こんな「連句」はいかがかな。
「連句」についてはこのブログにある小説《暮るる奥》(第六章 三蘖歌仙 3ページ)に詳しい。
三句で成就する最も短い連句を「三ツ物」というが、更にこの長句五・七・五、短句七・七、長句五・七・五の計四十八文字をいろは四十八文字で余さず残さずに構成する、名付けて「四十八鷹三ツ物」を試してみませんか。
発句は子規。今回は、前回 子規のクローバ その4 のつづきです。
ではどうぞ。
萍や池の真中に生ひ初る 子規
モネ、絵たゆらを葦笛水辺 雨呂
露地霽れず蜻蛉ゐ寄りで吾子責めぬ 雨呂
よみ
発句 うきくさやいけのまなかにおひそむる
脇 もねゑたゆらをあしぶえみづべ
第三 ろぢはれずとんぼゐよりでわこせめぬ
いみ
発句 ウキクサは睡蓮・ハス・河骨・青萍・紫萍など池沼に繁茂する水草。季は夏。季語として「水草生ふ」「萍生ひ初む」となると季は春。
いままで寂びしかった池も水草が目立つようになってきた。ぬるむ水は小さないのちを育んでいる。春なんだなあ。
脇 モネの描く『睡蓮』で受けた。「たゆら」は、定まらない様子。ゆらゆら。
静かな睡蓮の水辺にどこからか葦笛が流れてくるようだ。なんとも穏やかな春の昼下がりを感じさせる絵だ。
第三 『ゐ寄る』は坐ったまま近寄る。にじり寄る。いざリ寄る。トンボが先に止まるさまを擬人法で表した。。
茶室に配された庭の傍らの生垣はいまにもトンボを寄せてくれそうな風情である。そうっと隠れて待つがこないので子は焦れてきた。が、自分のほうこそいらついて草いきれが鬱陶しくなっている。
というのが今回の三句満尾の俳諧です。あと二連を予定していますがなかなかです。 ――なかなか、なかなか。
兼題は兼題でひとつの連枝相整いまするよう、と趣向しています。
水面がゆらゆらしている姿から、
そよかぜすゑひろ 吹来好微風。