6月も終わり熱い季節になりましたね。

ラグビーで6月といえば、テストシーズンの時期です。

日本はトンガ、フィジー、ウェールズ×2、アメリカ、カナダと試合を行い4勝2敗でした。


世界では四校対抗みたいなのりで、南アフリカ、イタリア、サモア、スコットランドが試合をしていました。サモアがスコットランド相手に歴史的勝利を収めていたのが印象的でした。しかし、決勝戦の南アフリカvsサモアでは、南アフリカが大差で勝ち、まだまだ上位の国が力の差を見せ付けていました。


今回のブログでは、世界上位3カ国のうち、ニュージーランドとオーストラリアの試合について特集したいと思います。


1.ニュージーランドvsフランス
6月に3試合行われました。
まずは、下に試合動画のリンクを張っておきます。

1試合目
http://www.youtube.com/watch?v=UkQxxO1zn7I

2試合目
http://www.youtube.com/watch?v=WWausCeZqvM

3試合目
http://www.youtube.com/watch?v=mlrhNRUOJPw

以下ネタバレ

2011年ラグビーワールドカップ以来の両者の対戦。
フランスは年始に行われた6nationsで最下位と不調にあえいでいました。
一方のオールブラックスも2015年に向けて若手の育成をがんばりたいということで若手中心で出してくるだろうといわれていました。

そんな中での第1戦、フランスは6nationsで絶不調だったミシャラクヲをSOのまま起用します。一方のオールブラックスもスーパーラグビーで絶不調だったCTBノヌーをはじめ、過去とほとんど変わり映えのないメンバーを15人に選びました。変わったのはHOのダンコールズくらいでしょう。
第1戦では強力なFWを擁するフランス相手にオールブラックスはブレイクダウンで劣勢を強いられますが、辛くも勝利をおさめます。

第2戦目は両者ともにメンバーをほとんど変えませんでしたが、フランスのラグビーを研究し尽くしたオールブラックスがFWBKともにフランスを圧倒します。

第3戦目でオールブラックスはSOにダンカーター、SHにピリウイップという超ベテランを起用しますが、このHB団が機能せず、またフランスもATが機能せずに非常に淡白な試合になりました。

個人的には、2戦目がお勧めです。

今からこのビデオを見る際に注目してほしい選手を5人ほどあげます。

1.14番Ben Smith
この3試合でMVPを選べと言われたら、おそらくすべての人がこの選手を挙げるでしょう。
スーパーラグビーでは田中君が所属しているハイランダーズに所属しており、15番をしています。今期全然調子に乗れないハイランダーズをしり目にベンスミスは大活躍。ハンセン監督の目に留まり、CJ不在の14番のfirst choiceに躍り出ます。
彼の魅力は何と言っても、ランニングスキルでしょう。今回のテストマッチでもラインブレイクを繰り返しました。また、キック、パス、タックル、フォローも素晴らしく、15,13もできるユーティリティプレイヤーです。オールブラックス不動のCTBコンラッドスミスが自身の後継者として彼の名前を挙げています。彼がボールを持ったらぜひ注目してください。
$大阪大学医学部歯学部ラグビー部のブログ
オールブラックスで一番肌が白い選手です。すぐにわかります。

2.Ma'a Nonu&Conrad Smith
もはやオールブラックスの顔ともいえるこのCTBコンビ(NZでは12を第2の指令塔として、second five-eighthとよびますが)。このCTBコンビで出場したテストマッチは46を数え、世界でも2番目に多い組み合わせになっています。この2人については僕の一年前のブログを参照してほしいのですが(http://ameblo.jp/oumdrfc/entry-11292793192.html)、上でも書いた通りノヌーはスーパーラグビーでかなり不調で、引退の時期が来たのではないかといわれていましたが、やはり長年一緒にやってきたコンラッドスミスがいると完全に復活していました。このコンラッドスミス、常に100点のプレーをすることで定評があります。前オールブラックス監督が競った試合になったときに必要なのが、リッチーマコウとコンラッドスミスと発言しているように彼に対する信用がうかがえます。ノヌーの方は意識しなくても目につくと思いますが、この13番コンラッドスミスのATの際の周りの人のスペースを生かすランニングコース、ターンオーバーされた時のリアクションの速さにぜひ注目してください。$大阪大学医学部歯学部ラグビー部のブログ
まさに最高のセンターコンビ。

3.Rene Ranger
2010年にオールブラックスに選ばれるも、それ以降選ばれなかったレンジャー。本人もオールブラックスになる夢はあきらめ、来期よりフランスに移籍することになっていました。しかし、今シーズン、スーパーラグビーで大ブレイク。再びオールブラックスに選ばれることになりました。オールブラックスに選ばれる条件はNZ国内のチームでプレーをすること。レンジャーは来期のフランス移籍を中止しようとしますが、大量の違約金(日本円で2500万円)が発生するということで、結局移籍をするようです。つまり、来期本拠地をフランスに移すレンジャーは来年はオールブラックスに選ばれることはなく、再来年戻ってきたとしても、再びオールブラックスに戻れる可能性は高くありません。つまり、今回が最後のオールブラックスになるわけです。
1戦目、2戦目は後半途中からの出場でインパクトプレイヤーとして大きな貢献を果たします。そして、3戦目はスターティング15に選ばれます。おそらく、監督の細やかな気遣いでしょう。
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ボールに対する嗅覚がすばらしいBK!

