが稗飛び出ている奴稲のうへ
凡人の発想。

●稲に稗ぬけば草引く稗畑
稗抜きの手伝いに駆り出されましたが稲と稗の区別がつきませんでした。稗は稲の憎き雑草でした。そのしぶとさが人を救うのですが…
稲圃ではヒエを抜くのに稗畑ではヒエを大事にする、これっておかしくない?の意。理屈っぽいといわれればリクツっぽいですね。リクツっぽいのは、「説明」だから×。俳句は「感性」。ギョイ!

●稗畑とろろのやうな雲のした      「人」位選
「麦とろろ」「稗とろろ」を食わせるミセが渋谷にありましたが…なにしろ50年前のハナシで…ウロが失業中で職安に通いながら自動車免許を取ったころのことで…

●稗粥のまへに稗酒マタギたり      「人」位選
「マタギ」は昔、三浦さんの小説でよみましたよね? 東京・池袋西口に三浦さんの文芸坐と乾物屋がありましたが…なにしろ50年前のハナシで…いまもマタギは居るのでしょうか?

●稗の穂や昔になりし新嘗祭
神事に使われる「ひえ」がだいじにされたのはこのころまでで、いまは宮中の祭りのときぐらいかな?

●稗団子嫁御に膳羞せんと嫁
 嫁御:鼠のこと。ネズミは賢い動物で、人間のコトバを解し、「ネズミ」というコトバを聞くと警戒するといわれており、ネズミを指していう隠語。 
稗団子は、人間は食べない。もっぱら「ネコイラズ」入りでネズミ駆除用。
膳羞(ぜんしゅう)する:ご馳走する・料理をすすめる。ちょっと気張った言いかた。弊衣破帽の当時の書生が盛んに口にしていました。ドラマ〈世界の片隅で〉に出ていてもオカシクない台詞ですが。

●梁上に稗を押し上ぐ舟の横
 梁上(りょうじょう):飢饉に備えて稗を蓄える焚火の上。
天井裏には、非常用の食糧と舟がありました。舟は大水の時逃げだすためのものですが報道で見ると今は無いようですね。ついでに「風の中の羽根のように」を思い出しませんかね。

●稗殿の鎮まるかをり穀倉院
穀倉院:平安時代、京都にあった朝廷の穀物倉庫。畿内諸国の調銭や、無主の位田・職田(しきでん)・没官(もっかん)田などの米穀を納めておいて、年間の供応の食料、貧民救済、学問料に充てた。

●稗畑の稗の熟るらし稗さやぐ

●股稗いつしか稲の過去にて昏く立つ

●稗はいつもつんつんしてて姉のよう
口語俳句。色気づいた小娘って、なんがなし、弟に威張るんですよね。

●稗の種籾に手をつけしあり痩(こ)けしあり
「たねもみ」に手をつけるほどの大飢饉、これは恐ろしいです。句にはなりません、ですねえ。

●冠水線の泥残るとも稗の立つ
●車軸くだるなほらひの稗泥の下
冠水線:大水が引いたあとも竹藪・垣・柱、かぶった水位の泥の線が生々しく残っています。被災者のかたがたの苦労は経験者しかわからないでしょう。自然の営みがこんなに憎かったことはありません。いちにちも早く立ち直って普段の生活に戻れることを祈ります。
なほらひ:直会。神祭が終わって神酒やおろしものを参会者が飲食する。新嘗祭など。

●しらしらと禾をふちどる月の稗
俳句らしい俳句をマジメに入れましたが、類想句多そう。

●稗にアブ愛をせまれど肯(がへん)ぜず
虻(あぶ):春の季語。鋭いノギに同類としての愛を感じたというメルヘンですが…

●鳴る稗だ共産主義は稗熟れる
「共産主義」は古いコトバで、いまは使われていません。今は「科学的社会主義」といいます。
「共産主義」というコトバを使ったことで「昭和」を偲べないかと思いました。

●稗は放たぬ矢羽根なびき揺れゐる風見
ヘタな漢詩調。「文語文法研究部」にコメントを出すのに急いで作った句。
頭のなかでは、ずっと、「風の中の羽根のように」が鳴っていたのですね。
句の意味は、つまり、…やっぱりやめとこう…



ブログ訪問できませんが、どうもウイルスにヤラレているようです。セキュリティが切れているのを放っておいた報いのようです。重なる警告を無視したのがいけなかったのかな。お気をつけ遊ばせ!

こんなところです。涼しくなりましたね。
ごきげんよろしう!