その日、何かが起こる予感がする、
と、誰かが言ってたかもしれない。
いや、俺が言ったのかもしれない。
記憶は定かではないが、事件は起きてしまったのだ
2011年11月10日。
京都南座。
東京のシアター1010で幕を開けた
『隠蔽捜査』『果断.隠蔽捜査２』
神戸オリエンタル劇場を経て、大きな問題もなく、
『隠蔽捜査』『果断.隠蔽捜査２』の順番で
26ステージ、必ずその順番で交互に行われてきていた。
そう。
11月10日、京都公演2日目、
初めてその順番が変わったのだった。
昼公演が『果断.隠蔽捜査２』
夜公演が『隠蔽捜査』
思えば、昼公演を終えて、皆口々に
「なんか変な感じだね」的なことを口にしていた。
そして、まず最初の事件が起こった。
シーン7、近江谷太朗演じる谷岡が
「失礼します。…どうかしましたか？」
と、上川座長演じる竜崎との会話で始まるシーン。
話の途中で竜崎に「それは？」
と聞かれ、
谷岡「3つの事件の新聞報道のスクラップです」
竜崎「いつもすまんな」
谷岡「いえ、少しでもスーパーマンのお力になれればと」
という会話が展開する。
しかし、「失礼します」と出ていった近江谷太朗。
2つほど台詞を口にして、自分が失礼してたことに気づく…
そう。
「3つの事件の新聞報道のスクラップ」
持ってない…
ざっばーーーーーん
やってもうた
ファイル無しで成立するか台詞を言いながら考える。
無理と判断し、
「あ、すいません、肝心なものを忘れてしまいました」
と、タカヤを舞台上に残し、舞台袖にダッシュする俺。
タカヤを舞台上に一人置き去りにしてしまったが、
なんとか軌道修正、話は進んでいく。
と、そこに扇雀さん演じる伊丹刑事部長登場。
口癖の「週に一度はここのトイレを使わないと便秘になる…」
という台詞を谷岡が先に言っちゃうのだが…
思わず「週に一度はここのトイレを使わないと下痢に」
と、言ってしまい、
「あ、違う(笑)便秘になる体質でね」と言い、
伊丹というか扇雀さんに「いいよ、もう帰れ」と言われ、
「失礼しました！」と本当に失礼をして去る俺。
と、「隠蔽捜査」で言えば14ステージ目にして、
なにやってんねん、と凹みつつエレベーターに乗る俺。
隣の楽屋の板尾さんに、
「いやー、小道具忘れて座長に迷惑かけちゃいました。その後、ひろさん(扇雀さんに)に便秘って言うとこ下痢って言っちゃうし、もう最悪ですよ」
的な話をして、自分の楽屋でくよくよしてると…
衣装さんが、
「あれ、近江谷さん、ここ出てませんでしたっけ？」
「あれ、近江谷さん、ここ出てませんでしたっけ？」
「あれ、近江谷さん、ここ出てませんでしたっけ？」
「ここ出てませんでしたっけ？」
「ここ出てませんでしたっけ？」
「出てませんでしたっけ？」
「あ」と思った次の瞬間、モニターから
「谷岡くんを呼んでくれ」と、竜崎の声。
ここは3階。舞台は1階。
しかもエレベーターでしか行けない。
ダメ元でダッシュ！と思う前に、
何かが音を立てて崩れていく…
ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ
と、本当に聞こえた気がする。
役者人生初の出トチり。
本来ならば、「お呼びですか？」と出ていき、
深刻な問題を抱えた竜崎に
「何か私に出きることは？」と尋ね、
「とりあえず、お茶を入れてくれ」と言われ、
「わかりました。とびっきり美味いのをお持ちします」
と、谷岡的にイイ感じのやり取りを自らカットしてしまいました
いや、そんなことより、タカヤを2度も舞台上に一人ぼっちに…
谷岡が出てこないので、暫しの間があり、タカヤは去った。
ひろさんにとっても、いつもより短い間で、伊丹の長ゼリフが始まる。
タカヤやひろさん、音響さん、照明さんが冷静に対処してくれたおかげで、そのシーンがいきなりなくなったことによる影響はほとんど無かったと思います。
そして、そのステージは終演後、オールスタンディングオベーションとなり、ひろさん曰く、「俺は何度も南座で演ってるが初めて見た」とのこと。
太朗はちょっと複雑
そんなわけで、名古屋公演初日、36人分のひつまぶしを自腹で入れさせていただきました。
日々、歳と共に押し寄せるうっかりやド忘れの波に自分でも驚きながら生活していますが、まさか、仕事中にも来やがるとは…
己が武士ならば切腹ものだと事の重大さをしっかりと受け止めて、
二度と同様な過ちを繰り返さないように
舞台、撮影に取り組んでいきたいと思います。
