こんな「連句」はいかがかな。
「連句」についてはこのブログにある小説《暮るる奥》(第六章 三蘖歌仙 3ページ)に詳しい。
三句で成就する最も短い連句を「三ツ物」というが、更にこの長句五・七・五、短句七・七、長句五・七・五の計四十八文字をいろは四十八文字で余さず残さずに構成する、名付けて「四十八鷹三ツ物」を試してみませんか。
習作は正岡子規の「発句」に、「脇」と「第三」を付けるという趣向です。これも或る種クイズゲームなので自分自身が取り組んではじめて面白さがわかるものです。シリーズ第五弾、では行きますよ。
夕立や並んでさわぐ馬の尻 子規
怯えゐぬ目もそっとみる愛 雨露
煙き炉辺顔を寄せねば楡こずゑ 雨露
よみ
発句 ゆふだちやならんでさわぐうまのしり
脇 おびえゐぬめもそっとみるあい
第三 けむきろべかほをよせねばにれこずゑ
いみ
発句 子規の剽軽。俳諧の諧謔性のキモともいえる作品ですね。日本人ならひとしく既視感のある構図じゃないでしょうか。浮世絵にありそうな。季は夏。
思いがけない驟雨で柵に結えられている馬たちが不安がって騒ぎ出した。
馬は感情を尻であらわすところがなんとも面白いことだ。
脇 博労の馬車馬に対する親子のような情愛の描写である。。
不安で怯えの残る目をそっと見詰めながら優しく鼻面を撫でてやっている親方の仕草はいかにも慈愛篭ったものだった。
第三 〝あお〟はその馬引きに顔を寄せようと思うが囲炉裏の煙がけむたくてどうもままならない様子。煙は飼い馬のいらいらした気持ちを忖度しながら紫苑の咲く垣根の脇に立っている楡の梢へと立ち昇ってゆく。「にれ」は「楡の木」と「にれうち噛む」(牛・羊などが反芻すること。またはおこって歯噛みすること)いらいらして歯がゆい様子の二重の意味である。
前句からの転じがないと思う向きには、恋に目覚めた女の子の恥じらいと解釈してもよい。
この三ツ物に兼題が無いのは寂しいので、
《めわらべしをんに》 紫苑似的娘。とします。