俳句ポスト兼題〈金盞花〉には、以下9句だしました。
●ここの墓造花じゃないよ金盞花
今回の投句では、皆さんの寄せられた情報に、「金盞花」は供花におおく使われる花という話があり、まったく知らなかったのでびっくりしました。
この句は偶然の本意に当たったことで意を強くしました。
墓を囲ったり(冬)、墓参りをしたり(秋)、墓を洗ったり(?)
すると季語なので句にするときは注意する必要があります。(「墓洗う」に付いては私の歳時記には無いのでわかりません)
●公主嶺陸軍官舎金盞花 「人」位選
「金盞花」は、漢語ですから中国の都市名をあしらってみました。「公主嶺」は王女の廟のある街で、そこの陸軍官舎は、ウロの生まれたところです。中国の年配者のなかには「纏足(てんそく)」の女性がみられた時代の話です。
●美容師のなり損なひや金盞花
床屋の店頭には赤青白のねじりん棒が立っていてくるくる回っていますが、美容院も共通の電飾看板を作ろうということで、こちらは「棒」でなくて「円板状」の渦巻きがくるくる回る意匠の看板があった・・・と思っていたのですが、見当たりません。美容院を経営している妻に聞いても全く見たことも聞いたこともないとのこと⁉
いまだに信じられないでいます。
金盞花? あ、これ・・・関係な…かったですね。オレ何考えていたんだろ…取り合わせ損ないや金盞花。
●大杉に野枝の二伸や金盞花
伊藤野枝→大杉栄1916-05-09書簡二伸にあるはなしです。
…そして、帰りに下のお寺に金盞花が綺麗に咲いてゐましたので、それを買つて来てさしてゐましたら、安成さんがゐらしたのです。
つまり、ラブレターの中に金盞花があった、というだけのことですが、ウロは、なにげない世間話を「二伸」のなかにそえられたことに、秘められた愛情の惻々たるを感じたのであります。
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月九日 二信) (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
●チラシみている妻を見ている金盞花
なんちゅうことはない風景であります。
●ピン札や祝儀袋や金盞花
「切れ字〈や〉」を重ねてみた試験句であります。
判者がなんちゅうか⁉ (なんとも言わなかった)
●はなやかに古銭が匂ふ金盞花 「人」位選
エミール・ゾラの「ムーレ神父のあやまち」という物語の第二部パラドゥーという隔離病院の庭の花々の描写の中に、様々な香りををもつ花が登場します。その中で嫌な香りの植物として「金盞花は腐臭」(ほかにケシの花が死臭など)と書かれています。
金盞花については、さすがに香りを詠んだ俳句が無いのも宜なるかなと思いました。
●きほひたつ磁力のままに金盞花
●気負ひ立つ自恃満々と金盞花
金盞花を見ていたら「気負い立つ」というコトバが立ち昇ってきました。2句作りましたが、なんだか生臭い句で、どうしようもなかったのでそのままだしました。いま見ても嫌味な句ですね。オーハズカシ。。。