長々と、失礼いたしました。
と、誰かが言ってたかもしれない。
いや、俺が言ったのかもしれない。
記憶は定かではないが、事件は起きてしまったのだ
2011年11月10日。
京都南座。
東京のシアター1010で幕を開けた
『隠蔽捜査』『果断.隠蔽捜査２』
神戸オリエンタル劇場を経て、大きな問題もなく、
『隠蔽捜査』『果断.隠蔽捜査２』の順番で
26ステージ、必ずその順番で交互に行われてきていた。
そう。
11月10日、京都公演2日目、
初めてその順番が変わったのだった。
昼公演が『果断.隠蔽捜査２』
夜公演が『隠蔽捜査』
思えば、昼公演を終えて、皆口々に
「なんか変な感じだね」的なことを口にしていた。
そして、まず最初の事件が起こった。
シーン7、近江谷太朗演じる谷岡が
「失礼します。…どうかしましたか？」
と、上川座長演じる竜崎との会話で始まるシーン。
話の途中で竜崎に「それは？」
と聞かれ、
谷岡「3つの事件の新聞報道のスクラップです」
竜崎「いつもすまんな」
谷岡「いえ、少しでもスーパーマンのお力になれればと」
という会話が展開する。
しかし、「失礼します」と出ていった近江谷太朗。
2つほど台詞を口にして、自分が失礼してたことに気づく…
そう。
「3つの事件の新聞報道のスクラップ」
持ってない…
ざっばーーーーーん
やってもうた
ファイル無しで成立するか台詞を言いながら考える。
無理と判断し、
「あ、すいません、肝心なものを忘れてしまいました」
と、タカヤを舞台上に残し、舞台袖にダッシュする俺。
タカヤを舞台上に一人置き去りにしてしまったが、
なんとか軌道修正、話は進んでいく。
と、そこに扇雀さん演じる伊丹刑事部長登場。
口癖の「週に一度はここのトイレを使わないと便秘になる…」
という台詞を谷岡が先に言っちゃうのだが…
思わず「週に一度はここのトイレを使わないと下痢に」
と、言ってしまい、
「あ、違う(笑)便秘になる体質でね」と言い、
伊丹というか扇雀さんに「いいよ、もう帰れ」と言われ、
「失礼しました！」と本当に失礼をして去る俺。
と、「隠蔽捜査」で言えば14ステージ目にして、
なにやってんねん、と凹みつつエレベーターに乗る俺。
隣の楽屋の板尾さんに、
「いやー、小道具忘れて座長に迷惑かけちゃいました。その後、ひろさん(扇雀さんに)に便秘って言うとこ下痢って言っちゃうし、もう最悪ですよ」
的な話をして、自分の楽屋でくよくよしてると…
衣装さんが、
「あれ、近江谷さん、ここ出てませんでしたっけ？」
「あれ、近江谷さん、ここ出てませんでしたっけ？」
「あれ、近江谷さん、ここ出てませんでしたっけ？」
「ここ出てませんでしたっけ？」
「ここ出てませんでしたっけ？」
「出てませんでしたっけ？」
「あ」と思った次の瞬間、モニターから
「谷岡くんを呼んでくれ」と、竜崎の声。
ここは3階。舞台は1階。
しかもエレベーターでしか行けない。
ダメ元でダッシュ！と思う前に、
何かが音を立てて崩れていく…
ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ
と、本当に聞こえた気がする。
役者人生初の出トチり。
本来ならば、「お呼びですか？」と出ていき、
深刻な問題を抱えた竜崎に
「何か私に出きることは？」と尋ね、
「とりあえず、お茶を入れてくれ」と言われ、
「わかりました。とびっきり美味いのをお持ちします」
と、谷岡的にイイ感じのやり取りを自らカットしてしまいました
いや、そんなことより、タカヤを2度も舞台上に一人ぼっちに…
谷岡が出てこないので、暫しの間があり、タカヤは去った。
ひろさんにとっても、いつもより短い間で、伊丹の長ゼリフが始まる。
タカヤやひろさん、音響さん、照明さんが冷静に対処してくれたおかげで、そのシーンがいきなりなくなったことによる影響はほとんど無かったと思います。
そして、そのステージは終演後、オールスタンディングオベーションとなり、ひろさん曰く、「俺は何度も南座で演ってるが初めて見た」とのこと。
太朗はちょっと複雑
そんなわけで、名古屋公演初日、36人分のひつまぶしを自腹で入れさせていただきました。
日々、歳と共に押し寄せるうっかりやド忘れの波に自分でも驚きながら生活していますが、まさか、仕事中にも来やがるとは…
己が武士ならば切腹ものだと事の重大さをしっかりと受け止めて、
二度と同様な過ちを繰り返さないように
舞台、撮影に取り組んでいきたいと思います。
長々と、失礼いたしました。