4.Sam Cane
オールブラックスといえばリッチーマコウ、マコウといえばオールブラックス。No Richie 、no All Blacksといわれるほど彼の存在感は大きいのです。しかし、このテストマッチではマコウは休養中でいませんでした。その代わりを務めたのが若手FWのホープ、Sam Caneです。まだ若干21歳のケーンですが、マコウの後継者、金の卵として大切に育てられてきた彼のラグビー人生は順調そのものです。各年代の代表に選ばれ、U20では優勝も経験しています。去年のアイルランド戦でデビューを飾りました。現在はNZの王者チーフスで同じくオールブラックスのメッサムとともにFLを務めています。何よりの魅力は豊富な運動量とそれに基づいたサポートプレーです。スーパーラグビーでの彼のトライのほとんどは素晴らしいフォローによるものです。ただ、まだボールハンティングの部分ではマコウには及びませんが、この時期からオールブラックスにいてマコウのプレーに触れることで将来、特に2019年ラグビーワールドカップin日本のころには素晴らしいボールハンターになって私たちを楽しませてくれるはずです。
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下級生はぜひとも彼のフォローコースを身につけてください。

2.British & Irish Lions
ラグビーの世界でもっと大きなイベントはラグビーワールドカップです。4年に一度開催され、2019年には日本で開催されます。全チームはワールドカップの出場をかけて、あるいは優勝をかけて日々練習しています。

 それでは、2番目に大きなイベントは?といわれると、British & Irish Lions の南半球遠征になります。ライオンズについては以前のブログで紹介したので説明しませんが、香港から始まり5週間にわたったライオンズ遠征がついにシドニーで終わりました。その中でも特に、ワラビーズとの3試合を紹介します。


1試合目  http://www.youtube.com/watch?v=fLg8VCLddoI


2試合目  http://www.youtube.com/watch?v=uawPxMVchds


3試合目  http://www.youtube.com/watch?v=2xQFAZ0GwEc

この試合は上に書いたオールブラックスvsフランスのような練習のためのテストマッチではなく、勝つことだけが求められる試合です。そのため、コンタクトが類を見ないほど激しくなります。1試合目でオーストラリア代表ワラビーズからBKの選手5名が負傷退場したことからもその激しさがうかがえると思います。


この3試合を通じて、現代ラグビーにおけるスクラム及びPG、DG、CGの重要性が再確認されました。


以下ネタバレ



1試合目は開始数分でオーストラリア12番Christian Lealiifanoが負傷退場してしまします。彼はオーストラリア代表の正キッカーであり、代わりに蹴ることになったジェームズオコナー、カートリービールともにキックを外しまくり、最終的に2点差で負けてしまいます。
この試合で光ったのが、SHウイルゲニアと今回がデビュー戦のWTBイズラエル・フォラウです。なかでも、前半12分自陣22m内からのハリーでのトライは、二人の才能を余すことなく伝えてくれます。$大阪大学医学部歯学部ラグビー部のブログ
パス、ラン、キック全てにおいて一流。現在世界最高のSHです。


2試合目、ライオンズは1番をスクラムの強いAlex Corbisieroからフィールドプレーに定評のあるMako Vunipolaを先発に起用しますが、これが大外れ。スクラムで完敗といっても差支えのないレベルで苦しみます。フロントを入れ替えた後半もスクラムで劣勢が続き、ワラビーズがひたすら攻め続ける展開が続きます。そして、76分CTB Adam Ashley-Cooperの素晴らしいチェンジアングルによるトライ、そして難しい角度のCGをChristian Lealiifanoが決め、逆転に成功、1点差での勝利となりました。
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オーストラリアには欠かせない選手。代表キャップは80を数えます。


3試合目、ライオンズはスクラム対策として、1番2番をスクラムを重視したメンバーに変更します。
結果が吉と出、ライオンズは15番の正確無比なキックで得点を稼ぎます。コンタクトは過去2戦と比べても激しさが増していました。
後半途中まで、お互いがPGで得点を重ねていく試合展開でしたが、この均衡を打ち破ったのがライオンズのBKでした。後半20分に一気にブレイクを重ね、16-41という大差の結果になりました。
ライオンズにとってはFWで勝負を決めてBKで点差をつける理想の試合になりました。
一方のワラビーズ、相変わらず大一番でスクラムの弱さを露呈することになりました。また、SOジェームズオコナーのゲームコントロールもいまいちでした。
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ランプレーに定評のあるオコナー。もっと外で使うべきだと思います。規律の面でも問題のある選手です。


この敗戦を受けて、オーストラリアは監督を解任しました。前監督ロビー・ディーンズはオーストラリア初のNZ出身の監督でしたが、2011年W杯以降批判が集中していました。特に、改善されないスクラムや選手を規律の面でコントロールできないことが問題視されていました。
新しく監督になったのは前レッズ監督ユーアン・マッケンジーです。前オーストラリア監督から干されていたQuade Cooperの代表復帰は間違いないところだと思います。
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オーストラリアNo.1SOであることを証明した今シーズン。この問題児をうまくコントロールできるのでしょうか


今まで取り上げてきたオーストラリアとオールブラックスが8月17日から開かれるラグビーチャンピオンシップで激突します。それまで楽しみにしましょう。